レッドブル・エアレース2019最終戦千葉大会、金曜フリープラクティス(1回目・2回目)が9月6日行われ、トップはランキング1位のソンカ選手。室屋選手は1回目6位、2回目5位となりました。
今回の千葉大会でシリーズが終了するレッドブル・エアレース。最後のワールドチャンピオンを目指す戦いは、実質的に年間ポイント上位3名(ソンカ選手、ホール選手、室屋選手)に絞られました。
今年3戦中2勝をマークしている室屋選手。第3戦バラトン湖(ハンガリー)での12位が響き、現在年間ランキングは3位となっています。
室屋選手が逆転でワールドチャンピオンを手にするには、予選1位と優勝が必須条件。少ないチャンスをものにする必要があります。
金曜は2回のフリープラクティス(FP)が行われ、各選手は現在の天候で最適なレーストラック攻略法を試行錯誤します。今回はトラック両端の折り返しで、縦のターン(VTM)、斜めのターン(シャンデル)、水平なフラットターンのどれを選択するかが焦点。目標タイムは56秒を切れるかどうかです。
1回目のフリープラクティスでトップに立ったのは、現在年間ランキングトップのマルティン・ソンカ選手(チェコ)。ただ1人56秒を切る55秒366をマークし、2番手のフアン・ベラルデ選手(スペイン)を0秒790引き離す異次元のタイムでした。
ベラルデ選手も3番手のフランソワ・ルボット選手(フランス)を1秒282引き離しているのですが、役者が違いました。室屋選手は56秒937で6番手。
ソンカ選手が両端で選択したのは、斜めのターン。海からの風が強まる傾向にあり、縦のターンよりターンの途中から追い風になる斜めのターンの方がタイムを稼げるようです。
これについて、筆者が1回目のフリープラクティス結果をツイートしたミカ・ブラジョー選手(1回目はトラックリミットライン越えの1秒ペナルティがあり、57秒210で7位)の投稿を引用リツイートで、ソンカ選手のターンに言及したところ、ブラジョー選手が「Thanks for the info. I will try it!(情報ありがとう。試してみるよ!)」と反応してくれました。ブラジョー選手はフリープラクティス1回目で、縦のターンを選択していたのです。
Thanks for the info – I will try it 😎🤩
— Mika Brageot (@MikaBrageot) September 6, 2019
そして海風がさらに強まった2回目のフリープラクティス。ブラジョー選手は両端で「試してみるよ!」の言葉通り、斜めのターンを選択。56秒072とタイムを縮め、4位となりました。
室屋選手はトラックリミットライン越えの1秒ペナルティが響き、56秒672で5番手。しかしこのペナルティを除けば、1回目のフリープラクティスよりも1秒以上速くなりました。室屋選手も両端で斜めのターンを選択しています。
しかし2回目のフリープラクティスでも、トップタイムをマークしたのはソンカ選手。55秒269とさらにタイムを縮めてきました。2番手も1回目と同じくベラルデ選手で55秒553。この2人はセッティングがうまくいっているようです。
2回目で3位となったのは、現在年間ランキング2位のマット・ホール選手(オーストラリア)。昨年の千葉大会の勝者であり、今年は第3戦バラトン湖で勝利。連覇と連勝がかかります。
フリープラクティス終了後、サイドアクトに登場する海上自衛隊第201航空隊(山口県小月航空基地)の教官パイロットで編成される曲技飛行チーム「White Arrows」が、リハーサルフライトを行いました。
4機編成の「White Arrows」。ダイヤモンド編隊やアローヘッド編隊などの隊形を次々と組み替えます。編隊解散(コンバットピッチ)も見せてくれました。
土曜日は午前に3回目のフリープラクティス、午後に予選ラウンドが行われる予定です。しかし、接近しつつある台風15号の影響がどれくらいあるのか、そして最接近が予想されている日曜日午後の決勝はどうなるのか。非常に心配です。
(取材・撮影:咲村珠樹)