ポーランド空軍は次期主力戦闘機にF-35Aを選定。2020年1月31日(現地時間)、デンブリンの空軍大学校でデュダ大統領、モラヴィエツキ首相、ブワシュチャク国防相が出席し、32機と関連装備を総額46億ドル(約5000億円)で発注する契約が調印されました。

 2018年に装備の近代化を図る方針を打ち出したポーランド軍。1999年のNATO加盟以降、これまでの旧ソ連系装備から、アメリカをはじめとする西側諸国の装備と、国産装備を組み合わせたものへと世代交代を進めています。

 現在ポーランド空軍の主力戦闘機はF-16ですが、これにF-35Aが加わることになりました。デュダ大統領は「これはポーランドのみならず、隣国リトアニア、そしてヨーロッパ全体の安全保障にとっても重要です。F-35を導入するということは、ポーランドがNATO加盟国として、その責務を果たし、信頼に足る国であるという証明となります」とコメントしています。

 モラヴィエツキ首相は、軍の近代化が加速していることについて「30年前、この地域からソ連、ロシア支配の影が取り除かれましたが、F-16に加えてF-35が導入されることにより、さらにその影は遠のくことでしょう」と、旧ソ連やロシアの影響力が軍の装備面から排除されていくことを示していると語っています。

 今回、ポーランドは32機のF-35Aと、8台のシミュレータなどの訓練パッケージ、2030年までの補修部品等の物流パッケージを一括で契約(有償軍事供与=FMS)しました。ブワシュチャク国防相は空軍の近代化計画“ハルピア(ギリシャ神話に登場するハルピュイアの意)”にも言及し「2018年に導入されたペトリオット・システムや、既存のF-16と相互運用されることで、我が国の安全を保証します」と、F-35A導入の意義を語っています。

 適用されるF-35Aのソフトウェアは、現時点で最新版となるブロック4。近代化パッケージも契約に含まれており、調達期間中のバージョンアップもカバーしています。また、冬季に滑走路が凍結することもあるため、機体にはドラッグシュート(制動用パラシュート)がオプション装備されます。

 契約では2024年から年間4~6機のペースで引き渡されることになっており、納入完了は2030年の予定。この間の2024年~2025年には、アメリカで教官を含む24名のパイロット要員と90名の整備員が教育を受けることになっています。

 教育を受けたパイロットによって、F-35Aがポーランドにやってくるのは2025年終わりから2026年初め頃。初度作戦能力(IOC)獲得は、8機がポーランドに到着し、人員や整備用の予備部品が揃った頃を見込んでいます。

<出典・引用>
ポーランド国防省 ニュースリリース
Image:ポーランド国防省

(咲村珠樹)