スウェーデンの航空機メーカー、サーブは2019年8月26日(現地時間)ブラジル空軍に納入するグリペンEの初号機が初飛行を行ったと発表しました。海外向けのグリペンEとしては初めてのものです。
スウェーデン南部の都市、リンシェーピンにあるサーブの飛行場で行われた初飛行。ブラジル空軍向けグリペンEの1号機を示す「39-6001」の登録記号を記した機体は、ブラジル国旗をモチーフにしたカラフルな特別塗装が垂直尾翼に施されています。
サーブのテストパイロット、リチャード・リュンベルク氏の操縦により、現地時間の14時41分に離陸したグリペンEは、およそ1時間のフライトを行いました。飛行中、異なる高度や速度域での運動性や、各種機器の動作状況などがテストされています。
サーブのブシュケCEOは今回の初飛行について「これはスウェーデンとブラジルとの素晴らしいパートナーシップの象徴です。調達契約が交わされて5年足らずで、ブラジルのグリペン1号機の初飛行を行うことができました」とコメントしています。
この初号機はブラジル空軍向けというだけでなく、ブラジルで製造された初めてのグリペンでもあります。これまでのグリペンと比較して、全く新しいコクピットレイアウトを持ち、計器は大型のワイドエリア・ディスプレイと2台の小型ディスプレイで構成され、ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)も新しいものとなっています。
初飛行の操縦を担当したリュンベルク氏は「パイロットとしては、ブラジル初のグリペンEを操縦できたことは、ブラジル空軍やサーブ、そしてブラジルのパートナー企業の人々がこの飛行機に寄せている気持ちを知っているだけに、非常に光栄なことです。フライトはスムーズで、機体の動きもシミュレータと全く同じものでした。ワイドエリア・ディスプレイを装備した機体を操縦するのも初めての経験でしたし、思った通りのものだったので非常に満足しています」と、初飛行の感想を語っています。
ブラジル空軍では、グリペンEを「F-39」の制式名称で導入することになっており、この39-6001号機はブラジル空軍のテールナンバー「4100」となります。初飛行を終え、今後ブラジル空軍とサーブの共同開発事業の第2段階となる、戦闘機としての戦術システムやセンサー類の試験に供される予定です。
<出典・引用>
サーブ プレスリリース
Image:SAAB
(咲村珠樹)