【名作映像案内】次郎長富士時代に埋もれた名作映像作品の数々を紹介する「名作映像案内」。今回取り上げる時代劇映画は昭和34年の『次郎長富士』。何度も映画やテレビドラマになった清水の次郎長の話です。

配役は長谷川一夫(清水の次郎長)、勝新太郎(森の石松)、市川雷藏(吉良の仁吉)など当時の大映スターの名がずらりと並んでいます。


またマイナー女優ですが、昭和32年の映画『透明人間と蝿男』におけるグラマラスな役どころが印象深い毛利郁子も出演しています。
他の配役には昭和27年~29年に9部作が制作されたマキノ雅弘監督の『次郎長三国志』シリーズで次郎長を演じた小堀阿吉雄(小堀明男)も投入されており、まさしくオールスター巨篇となっています。

しかし大抵のオールスター映画が上映時間2時間半を超えるものばかりであるのに対して、本作は何と上映時間104分。東京国立近代美術館フィルムセンターのホームページによると1本立て興行だったそうです(但し上映館、上映期間、上映地域によって異なっていた可能性があります)。
1本立てなのにこんなに短くていいのかって感じですな。とは言うものの流石に上映時間が短いだけあってかなり詰め込んだ密度の濃いストーリーになっております。ストーリーは一般に知られている次郎長ものとは異なっており、金毘羅参りをした森の石松が死ななかったり、クライマックスにおける次郎長一家と勝蔵一家の合戦で勝蔵が戦死するという展開を見せています。

<スタッフ>
製作・三浦信夫、企画・浅井昭三郎、脚本・八尋不二、撮影・本多省三、美術・内藤昭、音楽・斎藤一郎、監督・森一生

<出演者>
長谷川一夫(清水の次郎長)、勝新太郎(森の石松)、市川雷藏(吉良の仁吉)、黒川彌太郎(大政)、本郷功次郎(小政)、根上淳(小岩)、林成年(桶屋の鬼吉)、品川隆二(大瀬半五郎)、滝沢修(黒駒勝蔵)、船越英二(江戸っ子金太)、京マチ子(おかつ)、若尾文子(おきく)、山本富士子(お新)、中村玉緒(お松)、小堀阿吉雄(安濃徳次郎)
制作:1959年/104分

●関連URL
▼東京国立近代美術館フィルムセンター/次郎長富士紹介ページ

https://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2011-7/kaisetsu_21.html

(文:コートク)