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【無所可用】第55回 キモい!は勲章~爬虫類両生類を超えた領域「奇蟲」のおはなし~

update:

オオヤスデヌイグルミ2毎度駅弁の蓋の裏側のような話題をお送りしております「無所可用、安所困苦哉」でございます。夏と言えば昆虫採集!ですが、昆虫ではない変な虫についてのお話です。

なお、あまりにもインパクトの強い外見をしている虫についてのお話を致しますので、写真は最小限に止めます。画像を見たい方はネットにいくらでもありますので覚悟して検索してください。

【関連:第49回 巳年です。ヘビ飼育はいかが?~ヘビの飼育についてのおはなし~】

オオヤスデヌイグルミ2


  • 爬虫類のお店に行くと、爬虫類・両生類以外にもいろいろと売られています。特に多いのが虫というか蟲です。
    中でも多いのはタランンチュラとサソリとムカデです。どれも有毒な生物ですが、人が死ぬような強毒性のものは一部であり、また攻撃的でないものも多くいます。しかしまぁ見た目はキモイですよね。以前、コドモの学校の学園祭で爬虫類の展示を手伝っていた時、見に来た小学生の女の子から、展示してあったタランチュラを手に乗せてみたいと言われました。他のメンバーがみな観覧者対応していたので、ワタシがケージから出して手に乗せてあげることに。実はなにげにタランチュラ初体験だったのですが、ワタシがビビっていては小学生がもっとビビってしまうので、何事もないかのようにさらりと掬い(こういう動物は上からつかまれるのを嫌いますので、下からすくいます)、手に乗せてあげました。満足気にタランチュラを眺めていたあの少女は、将来有望です。

    さてご紹介したいのはもうちょっと強烈な蟲たちです。

    ○タマヤスデ(メガボール、キャンディーボール等)
    ヤスデの仲間ですが、ダンゴムシのように丸くなります。大きなものになると丸まったサイズが500円玉くらい。ダンゴムシとはまったく無縁ですが見た目は似ています。キャンディーボールは少し小さいですがカラフルで、確かに飴玉という感じがします。ヤスデなので土壌生物で、落ち葉などを食べています。

    ○タンザニアオオヤスデ
    これもヤスデです。世界最大級と言われており、体長は20㎝くらい。トップ画像の縫いぐるみはタンザニアオオヤスデの実物大縫いぐるみ。爬虫類イベントで購入しました。これも落ち葉主食の土壌生物で毒などまったく無いのですが、突然目の前に現れたらやはり「ちょっと引いた」程度では済まないでしょう。でも縫いぐるみにするとかわいいです。ちなみにぬいぐるみ店の店主によれば、カエルやヘビのぬいぐるみよりも数倍の手間がかかるとのこと。このぬいぐるみも実物のヤスデより若干高価でした(笑)。

    さて、この先はビジュアル的にもかなりキツい蟲になってきます。「世界3大奇蟲」と呼ばれるものです。

    ○サソリモドキ(ビネガロン)
    サソリに似ていますが別の動物です。サソリモドキの名の通りサソリのようなハサミがあります。尾は細長く、尾からは毒ではないものの酢酸・蟻酸などが混合した液を噴射します。刺したりはしませんが、目などに入ると危険ではあります。
    日本でも八重山、沖縄等に生息しており、八丈島にも移入種として生息しています。ハサミは長く鋭い棘が多く、かつかなり強力なため、直接触れるのはおすすめしないととある店で伺いました。

    ○ヒヨケムシ
    実は一口にヒヨケムシと言っても1000種以上あります。全身に毛が生え、足は10本あり、鋏角と呼ばれる強力で大きなな顎を持っています。体の長いクモのような見た目ですが、頭部を見れば大きな鋏角が見え、これを見たら触る気はなくなります。毒はありません。ヒヨケムシがラクダや人を毒で襲うとか穴を開けるとかいうのはデタラメです。しかしかなりのハンターであり、昆虫はもちろん、大型のものではトカゲ、ネズミなども襲います。クモと同じく消化液を出して獲物を体外で消化して吸収しますので、自分より大きなものでも獲物にします。鋏角で咬まれれば、穴とはいかないまでも相当な傷になるのは確かでしょう。体に対して大きな獲物を捕獲する捕食シーンを目撃すると、変な伝説が出てきてしまうのも頷けます。

    ○ウデムシ
    タガメやカマキリの、獲物を捉える前足、あれを非常に大きくし、尾のないサソリの体にくっつけ、残りの8本の脚をどうしてこうなったと思うほどに長くした感じ、というのがウデムシの姿です。ウデムシは他の何かの動物に似ていると言いがたい、非常にオンリーワンな外見を持っている蟲です。ウデムシという和名とても特徴を捉えた和名です。
    体はかなり平べったく、まずここから例えようがありません。腕と表現される触肢は左右に長く伸び、関節があって鎌状になっています。折りたたまれている写真が多いですが、触肢の内側には小さな棘が並びいかにも捕獲用という外見です。タガメに似た形ですが、体の大きさに対し触肢の大きさはアンバランスなほど大きいです。8本の歩脚は非常に長く、見る人によってはここもゾワゾワする部分でしょう。
    種類の多いヒヨケムシと違い、現時点では80種前後と少数。しかし新種も時折見つかっています。

    というわけでキワモノな生物のご紹介でした。どれも画像はネットに豊富にありますが、爬虫類・両生類のイベントに行けば実物にもお目にかかれます。ヒヨケムシやウデムシなどは、実物を見ると「あれ、意外と小さい」と感じるかもしれません。なお、「飼ってみたい」と思われた方、飼育方法が確立されている種ばかりではありませんので、各自の工夫や考察が大事になることをお忘れなく。


    以後閲覧注意……


    では、最後にウデムシの画像をどうぞ。



    ウデムシ2匹
    画像URL:https://otakuma.net/archives/2013081503.html/%e3%82%a6%e3%83%87%e3%83%a0%e3%82%b7%ef%bc%92%e5%8c%b9

    写真協力:Pumilio http://www.maroon.dti.ne.jp/pumilio/ いつもお世話になっている両生類メインのお店です。タマヤスデの写真なども見られます。

    (文・写真:エドガー)

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