「うちの本棚」、今回は横山光輝の未単行本化作品『宇宙警備隊』をご紹介します。横山作品らしい宇宙SF作品ですので、ぜひ単行本化してほしいですね。

本作品は横山の代表作のひとつ『伊賀の影丸』の第一話と第二話との間に「少年サンデー」に連載された。


もともと『伊賀の影丸』連載開始にあたって、忍者ものの次に宇宙SFモノをという編集長の意向があり、それを条件に『伊賀の影丸』がスタートしたという経緯があったようだ。本作も横山ならではのSF作品で、本来ならもっと長期の連載も可能だったと思われるが『伊賀の影丸』が予想以上の人気となり第二話の要望が大きかったために比較的短期に連載が終了したと見られる。

本作は二話からなっており、第一話「宇宙ギャング」、第二話「最期の日」とサブタイトルがつけられている。第一話は『宇宙船レッドシャーク』のような宇宙ロケットとパイロットが活躍するSFアクションといった印象だが、第二話は一転して太陽の活動の活発化で地上の生物が絶滅するという話しになる。主人公は密かに選抜された地球脱出組の人々の護衛に付くという展開だ。限られた人員しか脱出できない状況の中で選抜される人々ということにはこの際触れずに、地上の生物の最期を描いていくというストーリーは、のちの『マーズ』にもイメージはつながる。主人公を含めた護衛部隊も脱出組とは無縁の自己犠牲を前提とした活躍であるところも横山らしい設定だろう。

タイトルである「宇宙警備隊」だが、横山はこの作品が連載された1961年、『時間警備隊(タイムパトロール)』という作品を発表している。宇宙を守る組織を描くということで「警備隊」をそのまま流用したのかもしれない。

また「書誌」にはアップルBOXクリエートから刊行された版を記載したが、これは自費出版(同人誌)の範疇であり、公式な単行本は現在までのところまだ刊行されていない。

初出/少年サンデー(1961年39号~1962年15号)
書誌/アップルBOXクリエート・横山光輝名作集19、20(全2巻)

(文:猫目ユウ)