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【うちの本棚】199回 ウルトラQザ・ムービー 星の伝説(劇場版予告編)/さいとう・たかを

ウルトラQザ・ムービー 星の伝説特撮作品史上重要な位置を占める『ウルトラQ』。その劇場版である『ウルトラQザ・ムービー 星の伝説』にコミカライズ作品があったのは御存知だろうか? しかもそれは「予告編」であり、さいとう・たかをによるオールカラーの小冊子だったということを。

【関連:198回 ハウス HOUSE/三浦みつる】

ウルトラQ-星の伝説-1 ウルトラQ-星の伝説-2

  •  本作は劇場映画『ウルトラQザ・ムービー 星の伝説』の公開に合わせて発行された小冊子で、表紙にもあるように作品全体ではなく、予告編として内容を抜粋したコミカライズ作品である。
     ウィキペディアの映画作品の項目では「来客特典として配られた」との記述があるが、表4には「¥200」の表示もあり、販売もされていたようだ。

     表紙を含めて16ページで、オールカラー。主人公である万城目、由利子、一平を中心に、一の谷博士や真弓、ワダツジン、怪獣ナギラなど、映画の魅力を十分に伝えるシーンをコミカライズしている。もちろん「予告編」なので結末はない。
     そのような内容でもあり、また映画公開中に劇場でのみ配布または販売されたという特殊な状況からか、本作はそのまま忘れられているのではないかと思う。少なくともさいとう・たかをの著作の中ではレアなものに入るだろう。
     しかし、さいとう・たかをによるナギラの登場シーンは迫力があり、全編をコミカライズしてもらいたかったという気がしてしまう。映画本編は実相寺監督と脚本の佐々木守コンビによる独特の世界観であったので、これをさいとうがどのようにまとめるか、実現していたら面白かっただろう。
     また主役の3人もさいとう・たかをキャラとしてアレンジされているが、映画に出演した芝 俊夫、荻野目慶子、風見しんごの容貌を模しているようでもある(風見に関してはあまり似ていないが)。予告編だけで終わってしまったのが、やはりもったいない。

     映画公開に合わせて劇場でコミカライズ作品が販売されていたというのは「昭和ガメラシリーズ」で、雑誌に掲載されたコミカライズ作品を小冊子にして販売していたというのを聞いたことがあるが(「平成ガメラシリーズ」の第一作ではそれを再現した形で『ガメラ対ギャオス』のコミカライズ作品を小冊子として販売していた)、描き下ろしで「予告編」としてコミカライズしたというのは本作だけではないだろうか。

    初出/1990年4月

    (文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/

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    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
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