晩婚化が進む昨今、少しでもその改善につとめ、そして少子化に歯留めをかけようと色々な組織が「婚活」に力を入れはじめている。
その中心にあるのが「婚活パーティー」といわれるイベント。イベントでは、男女同数があつまり、大規模なもになると50対50というものもあるという。主催は企業のものから自治体のものまで様々ある。
以前は、趣味趣向・職業・年齢も異なる、本当にバラバラな人達が集まりパーティーが行われていたが、最近では、主流は「特化型」に移行しつつある。
例えば、自衛隊主催の「駐屯地婚活パーティー」や、農家の青年団が主催する「農家婚活パーティー」、そして最近では企業が主催する「オタク向け婚活パーティー」なるものまで登場し注目を集めている。
特に「オタク向け婚活パーティー」に関しては、ここ3~4年で複数の企業が参入。ジャンルとしては今まさに成長期を迎えようとしている。
最近では広告などでもよく目にするようになった「オタク向けの婚活」。よく目にはするし、その存在は浸透しつつも、「婚活パーティー」という性質から、その中身が広く知られることはない。
そこで今回は、オタク向け婚活サポート「リアッジ」代表の須永さんにその内容について伺った。
ちなみにこの須永さん、自身も多くのオタクの婚活パーティーに参加していた経験の持ち主。インタビューでは主催者目線と参加者目線の両方で語って頂いた。
――オタク向けの婚活事業に参入する前には須永さん自身色んなパーティーに参加されていたという事ですがその時の感想をまずお話いただけますか?
まず一般に「婚活パーティー」と言われるものについてですが、だいたい1回のパーティーで20人程度の男女同数が集まり開催されます。
パーティーの内容は概ね
・イベント開始
・自己紹介:1人に対して3分間(参加者全員に1対1で順番に行う)
・ファーストインプレッション:最初の印象で気に入った人の名前を書いて提出
・中間発表:自分が気に入った人の情報、そして自分を気に入っている人の情報をもらう
・休憩(この間異性参加者との交流はできない)
・フリータイム:10分間1回~3回。その間に気に入った人と交流する(複数交流可能)
・最終インプレッション:最終的にどの人とカップルになりたいかを決め、提出。
・結果発表:相思相愛になった人が発表される
・解散(相思相愛になれなかった場合には連絡先交換などは他参加者と一切できない。)
オタク向けの婚活パーティーに限らず「婚活パーティー」と言われるものは、ほぼこうした「カップリングタイプ」と言われるものが主流です。
私自身が参加者時代に思ったのは、自己紹介の3分やフリータイムの10分という極限られた時間の中での交流では相手を判断しづらいということでした。
例えば、合コンだったら、趣味の話や日常の話などその人の個性が見える話題でその人らしさが分かると思います。
ただ、一般的な婚活パーティーでは時間が少なく、どうしてもプロフィールシート(書かれている内容)中心になってしまうのが残念でしたね。
――そうなってくると「中間発表」や「最終発表」で気に入ったお相手を選ぶのも難しいところじゃないですか?
そうですね。そんな限られた時間ですから、最終的な印象はどうしても容姿やプロフィールシートに書かれた情報(学歴/趣味/身長)が判断基準になります。
――せっかく面と向かっているのにもったいないですね
私もそう思います。それに、参加受付をして会場に入るじゃないですか。その時、異性の参加者が既にその会場にいたとしても主催者側から席で待つように指示されます。
お相手が席に居たら良いですが、居なければパーティーが始まるまでただ待つだけです。こちらとしては1分でも異性と会話したいのにも関わらずです。
――最終インプレッションで相思相愛になった場合、どうなるんですか?
連絡先の交換ができます。ただこれは連絡先を聞けるというだけで実際の恋人になったというわけではありません。「知り合いになった」という程度です。
ここから相手とメール等で交流を始めて、うまくいけばお付き合いできるでしょうし、うまくいかなければ連絡は途絶えます。
しかも、時間がない中での最終判断した相手ですので、パーティー終了後に連絡を取り合ってみると印象が違ったという事も過去経験上ありました。
―― 多くのオタ婚もこの「カップリングタイプ」ですか?
開催内容次第ですが、大人数の場合には大体このようなタイプが多いです。
――須永さんの会社は「オタク向けの婚活」専門には扱ってらっしゃいますが、どうしてこういう事業に参入しようと思ったんですか?
私自身が婚活パーティに多数参加してきた経験と、前職からオタク相手の仕事をしてきた経験の両方を生かし、オタク向けの婚活を一般的な「カップリングスタイル」から、参加者の会話を重視したサービスで展開しようと思い、参入しました。
また大人数のパーティーに何度か行くと「見たことある」お相手とまたプロフィール内だけの話をすることになります。私はこうした「カップリングタイプ」以外の方法も、婚活の方法として活用して貰いたいという思いもあります。
もちろん、私自身オタクであるということも理由としてあります。
――参加者時代の経験は生きてますか?
はい。もちろん。リアッジでは3つのタイプのプランに私の経験を盛り込んでいます。
(1)フリープラン=合コンプラン=小人数(基本スタッフ同席なし)
(2)メッセージプラン=中規模パーティー=中人数(スタッフ同席あり)
(3)マッチングプラン=大規模パーティー=15対15程度の人数(スタッフ同席あり)
(1)のフリープランは少人数制なのでどんな地方、極端な話離島でも参加希望者がいれば開催可能です。
私たちは参加者をセッティングして、カフェや居酒屋などの会場を手配します。そこでスタッフ抜きで当日は会っていただくわけです。
一般の合コンに近いですね。少人数制にすることで、通常の婚活パーティより長く、参加者の1人1人と話をして頂くことが可能です。
(2)になるともう少し規模が大きいパーティに参加したいという人向けです。リアッジの指定会場にスタッフが同席する形で開催します。
(1)(2)ともに気になった複数の方に連絡先をお聞きする形になります。
(3)については、先に紹介した「カップリングタイプ」になります。
リアッジの特徴として、参加者は会場に到着し、プロフィールシートを記入したらすぐに自由に行動して良く、休憩中も異性参加者と交流可能です。
そして最終発表でカップルになれなかった人のために、最終発表後に交流する時間を設けるなど、参加者が時間を無駄にしない工夫を多数盛り込みました。
そうすることで私が参加者当時に感じていた不満を排除しました。
――その他に参加者時代の経験を反映させたところはありますか?
一般の婚活パーティーだとどうしても首都圏開催に集中しがちで地方開催は少ないんですよ。
そうした経験があって、いずれのプランでも、ユーザーからご提案さえ頂ければ、ご希望の開催地域で、ご希望するイベントを開催できます。
例えば、「小田原のカフェで2対2以上、あの花好き」という感じです。
――実際のパーティーやフリープランの参加者の雰囲気はいかがですか?
皆さん気軽に参加いただいてます。
特にフリープランなんかでは、最初は不安だったが、盛り上がった勢いで参加者全員でそのまま「アニカラ」に行ったという話を聞きました。
――パーティーへの参加者に対して成功率をあげるコツがあれば教えてください。
(1)身だしなみ
オタクに限らずですが、身だしなみは最低限のマナーです。
染みの付いた服やよれよれの服で参加したり、女性は化粧や香水の匂いが強すぎたりするのは控えた方が良いですね。
あくまで「社交の場」とう意識をもって参加するよう心がけてください。
(2)会話はキャッチボール
会話は「キャッチボール」。一方的に話さないように気をつけて、色々な方と話をすると良いと思います。
婚活パーティーという場で舞い上がりすぎたり、萎縮しすぎたりする人がいますが、折角のチャンスなので、出来たこと、出来なかったことを認識して、しっかり経験値を増やしてください。
(3)他のジャンルをディスらない
これはオタク独特かもしれませんが、自分が好きなジャンル以外を冗談でディスる人がいます。(ディスる=なじる/けなす)冗談のつもりで言ったことでも後、相手の印象を悪くすることがありますのでその点充分注意してください。
――最後になりますが、これから「婚活」を考えてる人のために、オタクの人に限らず何かメッセージがあればお願いします。
「婚活パーティー」は弊社以外にも様々な企業様や自治体で主催されています。
まずは、小規模で、できるだけ自分の趣味にあったものから参加してみることをお勧めします。
1度で恋人が出来ることは稀です。何度も経験すると話せるようになってきます。
失敗を恐れずにまずは経験してみること、行動に移してみることが大事です。
そして一番大切なのは「相手を思いやること」。相手があってのパーティーですからね。
皆さんのご武運お祈りしております!
――ありがとうございました。
▼オタク向け婚活サポート「リアッジ」代表 須永明人さん
オタク趣味が高じて玩具メーカーに就職。在職中、一般的な婚活パーティーから、オタク婚活パーティーまで幅広く参加。
参加経験を生かし「オタク向け婚活サポート」ビジネスを展開。「REAGGI=リアッジ」を設立。現在はリアッジの代表として日々多くのユーザーのため力を尽くしている。
オタク向け婚活サポート「REAGGI」 http://reaggi.com/
※写真はイメージです。