「うちの本棚」第三十八回は、桑田次郎が描いたヒーローたちのひとり「スパークダン」の登場です。
この作品は1959年の「ぼくら(講談社刊)」、1月号~6月号に連載されたもの。ただし最終回は天馬正人の作画である。
団探偵のひとり息子勇二は、将来科学者になることを目指していたが、父親の仕事にも興味を持ち、「探偵もいいな」と思っている。が、団探偵は息子に危険な仕事をさせたくないと考えているので、勇二は密かにコスチュームを用意し「スパーク・ダン」と名乗って団探偵を助けることになるのだった。このあたりは『まぼろし探偵』に通じる設定かもしれない。
またダンの相棒として、乗り物に変形できる犬型のロボットも、勇二自身が作り上げる。
日本を根城に世界征服を企む「ゴースト国」は、巨大で強力な怪飛行機を日本の海岸に隠し、さらに日本の科学者に協力させてさらに強力な兵器を造ろうと企む。その陰謀に気がついたスパーク・ダンと団探偵、水川博士が、ゴートス国のスカイ総統を相手に戦うのだ。
同時期に『まぼろし探偵』や『Xマン』といった作品を連載中で手が回らず、最終回も天馬正人の代筆を頼まざるを得なかったという状況だけに、ひとつのエピソードで終了してしまったのだろうが、桑田次郎正統派のヒーローだけに残念な気がする。
書 名/電光少年スパーク・ダン 著者名/桑田次郎 出版元/パンローリング 判 型/B6判 定 価/1800円+税 シリーズ名/マンガショップシリーズ(Vol.253) 初版発行日/2008年8月2日 収録作品/電光少年スパーク・ダン |
■ライター紹介
【猫目ユウ】
ミニコミ誌「TOWER」に関わりながらライターデビュー。主にアダルト系雑誌を中心にコラムやレビューを執筆。「GON!」「シーメール白書」「レディースコミック 微熱」では連載コーナーも担当。著書に『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』など。