寿司チェーン『すしざんまい』を運営する株式会社喜代村の木村清社長が、今ネット上で賞賛の声をあつめています。
きっかけになったのは、ハーバー・ビジネス・オンラインが紹介した、すしざんまいが取り組んでいるソマリア沖の海賊問題。
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■ネットでは「たった一人でソマリア海賊を壊滅させた男」と賞賛
ソマリア沖といえば、機関銃やロケット・ランチャーなどで武装した海賊達が横行し、民間船舶の運航は特に危険をともなうとされている海域。2007年から2011年にかけ、日本の海運会社の船も幾度となく被害にあっています。この問題は当時、世界規模でとりあげられ、EUの艦隊がソマリア沖の海賊対策に乗り出したり、各国も対策を迫られていました。ところがその海賊は外務省が発表している資料によると、2011年頃を境に徐々に減り始め、2014年にいたっては発生件数は11件あるものの被害件数は0へ。2015年は7月31日まで発生自体0となっています。(8月以降は未発表)。
記事ではその背景の一つとして、木村氏の取り組みを紹介。海賊達と話し合い、船を提供し、ソマリア沖でとれるマグロ漁のやりかたを教え、流通ルートを整えるなどの動きをしたと説明。ソマリア海賊の人達は元漁師がほとんど。海賊をしなくても生活できる基盤を整えたことが被害0につながっていると紹介されています。
この内容からネットでは、すしざんまいの木村氏を「たった一人でソマリア海賊を壊滅させた男」として賞賛。今はまだ採算がとれていないことも記事では紹介されているため、「すしざんまいをひいきにしよう!」といった声も上げられています。
▼すしざんまい社長が語る「築地市場移転問題」と「ソマリア海賊問題」
http://hbol.jp/77365
■ソマリア沖海賊被害0には今も活動する自衛隊の力も
ただ、ソマリア沖での海賊被害0には、すしざんまい以外にも各国の力も多分に影響しています。
現在でも、海上自衛隊員約350人を乗せた、護衛艦「DD-114 すずなみ」と「DD-112 まきなみ」が2015年11月からソマリア沖で通りがかる民間船舶の護衛を行っています。 あまり大きく取り上げられることはありませんが、海上自衛隊は2009年から、継続して護衛活動を行っており、2016年1月13日には累計護衛数が700回に達したそうです。なお、1回あたり平均5.8隻を護衛しています。
2014年にはソマリア沖における被害は0とされています。しかしソマリア海賊には未だ襲撃する力と武力があると考えられており、今は被害0であったとしても、今後一度でも商船の乗っ取りが成功すれば、海賊行為が再び活性化すると懸念されています。実際に海外の乗組員の中には、海賊に拘束されたままで解放されていない人達もいるそうです。
海上自衛隊の派遣は約半年サイクルで、新しい隊と交代しているようです。現在活動している約350人の任務が終わるのはあと数か月先。そして一つが戻れば一つがまた向かう。名も無き英雄達の活躍もこの被害0には確実に影響していること忘れないであげてください。
▼防衛省:ソマリア沖・アデン湾における海賊対処
http://www.mod.go.jp/js/Activity/Anti-piracy/anti-piracy.htm
▼外務省:ソマリア沖・アデン湾の海賊等事案の現状と取り組み
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pirate/africa.html
▼外務省:世界全体の海賊等事案発生状況