「不法投棄」と言うと普通は山や川などに、大がかりな物と思われる方が多いと思います。しかし「不法投棄」はそれだけではありません身近なコンビニにも発生しています。筆者はライターとして活動をしつつ、接客業が好きなので同時にコンビニ店員としても約10年勤務しています。本コラムでは、コンビニに発生する「不法投棄」について店員視点で紹介致します。

■そもそもコンビニのゴミ箱になぜ家庭ゴミを捨ててはいけないのか?

 コンビニのゴミ箱はどんなゴミでも捨てて良いと思っているお客様も多いと思いますが、実情を見てみると「家庭ゴミ禁止」と記載されているコンビニも多くなっています。

 具体的に「家庭ゴミ禁止」と書かれているゴミ箱に家庭ゴミを捨てる場合、業務妨害罪や不法投棄にあたる場合があります。コンビニ店員はある程度は許容して訴えたりはしないですが、あまりにも酷い場合警察に相談する場合もありますので、ゴミを捨てる時は気をつけてください。

■車の部品やバッテリーなど捨てるのにお金が掛かる物

 コンビニで主に捨てられる不法投棄は、捨てるのにお金が掛かる物、バッテリーやガス缶等捨てるのに処理が必要で面倒な物が多いです。

 中でも多いのは、ガスが溜まったままのライターや携帯電話のバッテリーです。これらを燃えるゴミのゴミ箱にそのまま捨てられている事があります。携帯電話のバッテリーは、そのままでは捨てられないですし、ガスの入ったライターもガスを出し切ってからじゃないと捨てられないのでコンビニ店員は、時間の空いた時にガス抜き等をして捨てています。本来の時間でできない事もあるので、休憩時間の合間や業務が終わってから残業して処理する場合も。

■忘れ物なのか、捨てているか分からない傘

 筆者はコンビニで捨てられて一番困る物を教えてくださいと言われたら真っ先に「傘」と答える位、傘が一番大変です。風が強い日は1日で10本位、傘立てに放置されている時があります。

 傘の困る所は忘れ物か捨てて行ったのかが店側では判断できない事です。明らかに壊れていても一定期間は保管して、一定期間持ち主が現れなかった場合に初めて捨てる事ができます。

 また、地域によっては捨てる際に布と骨組みを分解して捨てないと回収されないので、分解する必要がある店舗もあります。倉庫が忘れ物の傘でいっぱいになっているお店も珍しくないです。日によっては、半年程保管していて、取りに来られなかった傘を1日で100本程分解して業者に回収して貰った事もあります。

■火のついたままの煙草の吸い殻、おむつ、ごきぶりホイホイ、ねずみ取り等危険な物

 これも頻度としては多いのですが、火のついた煙草をそのままゴミ箱に捨てて行くケース。これはボヤ騒ぎが起きた事もあります。他にも、使用済みの封をしてないおむつ、捕らえて中に生きたままの生き物が入っているごきぶりホイホイやねずみ取りが捨てられている場合もあります。

 これらを捨てられると、本来の業務ができない場合もあり大変だったりします。他、血糖用の注射器や針等、病院で回収しないといけない物も捨てられており、対応に困っております。

■大人のおもちゃ(使用済)等

 これらは店舗内のトイレに捨てられている場合が多く、“おかず”と一緒のパターンが多いです。困るのはその“おかず”が未会計の雑誌だったりする事があり、店の負担で雑誌を破棄しているので、金銭的被害も出ています。数年に1回流行るのか、忘れた頃に連続で発生し警察を呼んで対応して貰っています。さらに、証拠を隠滅したいのか雑誌をトイレに流して詰らせる場合も……ほんとやめてください。

■イベント物

 花見のシーズンや、クリスマス、ハロウィン、正月、祭りの時期に多く見られる光景なのですが、コスプレ衣装やBBQの網、ビニールシートに始まり、電飾や屋台の部品、屋台の売れ残りの食材が発泡スチロールごと、時には荷物を運ぶ台車までもが捨てられていたりします。こういう物は役場と連携・協力し、処分していますが、毎年数が多く専門のトラックが来て回収する程です。中には汚物や盗難品も含まれているので、慎重に処分しています。

 ゴミを決まった日程に捨てる、決まった事をしてからでないと捨てられないゴミを捨てるのは大変です。筆者もそれはよく分かります。ただ、分かって欲しいのは相手が見ず知らずのレジの人でも誰かに迷惑をかけている事を。頭の片隅でいいので入れておいて欲しいです。

(戦魂)