誰もが一度は目にしたことがあるであろう「非常口」の誘導標式。出口の光に向かって駆けるような人の姿のピクトグラムが印象的です。この非常口の標識をアレンジした一風変わったアート作品が注目を集めています。

 平面で二次元の「非常口の人物」が透明な膜を押し出し、立体的な三次元に。躍動感にあふれる作品を発表したツイートには20万件もの「いいね」が付いています。

 作品の制作・投稿を行ったのは松枝 悠希さん(@matsueda_yuki)。今回の非常口の作品以外にも平面から飛び出す立体作品を多数手がけており、作品をSNS等を通じて発表しているほか、国内・海外で展示を行うなど積極的に活動を行っています。

卵の黄身が飛び出す作品

転倒注意の人物が飛び出す作品

 「ある日他の作品に使用する透明パーツ(カップのような形)を制作している時に失敗(型が台座から外れて透明部分にくっついてしまった)して、飛び出して(脱出して)いるように見えたのがとてもグッと来て作品にしようと思いました」

 飛び出す作品制作のきっかけをこのように話す松枝さん。「失敗は成功の母」とはよく言いますが、着眼点が非常にユニークです。物を見るときに平面よりも立体にしたほうがわかりやすいなと感じたらそれがアイディアになり、こうしたネタはすでに松枝さんの頭の中にたくさんあるのだそう。

二次元から三次元へ 単純なようで斬新なアイディア

 今回の作品は実際の非常口の標識を加工したものではなく、一から手作りで再現。特にこだわったのは透明の膜の部分で、熱で板を柔らかくして加工し、納得の行く形が出来るまで何度も伸ばしなおすのだそう。加えて樹脂の板は一度伸ばすと使用出来なくなるので、一発勝負。高い集中力を要する作業であることがわかります。

 この斬新なアイディアには「ユーモア性があってこういうの好きだなぁ……」「思いつくだけではなく、作品に仕上げる本当の天才」と称賛の声が寄せられ、多くの方が驚いた様子。

 作品に寄せられた大きな反響に対し、松枝さんは「これがバズるということなのですね!初めてでびっくりしています」と前置きし、「これからも皆さんが『お!』となるような作品を作っていきたいと思います!」と今後の創作活動への意欲を語ってくれました。

<記事化協力>
松枝 悠希さん(@matsueda_yuki)

(山口弘剛)