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【面白同人】「白い粉これくしょん」で話題のレビューサークル「東相模原研」

 同人サークルといえば二次創作の漫画というイメージが強いかもしれません。でも実際には、オリジナルである一次創作、個人の研究成果、グッズの作成などジャンルは多岐にわたります。

 今回は「着眼点がユニークで幅広いジャンルのレビュー」の活動を行っているサークル・東相模原研のみっぱらさんの同人活動について話をうかがいました。

  •  ――早速ですが、よろしくお願いします。

    (みっぱらさん)
     おねがいしますー

    ■ 幅広いジャンルでの活動 共通はレビュー

     ―― 早速ではありますが、主な活動ジャンルについてお聞かせください。

    (みっぱらさん)
     主な活動ジャンルは、旅行系です。一番新しいものだと、地方空港関連の本を作っています。初期は飲食評論の本を作っていました。そのあと、成分がより純粋になっていって、糖類といった白い粉の本などを作っていました。

    糖類の本

     ―― ジャンルが幅広いですね。「白い粉これくしょん」はタイトルを見ただけでも気になってしまいます。

    (みっぱらさん)
     ありがとうございます。あれはWEBニュースに取り上げられてバズりました。いままで出した本に共通するのは「レビュー」というところですね。

    ■ 経験が別の本に繋がる。創作は経験が大事

     ―― なるほど。その中でも気になるのが食品系ですね。特に「ごまドレ本」と「牛乳のレビュー本」が気になりました。牛乳レビュー本の表紙もパロディーが効いていて、ぱっと見でのインパクトも強いですし。

    ゴマドレ

    (みっぱらさん)
     ごまドレ本を作ったきっかけは、仕事が完全にテレワークになってから太ってしまったので、野菜でも食べなきゃ!と思ってつくりました。ドレッシングを選んでいたらごまドレッシングにハマりました。

     次に牛乳本ですが、何冊か種類があります。「牧場の旅」の方でいいですか?

    牧場の旅

     ―― よろしくお願いします。

    (みっぱらさん)
     牧場の旅の本は、気になった牧場に出かけて行った本です。当時にしてはよくこんなに行動したなあという印象です。表紙がパロディーが効いていて、という話があったんですが、これは実は全くの偶然で指摘されて初めて気づいたというところです。牛を撮影すると自然とこのような構図になってしまうのかと想像しています。

     付け加えることとして、上の本を作ったときに自分で飛行機のチケットを予約して行ったんですが、その経験がいま作っている地方空港本につながっていると思います。

     ―― まさか偶然とは……私はてっきりピンク・フロイドの「原子心母」アルバムジャケットを意識されて写真を撮ったのかなと思っていました。経験が別の本に繋がるのは、私も経験ありますね。

    (みっぱらさん)
     そうですね、本を作っていると他の本や行動を着想することがあります。

     ―― 牧場の旅の本では、旅行でリフレッシュしつつ楽しみながら作られたのかなと感じました。

    (みっぱらさん)
     はい、表紙の中標津はいいところでした。そのあと、帯広空港から羽田空港を経由して関西空港に行ったのが一番大変でした。当時から狂ってました。

     ―― それは凄い……相当な強行スケジュールですね。

    (みっぱらさん)
     当時はペーパードライバーでレンタカーじゃなかったんですよね。牧場のおじさんに近くの駅まで連れてってもらったりして当日飛行機のチケットを取ったりしてました。いまじゃ考えられないですw

     ―― 確かに……。当日だと、チケットが取れなかったら最悪一泊しないといけないですし……か、考えたくないですね。

    ■ 豆乳を2日、3人で100本飲む食品のレビュー本へのこだわり 

     ―― パック牛乳や特別牛乳のレビュー本は、合計の飲んだ牛乳の種類も驚かされますが、大変だったのではないですか?

    (みっぱらさん)
     一日に一本なので、そこまで大変ではないです。さすがに500mlを一気に飲むとお腹がいっぱいになりますが。沢山飲んだので大変だったのは、キッコーマンの本でしたね。100本くらいを2日くらいに分けて3人で飲んでました。(詳しいことは、本文のあとがきを見てください。)

     ―― キッコーマンの豆乳本ですね。73種類レビューしたという……。

    豆乳表紙
    豆乳中身

    (みっぱらさん)
     それです。中身の写真を撮らないといけなかったんで全部空けましたね。

     ―― 私もライター業務以外にコンビニで発注担当しているので、よく目にしている豆乳なのですが、健康コーラやラッシーは見たことなかったですね。こういったものがあったのか……と驚きました。

    (みっぱらさん)
     季節モノがあったり単発だったりするので見かけたらラッキーという感じですね。一緒に本を書いた人が、取り扱い業者から直接、また、輸入代行業者を介して買ってきたものもあります。

     ―― 輸入代行業者を介して……それは凄いですね。中身の写真もあったり、商品データも載ってたりとこだわりも凄い……これは実際に飲みたい……けど生産終了になっているのも多いのが残念でなりませんね……こういった記録があると、ユーザーとしても製造元としても嬉しいでしょうね。

    (みっぱらさん)
     そうですね。そして、新商品が出るとまた追っかけないといけません。

     ―― それは楽しみにしています

    (みっぱらさん)
     ありがとうございます。何種類か溜まったら、というところですね。

     ―― 豆乳や牛乳パックでも紙パックの形状自体違ったりしますが……例えば、1Lの豆乳と濃厚豆乳は同じ紙パックで、豆腐がつくれる豆乳だけ違っていたりしていますが、理由等は分かりますでしょうか。

    (みっぱらさん)
     1Lの豆乳というのは、調製と無調整のどちらか、あるいはどちらも指しているのだと思いますが、豆腐のできるやつだけは確かにそれらと微妙に形が違います。

     豆腐のできる豆乳は、ちょっとずつ直接飲むことは想定しておらず、料理に一本まるごと一気に使うことを想定しているので、プラスチックの注ぎノズルが付属しておらず、それを刺す穴もありません。「ここをハサミで切って」という線がついているだけ……と言う形になります。このような回答で大丈夫ですか?

     ―― ありがとうございます。用途が違うので紙パックも違うと……なるほど。牛乳や豆乳のレビューの他にもごまドレ本もありましたが、そちらの方はこだわりはありますでしょうか?

    (みっぱらさん)
     やはりコンビニといえばセイコーマートは外せなかったので、首都圏にあるセイコーマートに実際に行ったところですかね。本文でも触れましたが、ドレッシング単体での販売はなく、やはり本家・北海道のセイコーマートでも調査が必要だったと感じています。

     ―― 確かにセイコーマートさんは外せないですね。個人的にはポプラやオレンジハートさんも好きですけど。

    (みっぱらさん)
     オレンジハートは知りませんでした、ちょっと調べてみます!

     ―― 実家が東北なので……東北ローカルですね。……っとと話がズレてしまいました。北海道のセイコーマートさんへの調査ともなると、現地へ飛ばないまでも、大変だったのではないですか?

    (みっぱらさん)
     首都圏だと、基本的に幹線道路沿いに店舗があるので、駅から近い店舗をいくつかプロットしてそこに行きました。車で行った方が効率は良さそうです。

     ―― 確かに、駅からだと少し歩く店舗が多い印象がありますね、セイコーマートさん。

    (みっぱらさん)
     車で行ってもいいんですが、都内は怖いので電車で行きました。(ペーパードライバーでしたが、離島ならレンタカーで走れるくらいにはなりました。)

    ■きっかけはコミケの一般参加 色々な作品に触れることが大事

     ―― なるほど。私もペーパードライバーなので分かります。そういったレビュー本を多く書かれていますが、同人活動を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

    (みっぱらさん)
     きっかけというと、コミケに一般参加したことですね。いつも行っていたサークルにインスパイアされて、今とは別のジャンルで同人活動を始めてコミケにサークル参加しました。そのサークルも数年やって一区切り着いたので、その当時足繁く通っていた評論島(※)に参加したくて今のサークルを始めました。

     (※)評論島とは、批評、風刺、ジョーク、ユーモア、レポート、エッセイ、育児体験記、旅行、料理、ミリタリなど、多彩な雑学、コラムに該当するジャンルの集まりの事を表す。即売会ではそれらは同じ場所に配置されることが多いので、島という表現がされている。

    ■ これから創作活動をする人達へ エアイベントの重要性

     ―― なるほど、一般参加で興味を。興味、作ってみたいという所からはじめると創作は面白いですしね、分かります。現在、コロナ等で即売会に参加しづらい環境もあると思いますが、現在創作活動で気をつけてることはありますでしょうか?

    (みっぱらさん)
     コロナ関連でいうと、即売会が行われていないのでインターネット上での活動に少し荷重を移しています。以前作ったりした本を公開したりしています。なにせ通販が動かないので自分でなんとかしないといけません。

     ―― そうですね。イベントが減ってきていて、主催さんも頑張ってくれているのですが、ある程度は自分でなんとかしないといけなくなっています。

    (みっぱらさん)
     エアイベントには、なるべく乗っかっていく方針でやっております。

     ―― 最近はエアイベントも多くなっていて、通常のイベントと勝手が違いますが、サークルさんはみんな大変だとは思います。

    (みっぱらさん)
     fantiaやfanboxなどのプラットフォームがありますが、評論系サークルの場合はどのように乗っかっていくのか試されるところはありますね。個人的には基本的に無料、という方向になるんじゃないかと思っています。

     ―― 私もジャンルは評論、コラム系のサークルなので、今後どうしようかなと思うところはありますね……。そんな中、これから新規で同人活動をはじめる方へのアドバイス等はありますでしょうか?

    (みっぱらさん)
     うーん難しいですねえ。ありきたりですが、まずは形にすること、世に発表することです。そしてそれを続けることが大事だと思います。

     ―― 今回は取材を受けてくださりありがとうございました。最後に、今後の活動の予定等あれば是非。

    (みっぱらさん)
     ありがとうございます。現在は日本のすべての空港に行くことを目標にしています。何年かかるかわかりませんが全部行ったら本にしようと思います。

    * * * * * * *

     今回は幅広いジャンルのレビューを行う同人サークル、「東相模原研」さんを紹介しました。飲食評論系・空港系同人を扱っていまして、現在、幾つかの作品は電子書籍でサンプルページの公開等が行われているので、気になる方はまず電子書籍版でチェックしてみると良いと思います。特に豆乳本は個人的にお勧めです。

    <取材協力>
    みっぱらさん(Twitter:@higashisagamiha/HP:https://ch.nicovideo.jp/higashisagamiha/

    (戦魂)

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