アメリカ海軍が計画している空母に搭載し、艦載機への空中給油を行うことを主任務とする無人機、MQ-25スティングレイ。2017年10月に最終の提案依頼書(RFP)が示され、2018年1月3日までの提案受付を行っていますが、2017年12月19日(アメリカ時間)、ボーイングが自社の候補機を公開しました。(見出し写真:Boeing photo by Eric Shindelbower)

 MQ-25スティングレイは、空母からカタパルトで発艦し、空中でF/A-18スーパーホーネットやEA-18Gグラウラー、そしてF-35CライトニングIIに対して給油を行い、作戦行動半径を拡大するステルス無人機です。また独自のセンサーシステムも備えており、F-35Cとデータリンクを行い、センサーの探知範囲を拡大することも可能です。任務を終えた後は、自動で空母に着艦できます。

 要求性能としては、機体規模はF/A-18スーパーホーネットと同程度。1万5000ポンドの燃料を搭載して、空母から半径500海里(約930km)まで進出し、4〜6機に対して空中給油を行えること、とされています。F/A-18スーパーホーネットの場合、MQ-25からの給油によって、作戦行動半径が450海里(約830km)から700海里(約1300km)まで拡大できるとされます。

 2017年10月初めに最終提案依頼書が示された時点では、ボーイングのほかロッキード・マーティン、ジェネラル・アトミックス(無人偵察・攻撃機MQ-1プレデターのメーカー)、ノースロップ・グラマンが開発コンペに参加していました。このうち空母で運用される無人偵察機X-47Bを開発しており、一日の長があると見られていたノースロップ・グラマンが10月25日、コンペからの撤退を発表。ボーイング、ロッキード・マーティン、ジェネラル・アトミックスの三つ巴のコンペとなっています。

 公開されたボーイングの候補機の写真を見ると、ノースロップ・グラマンのX-47Bに似た姿。アップになっているため、翼端形状や上から見た平面形は詳しくは判りませんが、ステルス性を要求されているために、X-47Bとそれほど大きな違いはないものと思われます。

 ボーイングでこの計画を担当している「ファントム・ワークス」のドン・ガディス退役海軍大将は、次のようなコメントを寄せています。

「ボーイングはおよそ90年にわたって海軍に空母艦載機を提供してきました。この豊富な経験は、我々のアプローチに対して大きな自信となっています」

 ボーイングのMQ-25候補機は現在、2018年初頭に予定される空母飛行甲板上の取り回し試験に先立つ、エンジン試験を行っているとのことです。

(咲村珠樹)