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子どもの行動は侮れない 祖父母と子どもが遊ぶ時に注意しておきたい事

 小学校以上は3学期も始まったところが多く、元気に登校していく姿にホッと一息という親御さんも少なくないと思います。いつもの生活が戻ってきて、年末年始に孫の相手をしていた祖父母の皆さんもホッとしているかと思います。しかし、祖父母と孫が遊ぶ機会は年末年始だけではありません。1月と2月には3連休が、そしてゴールデンウイークには最大10連休にもなり、遠方に住む祖父母と孫が遊ぶ機会も増えるかもしれません。何より、子どもが小さいうちは何かと祖父母の力を借りる機会も。そんな状況に、とある脳外科医が年末から子どもの事故についてツイッターで忠告しています。

  •  「子供が生まれて初めての帰省、という方に脳外科医からの忠告 盆と正月には祖父母の家で転んだりした子供の受診が急増します。 祖父母が子育て現役だったのは20~30年前の話。今は筋力も反応速度も危険予知力も落ちてます。家にも段差や突起物が多いです。 失礼でも祖父母を信用しすぎないように。」と発信しているのは、現役脳外科医で、脳外科の手術や日常を綴った4コマ漫画「のうげかなう。」を不定期に公開している赤木継さん。

     子どものケガは日常的なもの。しかし、頭を打ったとなると心配度は一気に上がります。転んで頭をぶつけ、派手に出血したり大きなたんこぶができていたりすると保護者も慌ててしまいます。では、子どもの頭のケガでどういうところに注意して観察したらいいのか、赤木医師に聞いてみました。

     まず、頭部の外傷で受診してくる子どもの内訳として圧倒的に多いのが、「子どもが頭打ったけど、脳が心配だからみてくれ」っていう人。次に多いのが、頭や顔を切ってしまった子ども。顔では特に口の周囲(唇や下アゴ)、まぶたを切ってくる子も多いそう。顔面を打って歯が抜けかかったりしているという相談もあるそうですが、これは口腔外科の管轄となるのでそちらを案内しているとの事。また、目の周囲を打撲してくる子どもは眼科での対応となるので、眼科を案内しているという事です。

     頭をぶつけている場合、多くの保護者が心配する事は、「脳に損傷がいっていないか」という事。よく「CTを撮ってもらえませんか」と来る親御さんも多い様ですが、これについて赤木医師によると、

    1.頭部CTを撮影した方がよい場合

     ・意識がもうろうとしている、意識がない
     ・普段と違う意識の状態(興奮している、同じ質問を繰り返す、呼びかけても反応が鈍い)
     ・頭を触診してみて骨折していると分かる(これは医者でないと分からないと思います)
     ・鼻や耳からサラサラした水が出ている(脳髄液が漏れている)
     ・耳のすぐ後ろあたりに皮下出血がある
     ・目の周りに皮下出血があってパンダの目みたいになっている

     2.頭部CTが推奨されない場合 →上記の1.に一つもあてはまらず、なおかつ下の項目にもすべて当てはまらない場合

     ・おでこ以外の部分に皮下血腫(たんこぶ)がある
     ・頭を打ったとき5秒間以上意識を失っていた
     ・親から見ていつもと違う振る舞いをしている
     ・外傷を負ったメカニズムが重傷なものである(例:車から放出されるほどの交通事故、同乗者が死亡するほどの交通事故、2歳未満なら90cm以上/2歳以上なら1.5m以上の高さからの転落、ヘルメットなしで車にはねられた、野球のボールやバットなどの強い衝撃を頭に受けた、等)

    1.にあてはまらず、なおかつ2.のどれかにあてはまる場合は、症状の推移をみて判断したり、医師の経験や親の希望に基づいてCT撮影するかどうか判断したりするように、となっています。

     との事。大泣きした後にそのまま眠ってしまった場合、これらの観察ポイントをチェックしても、ただ泣き疲れて寝ているだけなのか、ケガにより意識がなくなっているのかを判別するのはなかなか難しいかもしれません。こういう場合は救急外来を受診しても大丈夫です。また、泣き止んだ後にケロッとしてまた遊びだすくらいの元気があれば、そのまま経過観察で大丈夫です。ただ、遅れて症状が出現する事もあるので、一晩は注意して見守った方がいい、という事でした。

     実は、筆者の次女が3歳くらいの時に、2段ベッドの上から転落した事があり、救急外来を受診した事があります。その時の次女は受け答えもいつも通り、特に大きな外傷はなかったものの、問診で頭のぶつけた部分の痛みと、物が2重に見えるような事を言い出したため、念のためにCTを救急で1回、後日もう1回と撮影して経過を見た事があります。脳に損傷はなく、その後も特に問題がなかったので親としては一安心したのでした。当時現役の看護師として働いていても、親の目が離れたすきにこういう事が起こり、知識はあれど診断まではできないので救急外来を受診したのでした。

     古い家屋だと階段が急だったり、梁や段差もあったりして転んだりぶつけたりしやすくなりがちです。また、親の目が離れたところで子どもは突飛な行動をしがちです。祖父母世代はとっさの時に子どもを捕まえる反射神経も現役子育て世代よりも落ちています。核家族化と孤立化が進んできている昨今ですが、子どもは複数の大人の目のあるところで遊ばせ、できれば社会全体で子どもを温かく見守れるようになるといいですよね。

    <記事化協力>
    赤木継さん(@nougekanow) / 4コマ漫画「のうげかなう。

    (梓川みいな / 正看護師)

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  • 梓川みいな看護師(正看護師有資格者)

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    一般内科、呼吸器科、整形外科、老年科、発達障害などを得意とする。医療・介護福祉等に高反応。雑多なネタも紹介していきます。
    娘二人(ともに発達障害あり)とネコ二匹の母。シングル。

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