おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

アメリカ陸軍の新型地対地ミサイル「ディープストライク」の弾頭性能試験が成功 年末の実射試験に向け前進

 アメリカ陸軍用にレイセオンが開発を進めている、新型の地対地ミサイル「ディープストライク」。その弾頭の性能試験が行われ、所定の破壊力を示したと2019年5月22日(現地時間)、レイセオンが発表しました。すでに2019年4月にはロケットモーターの燃焼試験にも成功しており、今年秋以降に予定されている実射試験に向けて、開発計画は大きく前進したことになります。

  •  アメリカ陸軍が現在使用している、1970年代に開発され、まもなく運用期限を迎えようとしているロケット兵器を置き換えるために計画された「高精度打撃ミサイル(Precision Strike Missile=PrSM)」に対し、レイセオンが提案したミサイルシステムが「ディープストライク」です。ロッキード・マーティンがアメリカ陸軍用に生産しているMGM-140 ATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)の倍となる、およそ300km以上の有効射程距離を持つ弾道ミサイルで、GPS誘導とクラスター弾頭により精密な面的制圧を実現するもの。既存のM270A1 MLRS(多連装ロケットシステム)や、M142 HIMARS(高機動ロケット砲システム)といった自走多連装ロケット砲のランチャーから発射できるように要求されています。

     レイセオンのディープストライクはMGM-140 ATACMSよりも直径が小さく、同じスペースに倍搭載できることが大きな特徴。ATACMSは1発あたりM26無誘導ロケット弾6発分のスペースを占めますが、ディープストライクは同じスペースに2発搭載可能なので、MLRSでは最大4発、HIMARSでは最大2発搭載でき、打撃力が向上します。

     アーカンソー州カムデンにある試験施設で実施された、弾頭性能試験の成功を受けて、レイセオン次世代ミサイル部門のトーマス・ブッシング副社長は「今回、ディープストライクの予備設計に立脚した試験に成功したことで、我々が迅速に陸上兵力の要求に合致したものをお届けできるということを示せたと思います。先進技術とミサイル設計開発に関する豊富な経験により、レイセオンは陸軍に最適な長距離地対地ミサイルの供給における無二の地位を築いています」というコメントを発表しています。

     ディープストライクの有効射程距離は、使用する目的や発射する弾道などにもよりますが、おおむね60km~499kmの範囲。計画では2019年の第4四半期に実射テストを予定しており、2023年に初期運用能力獲得を目指すとしています。日本の陸上自衛隊をはじめとする多くの国で採用されているM270 MLRS(多連装ロケットシステム)で運用可能なことから、アメリカでは将来的な有償軍事援助(FMS)による海外セールスも視野に入れています。

    <出典・引用>
    レイセオン ニュースリリース
    アメリカ陸軍装備取得サポートセンター(USAASC)

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 弾道ミサイル対処訓練を行う護衛艦あたごの乗組員(画像:海上自衛隊)
    宇宙・航空

    弾道ミサイルに対処する日米共同訓練「レジリエント・シールド2023」

  • LR-PGKの飛翔イメージ(画像:BAEシステムズ)
    宇宙・航空

    射程距離は「大和」主砲の1.6倍 BAEシステムズ長射程精密誘導砲弾キット実射試…

  • 衛星通信アンテナを展開するアメリカ海兵隊員(画像:USMC)
    宇宙・航空

    アメリカ国防総省 極超音速兵器を探知する人工衛星網構築計画を明らかに

  • MAPSによる対戦車ミサイル防御のイメージ(Image:Lockheed Martin)
    宇宙・航空

    アメリカ陸軍の装甲戦闘車両用次世代防御システム 正式試験へ

  • フォート・ドラムで第10山岳師団の将兵と家族を前にスピーチするペンス副大統領(Image:The White House)
    宇宙・航空

    ペンス副大統領 アメリカ陸軍山岳部隊で退任前最後のスピーチ

  • 宇宙・航空

    アメリカ空軍が輸送機への攻撃能力付加を検討 試験は第4段階へ

  • 宇宙・航空

    恒例の日米共同訓練「キーンソード」始まる 11月5日まで

  • 宇宙・航空

    アメリカ駆逐艦ズムウォルト 新型発射システムでSM-2ミサイルを初発射

  • 宇宙・航空

    アメリカ空軍F-15E 新型精密誘導爆弾「ストームブレイカー」運用を承認

  • 宇宙・航空

    アメリカ新型ICBM ノースロップ・グラマンが開発受注

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • ニキータ・ビア氏の投稿
    インターネット, サービス・テクノロジー

    X、API改定しリプライ浄化 報酬目当ての投稿アプリを出禁

  • 「ゆるキャン△」タイアップ 林野火災予防リーフレット
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    消防庁が「ゆるキャン△」とタイアップ 山火事予防を呼びかけるリーフレット制作

  • 派閥争い終結か!?きのこの山とたけのこの里、マックフルーリーで共闘
    商品・物販, 経済

    派閥争い終結か!?きのこの山とたけのこの里、マックフルーリーで共闘

  • ねるねるねるねアイスバー
    商品・物販, 経済

    テーレッテレー♪ねるねるねるねがアイスに変身 “あたりつき”40周年記念商品を発…

  • 福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ
    インターネット, 社会・物議

    福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ

  • 狂愛ストーリー「ホタルの嫁入り」テレビアニメ化 ノイタミナ枠で放送
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    狂愛ストーリー「ホタルの嫁入り」テレビアニメ化 ノイタミナ枠で放送

  • トピックス

    1. 九州の2大巨頭が夢のコラボ 「ブラックモンブランマンハッタン」食べてみた

      九州の2大巨頭が夢のコラボ 「ブラックモンブランマンハッタン」食べてみた

      九州で育った方なら、誰もが知る2つのソウルフード、竹下製菓のアイス「ブラックモンブラン」と、リョーユ…
    2. ニキータ・ビア氏の投稿

      X、API改定しリプライ浄化 報酬目当ての投稿アプリを出禁

      SNS「X」が、ここ最近リプライ欄を埋め尽くしていた「意味不明な“ヨイショ”投稿」に、ついにメスを入…
    3. 覚悟して食べた昆虫食 セミ・ゴキブリ・カブトムシの中で一番おいしかったのは?

      覚悟して食べた昆虫食 セミ・ゴキブリ・カブトムシの中で一番おいしかったのは?

      東京・吉祥寺を歩いていたところ、思わず二度見してしまう自動販売機に出会いました。売られていたのはジュ…

    編集部おすすめ

    1. 生成AI「Grok」を巡りXが安全対策を強化 編集部が体験した監視の実態

      生成AI「Grok」を巡りXが安全対策を強化 編集部が体験した監視の実態

      昨年12月末、画像編集機能を搭載したことで物議をかもした、X(旧Twitter)の生成AI「Grok」。そのGrokをめぐり、Xの公式安全対…
    2. ねるねるねるねアイスバー

      テーレッテレー♪ねるねるねるねがアイスに変身 “あたりつき”40周年記念商品を発売

      クラシエ株式会社(フーズカンパニー)は、発売から40周年を迎えるロングセラー菓子「ねるねるねるね」を記念し、「ねるねるねるねアイスバー」を2…
    3. 福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ

      福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ

      福岡市は1月13日、SNS上で拡散されている「福岡市で生活保護を断られた母子3人が亡くなった」とする動画や投稿について、「事実ではありません…
    4. クレーンゲーム機「クラウン602」

      タイトー、幻のクレーンゲーム機を全国指名手配 有力情報に賞金10万円

      ゲームセンターの片隅に、あるいは閉店した商店の倉庫に、ひっそりと眠っているかもしれません……。タイトーが今、全国に向けて“指名手配”している…
    5. ぐるなび、個人情報流出を否定 SNS投稿巡り調査結果公表

      ぐるなび、個人情報流出を否定 SNS投稿巡り調査結果公表

      飲食店情報サイト「ぐるなび」を運営する株式会社ぐるなびは1月8日、同社の個人情報流出を巡るSNS上の投稿について、公式サイト上で「調査の結果…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト