ノストラダムスの大予言「うちの本棚」、今回は単行本未収録作品『ノストラダムスの大予言』をご紹介します。

東宝映画のコミカライズ作品であり、公開当時センセーショナルな話題作でもありましたが、単にノストラダムスの予言に沿って人類の滅亡を描くということではなく、その危機を未然に防げないだろうかと行動する人々を描いています。こん日の目で改めて読み直したい作品です。

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ノストラダムスの大予言・扉


本作は東宝映画『ノストラダムスの大予言』のコミカライズ作品である。秋田書店「別冊少年チャンピオン」の「劇画ロードショー」というシリーズの一編として掲載されたもので、49ページが一挙掲載された。

昭和50年前後はオイルショックなどの社会状況などもあって、終末思想が流行した。小松左京の『日本地没』と並んでベストセラーとなったのが、五島 勉の『ノストラダムスの大予言』で、共に映画化された。
映画版の『ノストラダムスの大予言』は、ノストラダムスの予言書「諸世紀」を所蔵する西田という日本人を主人公に展開するストーリーで、いずれ来る「1999年7の月」に向かって地球が、人類が遭遇するさまざまな異変を描いている。公害や放射能汚染といった社会問題を扱い、突然変異した怪物などが登場する。
コミカライズ版も映画のシナリオを元に描かれており、主なストーリー展開はそのままだが、ひと言で言ってダイジェストと言える。しかし、だからこそ本作のテーマがストレートに伝わっているともいえる。

1999年7の月に現れる「恐怖の大王」について明言はしていないものの、核戦争や核兵器と仮定して、人類の滅亡が語られる。と同時に、公害などを軽減していくために、物質的に質素な生活に戻るべきだとも語る。
しょせんは特撮映画だし、そのコミカライズ作品ではあるが、昭和49年当時のこの警鐘が活かされていたら、もっと違った環境が今あったのではないかと思えてしまう。

作品の中では巨大なナメクジが夢の島の跡地に現れたり、放射能による突然変異の食肉樹がニューギニアで発見されたりと、公害や放射能汚染、さらには環境の変化による洪水や干ばつによって世界の食糧事情にも異変が起こる。そして人類は滅亡に向かって進んでいるのだと印象づけていくわけだが…。
ノストラダムスの予言した1999年7月はなにごともなく、とっくに過ぎ去ってしまったが、作品に描かれたのと似たような異変は現実に起きているのではないだろうか。

このコミカライズ作品を改めて、今現在の目で読み直してみるのもけして無駄なことではないように思う。とはいえ、単行本化もされていない本作は、掲載当時の雑誌でしか読むことができないのが残念である。
コミカライズを担当した高山よしさとに関してはあまり情報がないが、双葉社の「週刊少年アクション」で『ザ・パイロット』を連載していた。また、高山よしのり、高山芳紀として作画・原作しているようである。

初出/秋田書店「別冊少年チャンピオン」(昭和49年9月号)

(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/