2019年9月24日、日本国内で初めて実施される航空自衛隊とオーストラリア空軍との共同訓練「武士道ガーディアン19」の戦闘機訓練が始まりました。北海道の千歳基地と青森県の三沢基地、その周辺の訓練空域を舞台に、互いの戦技を磨いています。

 この日豪共同訓練は、日本とオーストラリア両国間の安全保障に関する相互協力の深化にともなうもの。本来は2018年9月に計画されていましたが、同年9月6日に発生した北海道胆振東部地震により1年延期しての実施となりました。

 ホストである航空自衛隊側は、北部方面航空隊の第2航空団(第201飛行隊・第203飛行隊ほか)と第3航空団(第3飛行隊ほか)が参加。オーストラリア空軍は、ウィリアムタウン空軍基地に所在する第81航空団の第77飛行隊を主力とする部隊が参加しています。

 オーストラリア空軍はまず先発隊として、アンバーレイ空軍基地に所在する第36飛行隊のC-17が滞在先となる千歳基地に到着。訓練に必要な物品と要員が現地入りしました。

 荷下ろし作業では、オーストラリア空軍のロードマスターと航空自衛隊の人員が協力。一緒に貨物パレットを押す姿が見られました。C-17のほか、リッチモンド空軍基地に所在する第37飛行隊のC-130Jも物資輸送で千歳にやってきています。


 訓練の主力となる第77飛行隊のF/A-18A/Bは、途中第33飛行隊のKC-30A(エアバスA330MRTT)から空中給油を受けつつ太平洋を北上。上空から雲間にそびえる富士山も見て、千歳基地に到着しました。



 やってきたF/A-18は、第77飛行隊創設77周年記念塗装など、スペシャルマーキング機を複数ともなった7機。千歳基地の隊員も総出で隊旗を並べて歓迎します。




 千歳に到着した第77飛行隊長のジェイソン・イーストホープ中佐を、第2航空団司令の德重広為智空将補が出迎えます。

 また、丸茂吉成航空幕僚長とオーストラリア空軍本部長のメル・ハップフェルド中将は、互いの戦闘機に体験搭乗。丸茂空幕長は第77飛行隊長のイーストホープ中佐が操縦するF/A-18B、ハップフェルド空軍本部長は第201飛行隊長の小森2佐が操縦するF-15DJの後席に搭乗し、フライトを経験しました。



 丸茂空幕長はF-15、ハップフェルド中将はミラージュとF/A-18、ともにファイターパイロット出身だけあり、フライト談義にも花が咲いたようです。

 丸茂空幕長とハップフェルド空軍本部長は、共同訓練「武士道ガーディアン」開始にあたり、共同発表を行いました。

 それによると「この歴史的な訓練は、日豪外務・防衛閣僚会議において実施が発表されたものであり、日豪の『特別な戦略的パートナーシップ』を象徴するもの」であり「このパートナーシップは、共通の戦略的利益及び自由で、開かれ、安定的で、繁栄するインド太平洋に対するコミトメントを含む共有された価値に基づく」としています。

 この共同訓練「武士道ガーディアン19」を通じ、日豪両国は「日豪間の防衛協力・交流の深化」「日豪空軍種における相互運用性の向上」「インド太平洋の平和と安定に向けた貢献」について認識を共有。これからも共同訓練や演習の機会を引き続き追求することを明らかにしています。

 日豪共同訓練「武士道ガーディアン19」は、9月24日~10月4日の戦闘機訓練を中心に、10月8日まで実施されます。戦闘機は10月5日に千歳から撤収する予定です。

<出典・引用>
航空自衛隊 報道発表資料
オーストラリア国防省 プレスリリース
Image:Commonwealth of Australia, Department of Defence

(咲村珠樹)