2020年7月に就役した、アメリカ海軍の最新鋭強襲揚陸艦トリポリが、南米周辺での習熟航海を終え、9月18日に母港となるカリフォルニア州サンディエゴへ到着しました。今後トリポリは、復活した第7水陸両用部隊の旗艦として、太平洋での任務にあたります。
トリポリ(LHA-7)は、ワスプ級強襲揚陸艦の改良型となる、アメリカ級強襲揚陸艦の2番艦。アメリカ級はウェルドックを廃し、F-35BやMV-22など航空機主体の上陸作戦を重視した設計となりましたが、海兵隊からの要望により3番艦以降は、LCAC(エアクッション艇)や水陸両用車が運用可能なウェルドックを復活させることになりました。
ミシシッピ州にあるハンティントン・インガルスのパスカグーラ造船所で建造されたトリポリは、2017年5月1日に進水。2020年2月28日に引き渡され、運用試験の後、7月15日付で就役しました。
就役後、乗組員の習熟航海に出たトリポリは、およそ2か月の間カリブ海や南米周辺の海域で訓練を実施。新たな母港となるサンディエゴへとやってきました。
トリポリ艦長のケビン・マイヤーズ大佐は「乗組員たちは素晴らしい仕事ぶりで、トリポリを母港サンディエゴまで安全に移動させてくれました。そして今、我々は将来の任務――戦闘支援や人道支援を世界中の陸海空で展開することを視野に入れています」とコメントし、まずは無事にサンディエゴ到着を果たした乗組員をねぎらい、またこれからの任務に対する意欲を示しています。
トリポリを旗艦とする部隊として復活した第7水陸両用部隊(PHIBRON 7)司令官のジェニファー・エリンガー大佐は「トリポリの乗組員たちは、この不確実な状況に直面しても、学習し適応し、たえず改善を続ける良い例を示してくれました。今日のサンディエゴ到着はエキサイティングな出来事であり、この瞬間のために乗組員たちは熱心に仕事に取り組んできました」とコメント。新型コロナウイルス禍のため、通常の就役式典をキャンセルするなど前例のない事態にも対処し続けた乗組員たちを称えています。
トリポリの先任伍長、アリシア・ハリソン上級上等兵曹はサンディエゴ到着に際し「私たち海軍へ長年のサポートを続けていることで知られる、この母港サンディエゴへ廻航するのは素敵ですね。船の受領以来、乗艦前の隔離から、新しい健康ガイダンスに従っての航海
など、あらゆる困難に立ち向かってきた乗組員たちには、驚かずにはいられません」とコメントしています。
ハリソン先任伍長の言葉にもある通り、トリポリの乗組員約1100名は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために策定された新しい健康ガイダンスに従っての行動が求められました。乗艦に際しては14日間の移動制限が課せられ、ウイルスに感染していないことを確認したうえで乗艦が許される、という手続きを経ています。
今後トリポリはサンディエゴを拠点に、インド太平洋地域における海兵隊の訓練や戦闘、人道支援といった活動に協力していきます。
<出典・引用>
アメリカ太平洋艦隊 ニュースリリース
Image:U.S.Navy
(咲村珠樹)