おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【うちの本棚】178回 魔女っ子メグちゃん/池原しげと

魔女っ子メグちゃん「うちの本棚」、アニメ作品のコミカライズを取り上げてきたシリーズも今回でいったん終了。最後にご紹介するのは,池原しげとの『魔女っ子メグちゃん』です。

最初の単行本「てんとう虫コミックス」版はプレミアのつく希少本でしたが、その単行本の内容に加え、未収録だったものを全て収録したのが、ご紹介する「イースト・プレス」版でした。

【関連:番外編 筆者のカオス本棚を初公開】

魔女っ子メグちゃん


  • 本書はテレビアニメ『魔女っ子メグちゃん』の放映に合わせて、主に小学館の学年誌に連載された池原しげとによるコミカライズ作品を完全収録したものである。
    1975年に1冊だけ刊行されたてんとう虫コミックス版はその後古書価格が高騰し、本書の帯では「一冊20万円以上」とも記されている。そんなてんとう虫コミックスの内容を完全収録した上に、これまで単行本未収録だったものをすべて詰め込んだ、ファン待望の一冊だった。

    ちなみに、てんとう虫コミックスは小学館の発行であり、主に学年誌に掲載された作品を刊行するシリーズであったが、この『魔女っ子メグちゃん』は潮出版発行の「希望の友」に連載されたものをまとめている。
    学年誌版は、主に低学年向けの内容になっていて、カタカナにもひらがなのルビがふられていたりするが、それまで読むことの出来なかったものがこうしてまとめられたのは「事件」と言ってもいいくらいの印象があった。
    この作品の人気の高さは、主にアニメ作品の影響ではあるのだが、気軽に読めないという状況もそれに拍車をかけていたといえるだろう。

    それにしても、同じ作者が同じ作品を4誌に連載していたというのは、なかなかすごいことである。それぞれ月刊誌であるからその月に放映されるアニメ版のエピソードを網羅できたのではないだろうか。

    アニメ版ではキャラクター設定と作画監督を務めた荒木伸吾が、メグに、その前に担当していたキューティーハニーがダブったと言い、声を担当した吉田理保子は、そのあとに担当した『グレンダイザー』のマリアにメグがだぶったという。

    本書も刊行からすでに十年以上が経過しており、こちらもプレミアがつくようになっているかもしれない。
    そうそう、個人的にはメグよりノンが好きでした。

    書 名/魔女っ子メグちゃん
    著者名/池原しげと
    出版元/イースト・プレス
    判 型/B6判
    定 価/1900円
    シリーズ名/なし
    初版発行日/2001年4月1日
    収録作品/てんとう虫コミックス版、希望の友版、小学一年生版、小学三年生版、小学四年生版、描き下ろし短編

    (文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/

    あわせて読みたい関連記事
  • イデオン表紙
    コラム・レビュー

    【うちの本棚】169回 伝説巨神イデオン/古城武司、池原しげと(原作・矢立 肇、…

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第七十六回 超人戦隊バラタック/池原しげと

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

      違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

      旧き良き銭湯が異次元の入浴空間に変身するイベント「脳汁銭湯」が、11月26日から12月7日まで東京・…
    2. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…
    3. フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      SNS上には今日も、「○○が当たる!」といったプレゼント告知があふれています。いまや日常の景色と言っ…

    編集部おすすめ

    1. 事業者向け「ASKUL」Web注文、12月第1週に再開 “明日来る”配送は当面遅れる見込み

      事業者向け「ASKUL」Web注文、12月第1週に再開 “明日来る”配送は当面遅れる見込み

      アスクル株式会社は11月28日、10月19日に発生したランサムウェア攻撃によるシステム障害の復旧状況について第11報を公表しました。 事業所…
    2. 誤表記

      もちづきさん、カロリーを低く表記し謝罪 読者に“チェック”呼びかけ

      漫画「ドカ食いダイスキ! もちづきさん」公式Xが11月27日夜に更新し、作品の一部でカロリーを実際よりも低く表記していたと謝罪しました。当該…
    3. ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロ…
    4. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に基づく誤通報だったことが判明。通報者自身…
    5. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト