「特撮映像館」、前回に続いて『GANTZ』完結編を取り上げます。実写版オリジナルの完結のさせ方はまずまず納得。さらに特撮合成も技術の進化を感じさせる作品です。

実写版『GANTZ』二部作の完結編。注目は完結していない原作を映画版でどのように完結させるか、だっただろう。これはアニメ版でも同様で、アニメなりの完結はなかなか興味深いものだった。実写版がどのような結末を用意したのか、まずはそこが気になるところだ。


原作のエピソードをほぼなぞる形で進んだ前作と違って、本作は全体的に実写版のオリジナル色が濃くなっている。仏像編でそれまでのメンバーがほぼ入れ替わるのは原作同様だが、そのあとに集められたメンバーたちは原作のキャラクターではあるものの設定は実写版オリジナルとなっている。また「GANTZ」の星人狩りメンバーに敵対する形で登場するのも、原作のヴァンパイアというものではない。

特撮に関しては前作同様CG合成による効果が全面的に活かされているのだが、今回は前作で星人に倒された加藤が蘇り、それが星人の変身であり、GANTZによって蘇った本当の加藤と対決するという、加藤対加藤のシーンがみどころ。同じ人物が同一画面に登場するというのは古くから特撮合成では扱われているものだが、本作を見るとその合成技術がここまで違和感なく見られるほどに進化していたんだと実感させられる。また前作と違って異形の星人というより、人間の姿をした相手やGANTZメンバー同士の争いのシーンが中心であることも、加藤対加藤のシーンに力が入れられたのではないだろうか。

最終的に実写版は独自の結末を迎えるわけだが、これはこれで確かにひとつの終わり方だろう。映画として、ストーリーとしてこの結末には違和感は無い。前作のレビューでも触れたが、この結末だからこその二宮和也の玄野が活きるといえる。

テレビアニメ版にしても実写映画版にしても、結果的に原作からの映像化というのは仏像編までというのはいささか残念で、今後それ以降の原作ストーリーを映像化したものがまた出てくるのではないかという気がしてしまう。ちょっと期待もしてしまうが、このまま原作、アニメ、実写と別々の物のままにしておいてもいいような気もしないでもない。
 
監督/佐藤信介 特技監督/神谷 誠
キャスト/二宮和也、松山ケンイチ、吉高由里子、本郷奏多、田口トモロヲ、綾野 剛、山田孝之、ほか。
2011年/141分/日本

(文:猫目ユウ)