佐賀県唐津市といえば、唐津城や虹の松原、近辺では美しいと評判の海を持ち、最近では”ある大人気アニメの聖地”として、訪れるファンを多く集めています。特に3月からは作品とのタイアップが実施され、地元の観光協会総会出席者の話によると、開催2ヶ月間に訪れた観光客は世界27カ国、のべ2万2千人にも達したそうです。
さて、その佐賀県唐津市には主人公の実家のモデルと言われる場所があります。編集部ではこれまで何度か聖地巡礼記事をお届けしてきましたが、訪問するなかでふとあることを小耳に挟んだのです。主人公の実家モデルの目の前の山に「正真正銘の聖地がある……」と。
主人公の実家モデルの正面には「鏡山」と呼ばれる、標高283.6メートルの山があります。噂の聖地はその中。
鏡山は虹の松原とならぶ、唐津の名所として知られ、山の上からは虹の松原を見下ろすことができる絶景スポットになっています。しかし、噂の聖地はそれとは別。この山には愛染院や、日本三大悲恋の一つ『佐用姫伝説』の佐用姫を祀った聖地もありますが、噂の聖地は愛染院を抜けた先にひっそりある『鏡山道祖神』。
■鏡山道祖神
『鏡山道祖神』は長年地元の守り神として大切に扱われてきました。しかし昭和28年の西日本水害で一旦流されてしまい、昭和29年の復興作業中に発見されることに。そこで、「粗末にはできない」ということでこの鏡山に移されてきました。ただし、現在あるその姿は新しく作り直され、元の道祖神もすぐ隣に置かれています。
その現在の鏡山道祖神が写真の通り。じゃん!(cv:主人公の幼少期風)。高さは土台から3mぐらいの高さがあります。本体だけでも160cmほどはありそう……お、おっきいです。これは陰陽石と言われるもので、陰は女性、陽は男性を表すとされ、この鏡山道祖神は男女一体となり根元に女性的なものも存在しています。そのため今ではハイブリッド道祖神と呼ばれることもあるようです。
▼鏡山道祖神の由来より
「道祖神は日本における原始の神の一つである巨石をもって象徴され街路に座して悪霊を防遇する威力を有する神とされ即ち男女の生殖を象って神体とし男女下症の平穏良縁出産家庭円満商売繁昌幼児守護又旅行者(旅人)安全の神として村々の境界坂の上口等に祀られてきた
特に家庭円満の基礎は夫婦(男女)の営みの成功(性交)に依るものであり、精力の限りを尽くし努力して打てし止まぬの不屈の〇為が子供(金)を産み出すこととなり子々孫々の繁栄の原動力となり商売繁昌の道しるべとされた
命婦十一面観世音菩薩」
道祖神の役割は子孫繁栄、邪気払いなど色々ありますが、ここの場合は「子孫繁栄(子宝)」「夫婦円満」を願って建てられています。
■地元の人に言い伝えを聞いてみた
そして地元の方に聞いた話によると、「子どもは子どもを引く」ということで特に小さい子供は立ち寄ってはいけないと言い伝えられているそうです。とはいえ、取材当日おとずれたときには大人の男性に引率された中学生集団を目撃しました。どうやら中学生以上はOKということのようですね。
それにしても某アニメ主人公の実家の向かいの山にまさかこんな場所があろうとは……。登場人物の1人が子だくさんな設定をふと思い出し……もしかしたらお参りに来たのかしら?なんて余計なことも少し考えてしまいました。なお、行かれる場合には、ちょっとわかりにくいところにあるので、愛染院からの道筋にある案内板(これまたわかりにくい置き方をされている)を探しつつ慎重に向かってくださいね。
(天汐香弓 / 取材・PinkMagazine編集部)