バレリーナのきゅっとまとまったシニヨン(お団子頭)ってとても美しいですよね。バレエでは、なるべく頭が小さく見えるようにシニヨンを作らなければいけないので、おしゃれなヘアアレンジとして作るシニヨンとはひと味違った工夫が必要になります。

 バレエ歴21年の筆者が長年の経験から編み出した美しいシニヨンのコツをご紹介します。バレエ女子の皆さん、バレエ女子の保護者の皆さんはぜひ参考にしてみてください。

■ シニヨン作りに必要なアイテム

 まずは、シニヨン作りに必要なアイテムをご紹介します。

▼シニヨン作りに必要なアイテム▼
・目の細かいコーム
・太めのゴム(2本)
・アメピン(15本以上、たくさんあると望ましい)
・Uピン(同上)
・シニヨンネット
・霧吹き(水を入れる)
・ハードジェル
・ハードスプレー
・スティック型ワックス

 ほとんどのアイテムが100均やドラッグストア、コンビニなどで揃えられます。ただし、シニヨンネットだけはバレエ用品店で購入することを強くおすすめします。一般的なシニヨンネットの場合、ネットの線が太いためシニヨンが変に目立ってしまう可能性があります。

 一般的なものと違い、バレエ用のシニヨンネットは髪の毛のような細い糸でできており、ネットの線が目立ちません。また髪の量に合わせてシニヨンの大きさを調整しやすいため、シニヨンネットはぜひバレエ用品店で購入してみてください。

後ろから

■ シニヨンの作り方

 バレエのシニヨンには、前髪をオールバックにするものやセンター分けにするもの、低い位置で作るシニヨンなど、さまざまな種類があります。

 今回は最もオーソドックスな「前髪オールバック&高い位置で作るシニヨン」の作り方を解説していきます。

(1)水で髪を濡らす

 まずは扱いやすくするために、霧吹きを使って髪全体を水で濡らします。ヘアアレンジ用のミストがある方はそれを使っても大丈夫です。

(1)水で髪を濡らす

(2)耳より上の髪を結ぶ

 ここからはポニーテールを作る作業に入るのですが、髪が多い人やポニーテールにするのが苦手な人は、髪を「耳上」「耳下」の2つに分けて結ぶとやりやすいです。

 まず「耳上」「耳下」で髪をわけます。耳上の基準は横から見たときの、耳の上部(耳輪)あたり。その辺を境に髪を上下にわけ、先に「耳上」の髪を束ねていきます。

 この時「前髪を作っていない」、いわゆるワンレングスの人の場合は、一緒に耳上のポニーテールで束ねていきましょう。前髪がある人はこの段階、下ろしたままで大丈夫。なお、耳上で結んだゴムは、後の工程で外します。

 結ぶ位置はゴールデンポイントといわれる「あごと耳上を結んだ延長線上」よりやや低い場所がおすすめです。頭の形にもよりますが、個人的にはゴールデンポイントでポニーテールを作ってしまうとシニヨンの位置が高くなりすぎると感じています。実践してみてご自身のちょうどいい高さを見つけてください。

(2)耳より上の髪を結ぶ

(3)耳下の髪を結ぶ

 続いて耳下の髪を結んでいきます。うなじをきれいに仕上げるために、上を向きながら髪を集めるのがポイントです。

(3)耳より下の髪を結ぶ

 耳上のポニーテールに合体させる形で耳下の髪もゴムでまとめます。(2)で結んだ耳上のゴムよりも頭皮側にゴムが来るように意識しながら結びましょう。

ゴムを引っ張る方向と逆方向にポニーテールを引っ張りながら結ぶ

 このときに、ゴムを引っ張る方向と逆方向にポニーテールを引っ張りながら結ぶとキツく結べるのでおすすめです。

結び終わり

(4)(2)のゴムを外す

 可能であれば、耳上の髪を結んだゴムを外します。

(2)のゴムを外す

 理由としては、太いゴムを使用しているため、ゴムが2本ある状態でシニヨンを作るとシニヨンの中でゴムがポコッと盛り上がってシニヨンの形が崩れるからです。

(5)前髪をオールバックにする

 前髪がある人は、ここでオールバックにしていきます。前髪がない人は先に説明したとおり、(2)の耳上ポニーテールを作る段階で一緒に結んでおきましょう。

 まずハードジェルをコームに直接付け、そのまま前髪を後ろにとかすようにして上げていきます。

前髪をオールバックにする
前髪を後ろにとかす

 短い前髪が浮いてこないよう、適宜アメピンで留めることも綺麗に仕上げるポイントです。

(6)後れ毛をまとめる

 きれいなシニヨンを作るためには、1本の後れ毛も許されません。この段階では、スティック型ワックスを使って襟足の後れ毛をまとめていきます。

 最初に襟足から上に向かってスティック型ワックスをなでつけていきます。

(6)後れ毛をまとめる

 続いて、コームで下から上に向かってとかし、髪の毛の「たるみ」をポニーテールの根元に集めます。このときも顔を上に向けながらとかすようにしてください。

髪の毛の「たるみ」をポニーテールの根元に集めます

 髪の毛の「たるみ」をアメピンで留めます。真っ直ぐ向いたときにうなじにたるみができないように、髪の毛をピンと張るイメージです。ポニーテールの根元付近のピンはシニヨンで隠れるので問題ありません。※画像は見えやすいように毛先をまとめています。

※画像は見えやすいように毛先をまとめています。

(7)シニヨンを作る

 いよいよシニヨンの形にしていきます。 ポニーテールをねじりながら髪の毛をゴムにそってまきつけ、シニヨンの形にします。整ったら、シニヨンネットをかぶせます。このとき大きめなネットなら二重にしてかぶせます。

ポニーテールをねじりながら髪の毛をゴムにそってまきつけ、シニヨンの形にします

 かぶせたら、シニヨンがなるべく平たくなるように、指を使ってシニヨンの厚みを薄くします。

シニヨンがなるべく平たくなるように、指を使ってシニヨンの厚みを薄くします

(8)Uピンでシニヨンを固定する

 Uピンを使ってシニヨンを固定していきます。このときのポイントは、Uピンを一度シニヨンの外側に向かって挿し、表面の髪をすくうように留めることです。

 このような「すくい留め」をすることで、シニヨンと頭の一体感が増し、頭が小さく見えます。

▼すくい留めのイメージ▼
1:外側に向かってUピンを挿す
2:表面の髪をすくう
3:中心に向かって返し、Uピンをグッと挿し込む

すくい留めのイメージ

(9)仕上げ

 最後の仕上げにハードスプレーをかけていきます。本番用のシニヨンであれば、1本も髪が落ちてこないようにガチガチに固めます。

 後れ毛がしっかりまとまったら、外しても問題なさそうなアメピンをとりましょう。よりスッキリした見た目に仕上がります。

最後の仕上げにハードスプレーをかけていきます

(10)完成

 ハードスプレーが乾いたら完成です。うなじの後れ毛が出てきていないかなど、合わせ鏡を使って360度全方向から見え方を確認してください。

 もし固まったあとに後れ毛を見つけたときは、(1)で使用したミストを軽くかけたあとに手やコームを使ってなでつけてください。固まっていない場合はそのままなでつけるだけで整えられます。

横から見たイメージ
後ろから見たイメージ

■ バレエ用のシニヨンは頭を小さく見せることが大切!何度も練習しよう

 バレエ歴21年の筆者のこだわりがギュッとつまったシニヨンの作り方をご紹介しました。髪の長さや量、頭の形によって、ポニーテールの位置など細かな部分は変わってきます。何度も練習して、自分の頭が一番綺麗に見えるシニヨンをマスターしてくださいね!

【追記】(9)の項目に「外しても問題なさそうなアメピンをとりましょう~」の一文を追記しました。(2022年5月31日09時17分)

(上村舞)