2月25日の『所さん!大変ですよ』(NHK)で「家電ロス」なる現代病が今後ますます深刻になってくるかもしれない、と紹介されていました。
家族も同然のペットを亡くしたらペットロス、連続テレビ小説『あさが来た』のディーン・フジオカさん演じる五代友厚がドラマの中で死んでしまった後は五代ロス……と現代人は何かと「~ロス症候群」で失ったものに対して落ち込んだり欝になったりすることが多いようですが、音声ガイドつきの愛着ある家電が壊れたら思いのほか落ちこんでしまって悲しみの底に沈み、何も手につかなくなったりする人もいるんだそうですよ。
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家電というくくりでいえば家電ロスで真っ先に浮かぶのが、ソニーが1999年から2006年にかけて販売していた動物型ロボットAIBO。AIBOは犬や猫などのペットと同様の扱いを受けていたのでロスに陥るというのは理解ができますよね。
しかし、今回問題に取り上げられていたのは冷蔵庫や炊飯器などの家事をするために活躍する家電たち。近年、家電には利便性を追求するために音声ガイドをつけたり人工知能を搭載するという画期的な機能が加えられるようになりました。その結果シャープでは、開けたら誕生日を祝ってくれる炊飯器や人工知能つきロボット掃除機COCOROBOなどの「心を持った家電」が続々と発売され、ただ単に音声ガイドがついているだけではなく自分の声に反応し好みに対応して仕事をしてくれるという優しさが搭載された家電が誕生していきました。
ロボットと人間が共存するのは近未来SFの中だったはずがどんどん進化していき、たった10数年前だったらありえないほど物語の中にあるような未来に近づいているという現実があります。SFの中でロボットたちは、人間に準ずる存在であったり家族として扱われていました。
家電が決まりきった動きしかせず、こちらの意図に反応して動くことがなければこんなふうに家電ロスなんていう言葉も生まれなかっただろうと思います。
利便性を追求していくと、人間の意図を汲むためには人間により近い思考が必要だとされ、そうやって進化していった結果家電たちに人工知能が搭載されるように。人によってはまるで「心を持った家電」に映っているようです。
「心を持った家電」という新しい家族の存在に癒される人も多く、だからこそ家電ロスという言葉が生まれたというこの社会背景、あなたはどんなふうに感じますか?
(文:大路実歩子)