50度を超えることもあるという、真夏の炎天下における車内温度。そんな中にもしも取り残されてしまったら、大人であれば脱出方法を思い付くでしょうが、小さな子どもの場合はそうはいきません。

 そんな危険なシーンを想定し、イラストレーターのヤコンヌさんが注意喚起のための自作ポスターを公開しました。「車に閉じ込められたらクラクションを鳴らす」という行動が、イラスト付きで分かりやすく描かれています。

 毎年夏になると、車の車内に小さな子どもが取り残され熱中症により死亡する、という悲しいニュースが報道されています。つい先日にも、通園バスの中に子どもが取り残され、その後亡くなる事件がおきました。連日の報道をみて心を痛めた方も多いと思います。

 「車内に閉じ込められたらクラクションを鳴らす、という手段は、実は以前別の県で同じような事件があった際に、ツイッターで広まった情報なんです。でも、また同じようなことが起こってしまった、という悔しい気持ちがあり、何か自分にも出来ることはないのか?と思って描きました」

 ポスター制作の背景を、このように説明したヤコンヌさん。自身も一児の母であることから、こうした事件がとても他人事とは思えなかったのでしょう。注意喚起と再発防止の願いを、1枚のポスターに込めました。

 イラストは、黄色と赤という目立つ配色に加え、ハンドルにあるラッパのマークを強く押す、という行動が文字でもイラストでも一目で分かる仕様になっています。子どもに見せるだけでなく、印刷して車内に掲示しておくのも良いでしょう(ヤコンヌさんは自由に使用することを許可しています)。

もしも車内に閉じ込められたら……注意喚起ポスターをイラストレーターが制作

 とにかく大切なのは、こうした緊急事態に子どもがひとりで助けを求めることが出来るようになること。そもそも、車内に子どもが取り残されてしまう、ということ自体、あってはならないことですが、万が一にも遭遇してしまった場合に備え、クラクションの使い方を子どもに教える意義はあると思います。

 また、周囲の大人も、クラクションが鳴っている車を発見した際に、絶対に聞き流さないこと。おかしい、と感じたらすぐに車内の様子を確認し、取り残されていたら通報する、周囲の人に知らせるなど、適切な対応を取ることが重要です。

 9月に入ったとはいえ、まだまだ残暑が厳しいこの季節。エンジンを切った状態であれば、あっという間に車内温度が上昇することは容易に想像できますし、もちろん冬も、車内温度は外気温とほぼ変わらず、氷点下に至ることもしばしば。防寒具なしにこうした状況に耐えることは非常に困難でしょう。

 今後、悲しい事件を二度と起こさないためにも、このポスターを見せながらお子さんに伝える、話し合うなど、活用してみてはいかがでしょうか。筆者も早速、子どもと一緒にクラクションを鳴らす練習をしたいと思います。

 なお、車種によってはエンジンオフ(エンジンを切った状態)の際に、クラクションが作動しないことがあります。そのケースも考え、クラクションだけではなく、ドアをあけての脱出方法や、他の方法もお子さんと一緒に考え、対策を用意しておくとなお良いでしょう。

※追記を行いました。追記か所は、最後の行「車種によっては~」です。(更新:2022年9月15日)

<記事化協力>
ヤコンヌさん(@yaco1981)

(山口弘剛)