おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【特撮映像館】Act.81 MOON CHILD

update:

「特撮映像館」、今回は2003年、Gackt、HYDEが主演した吸血鬼テーマの作品「MOON CHILD」を取り上げます。アジアの架空の都市を舞台に、そこに生きる少年が出会った吸血鬼は…。激しいガンアクションも見どころのひとつです。

Gackt原案の吸血鬼テーマの近未来SF(?)映画。


  • 吸血鬼映画といえばサイレント時代からブラム・ストーカーの原作を映像化した作品などがあり、『ノスフェラトゥ』『魔人ドラキュラ』やクリストファー・リーの「ドラキュラシリーズ」など映画の1ジャンルといってもいいほどの作品が作られている。70年代までは吸血鬼といえば「ドラキュラ」、ブラム・ストーカーの原作を基にしたものがほとんどで、そのアレンジだったり映画独自の続編だったりしたわけだが、『インタビュー・ウィズ・バンパイア』以降、新しいイメージの吸血鬼映画が作られるようになった印象がある。

    日本でも岸田 森の「血を吸うシリーズ」などがあるが、日本を舞台にするということや吸血鬼そのものが西洋からの輸入という印象からか、ストーカーの原作とは離れた作品であることが多かった。本作は新しいイメージによる吸血鬼モノになるわけだが、陽の光で滅びるという吸血鬼の基本的な設定以外は自由に扱われているようだ。また吸血鬼の恐ろしさという恐怖映画的な流れではなく、人の血を吸わなければ生きていけない、あるいは永遠に生き続けるということの哀しさに焦点を当てている。

    吸血鬼モノというとキバなどの特殊メイクを想像するが、本作では特に特殊メイクはない。特撮部分に関しても吸血鬼の常人以上の動きを表現するところで使われている以外はとくに吸血鬼としての能力を特撮で表現するということはなかった。このこと自体が吸血鬼を新しい視点で描こうとしているためという印象もあるのだが…まあ予算がなかったからということではあるまい。

    舞台設定はアジアの架空都市で、経済破綻した日本からの移民があふれている街。ロケは台湾で行われたようだ。
    「MOON CHILD」というタイトルはなかなか素敵で吸血鬼をイメージさせるのには十分であり、作品中月の映像も印象的に使われているのだが、もう一歩、タイトルに結びつくような台詞回しが欲しかったような気もする。

    ミュージシャンが主演した映画ということで敬遠するむきもあるかもしれないが、作品としてはなかなかの仕上がり。寺島 進や山本太郎の演技もいい。ちなみに山本は本作でブルーリボンの助演男優賞を受賞している。

    監督/瀬々敬久
    キャスト/Gackt、HYDE、ワン・リーホン、ゼニー・クォック、寺島 進、山本太郎、石橋 凌、ほか。
    2003年/119分/日本

    (文:猫目ユウ)

    あわせて読みたい関連記事
  • サムシングフォーってそういう……偶然にもモデルガンが揃ってしまった奇跡のウェディングフォト
    インターネット, びっくり・驚き

    サムシングフォーってそういう……偶然にもモデルガンが揃ってしまった奇跡のウェディ…

  • GACKTが語るメディア不信と対抗の覚悟 “抑止力”という言い分にNO
    エンタメ, 芸能人

    GACKTが語るメディア不信と対抗の覚悟 “抑止力”という言い分にNO

  • 画像提供:架空昭和史作家 西川真周さん(@mashunishikawa)
    インターネット, おもしろ

    家のトイレが巨大ロボのコクピットに!昭和とSFが融合した「架空昭和史」の世界に夢…

  • 劇中セリフやBGMを収録!バンダイから大人向けなりきり玩具「ブンブンチェンジアックス」発売
    アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    劇中セリフやBGMを収録!バンダイから大人向けなりきり玩具「ブンブンチェンジアッ…

  • シャリバン役の渡洋史も登壇!宇宙刑事シリーズ40周年記念の上映会が開催
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    シャリバン役の渡洋史も登壇!宇宙刑事シリーズ40周年記念の上映会が開催

  • 「アルネの事件簿」がテレビアニメ化!原作イラストレーターによる記念イラストも解禁
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「アルネの事件簿」がテレビアニメ化!原作イラストレーターによる記念イラストも解禁…

  • なりすまし詐欺に騙される心理をGACKTが指摘 「毎日が退屈だなと思う人ほど気をつけて欲しい」
    エンタメ, 芸能人

    なりすまし詐欺に騙される心理をGACKTが指摘 「毎日が退屈だなと思う人ほど気を…

  • 「特捜戦隊デカレンジャー」20周年記念ファンミ開催!主要キャスト6人が勢揃い
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    「特捜戦隊デカレンジャー」20周年記念ファンミ開催!主要キャスト6人が勢揃い

  • 「CHEF-1グランプリ2024」国民代表審査員にGACKT就任
    TV・ドラマ, エンタメ

    GACKTが国民代表審査員に就任 若手料理人No.1決定戦「CHEF-1グランプ…

  • 「獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリボルバー -MEMORIAL EDITION-」
    アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    聞いて驚けぇぇぇ!獣電戦隊キョウリュウジャー「ガブリボルバー」がメモリアル仕様に…

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      プロの声楽家として活動する傍ら、1時間1000円から自分の時間を「レンタル」している男性。キャリア豊…
    2. ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムハンバーガーは10月14日に、カニを丸ごと挟んだ「丸ごと!!カニバーガー」を販売開始しました…
    3. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト