1970年代ころ世界中で一大ブームとなった『UMA(未確認生物)』、『UFO(未確認飛行物体)』などの“未確認”系の話題。
中でも特に注目を集めたのが、イギリス・スコットランド北部にあるネス湖で目撃された「ネッシー」。
1930年代以降、複数の目撃が報告され、その姿が太古滅んだはずの恐竜の姿に似ていたという話から世界中のメディアが大きく報道。そして、このネッシーを含めたUMA専門誌が多数出版されるなどし、当時大人から子供まで高い注目を集めたのです。
そんな世界規模の人気に便乗してか、単なる見間違えか、当時日本でも北海道の屈斜路湖と鹿児島県の池田湖でネッシーの親戚らしき姿が複数目撃され、屈斜路湖はクッシー、池田湖はイッシーと命名され、こちらは国内限定で大きな話題になりました。
筆者奇遇にもブームが一段落した1980年代に池田湖を訪れたことがあります。当時、ブームが去った後とは言えその人気は健在で、池田湖周辺には観光客が詰めかけ、近隣道路はどこも大渋滞。
現在なら、指宿市内から車で約30分程度で到着しますが、その時は2時間近くかかったことを記憶しています。
そんな1970年代、日本中を賑わせた「イッシー」。あの人は今ではありませんが、あのUMAは今どうなっているのか、ちょっと気になったので現地に足を運んでみました。
2月某日、東京では大雪の取材日。訪れた池田湖はあいにくの空模様。
1980年当時メインだったドライブインは現在使われていなかったようで、近くに新しくできた旅の駅「池田湖パラダイス」に行ってみることに。
到着して最初に目につくのが、池田湖のシンボル「イッシー」の像。
一応まだ正体不明ということらしいのですが、たたまた通りかかった地元の人にその正体について話を聞いてみたところ「県外から来た人がこの湖に住む大ウナギ(市の天然記念物)を見間違えただけ」と高らかに笑いつつ話してくれました。到着してわずか5分で解決です。いや、わかっていたんですけどね、30年前もそんな話ちらっと聞いたことありましたから。
だた池田湖はその昔「神の御池」と呼ばれていたこともあり、更に龍神伝説があるそうです。
イッシーのイメージと龍……重ねあわせるとちょっとロマンが掻き立てられます。というか、その正体が大ウナギではなく、龍神の姿だということにして欲しい!!なんて勝手な想像をしつつ、折角なので池田湖パラダイスさんの中を散策してみました。
今回訪れた「池田湖パラダイス」さん。土産物屋と食事処がメインですが、一番奥のトイレの手前に、大ウナギの実物が生きたまま水槽に入れられ展示されていました。
数匹展示されているようですが、にしてもトイレの前というのがなかなかシュールです。
そしてお土産物売り場で、肝心のイッシーグッズを探してみると……。
木工品がならぶ一角にぽつんとひとつだけ置いてありました。
グッズは「イッシーとイッピーストラップ」。添えられたポップには「かわいさ200%」と絶賛展開中のようですが……。ちょっと待てよ、イッシーにはいつの間にイッピーという(推定メス)お嫁さんができたんだろう?そんな疑問はもうこの際置いといて、この2匹向かい合わせるとハートがの形ができることからセットは恋愛御守りとして840円で売られていました。単品の場合には420円。
他にも何か関連グッズはないものか……と探していると、見つかりませんでしがたこんなものを発見。
「Hがしたくなる飴」「チューしたくなる飴」「結婚したくなる飴」各370円、セット価格1050円。
なんていうか……みうらじゅんが最近提唱している「イヤゲモノ=貰って困る土産物」をパーフェクトに再現したような代物です。ただ一瞬受けを狙うには丁度いいかも、気になる方は池田湖パラダイスでぜひ。
さて、あっさり本命の取材が終わってしまったので、最近口コミで聞いたパワースポット「唐船峡」に寄り道してみることに。
池田湖と同じ県道28号沿いの「唐船峡」は駐車場の入口のアーチをくぐって、約100段の階段を下りた場所になります。平地にぽっこりあいた渓谷のような場所で、そうめん流しが一年中楽しめることで有名。夏には地元民始め、観光客も押し寄せるほどの人気スポットです。
あいにくこの日は雨がちらつく空模様、そのため夏には人が溢れる店内も、オープンスペースは開店休業状態。暖房を完備した室内の方に数組先客がおとずれていました。
さて、口コミで聞いたこの「唐船峡」のパワースポット。筆者霊感皆無なのであくまで“口コミ”情報での補足ですが、霊感ある人曰く一番エネルギーが感じられるのが、湧水の湖の上に作られた川上神社のあたりなんだとか。
この川上神社は、近くにある枚聞神社(地元の方は開聞神社と呼んでました)の摂社で、日量10万トンといわれる湧水は枚聞神社大神に朝夕献供する御饌(みけ)の水源として古くから大切に管理されてきたそうです。そして川上神社の御祭神は弥都波能売神(ミヅハノメノカミ)。日本の代表的な水の神様ですね。
情報をもとに、とりあえずミヅハノメ様にご挨拶。そして神社右手にある水飲み場で湧水を少し分けていただき、朱に塗られた橋を渡ると……霊感こそありませんがなんだかエネルギーを全身で受けた感じがします。
スピリチュアルな場所なのか何なのかは分かりませんが、とにかく気持ちいい場所であることは間違いなさそうです。
この日は雨もちらつく寒い日でしたが、渓谷の底にあるためか、周辺はそこまで寒くなく、なんだか不思議な場所でした。
そして、折角「唐船峡」に来たのにこれを食べずに帰れまい!
というわけで、1300円のハーブ焼き定食をいただきました。焼き魚と、味噌汁、おにぎり2個にそうめんのセットです。
テーブル中央にあるのが流しそうめん機。流れる水は勿論湧水。その中に、そうめんを入れて少しずつとっていただきます。水が美味しいせいか、単なるそうめんがやけに美味しく感じます。
ちなみにこのお水。オープンスペースには水飲み場が用意されており、食事をする場合には自分で持ってくるというセルフサービススタイル。こんな美味しい水が飲み放題です!
食事も終わったところで、指宿市内にもどる県道28号沿いにある、先ほど紹介した枚聞神社にもお参りしてきました。
写真ではわかりにくいですが、天気がよければ本殿の真後ろに開聞岳(別名:薩摩富士)がみえるようです。美しい朱色の建物に、その後ろには薩摩富士……、晴れてさえいればとかなり悔やまれるところです。
かつての薩摩藩主島津家では、戦の命運をこの神社の籤で占ったなんて伝承もあるようで、せっかくなのでと神籤を一つ。
「大吉」でした!
今回筆者が訪れた、池田湖、唐船峡、枚聞神社の3箇所は、全て県道28号線沿いにあります。それぞれ調べつつ撮影しつつのゆっくり訪問でしたが、3箇所回った時間は約3時間程度。
移動は全てレンタカーを使用しましたが、枚聞神社を除き、池田湖と唐船峡にはバスが出ており、枚聞神社はJR開聞駅から徒歩10分ほどの距離。レンタカーを使用しないでも回れるそうなので、この南九州の不思議スポットめぐり。気になる方はぜひチャレンジしてみてください。