2018年6月3日から8日(現地時間)、ドイツ南東部、ニュルンベルク近くにあるグラーフェンヴェーアで、8か国が参加した戦車競技会「ストロング・ヨーロッパ・タンク・チャレンジ」が開催され、各国を代表した戦車兵がその技量を競いました。
今年で3回目の開催となる「ストロング・ヨーロッパ・タンク・チャレンジ(SETC)」。アメリカ欧州陸軍(第7軍)とドイツ陸軍が共同で利用している、総面積223平方km以上という広大なグラーフェンヴェーア演習場を舞台に、各国から参加した戦車隊がその技量を競い、互いの理解と友好を深める競技会です。
2018年の大会に参加したのは、以下のような戦車隊。カッコ内は使用する戦車です。
アメリカ:第1歩兵師団第2旅団装甲戦闘団第70戦車連隊第2大隊(M1A2SEP)
ドイツ:第3戦車大隊(レオパルト2A6)
イギリス:王立装甲軍団クイーンズ・ロイヤル・ハッサーズ(チャレンジャー2)
ウクライナ:第14機械化大隊第1戦車隊(T-84)
オーストリア:第14戦車大隊第6戦車隊(レオパルト2A4)
スウェーデン:スカラボリ連隊ワルトフタ戦車隊(Strv.122)
フランス:第1猟兵連隊(ルクレール)
ポーランド:第34装甲騎兵大隊(レオパルト2A5)
イギリスとスウェーデンは今回初参加。そしてウクライナはNATO加盟国ではないものの、NATOとパートナー国の協定が結ばれており、この戦車競技会に先立ってアメリカとの合同演習「コンバインド・リゾルブX」を行なっています。
優勝から第3位までのチームには、APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)を模した木製のトロフィーとメダルが授与されます。
それぞれの主力戦車を持ち寄り、各国の誇りと名誉をかけての真剣勝負。とはいえ、競技を通じて友好と親善を図るのが目的なので、互いの主力戦車を見学しあったり、戦車兵ならではの交流も行います。
戦車競技は走行や射撃の成績だけでなく、弾薬補給などの部分についても行われます。スウェーデンのチームには女性戦車兵の姿も。リアルに「ガールズ&パンツァー」ですね。
また、戦車兵個人の技量についても競技が行われるのも特徴。ハンドガンでの射撃やフィールド走など、兵士の基礎的な部分についての競技は結構きつそうですね。「戦車兵」としての総合力が試されます。
さて、注目の結果ですが、優勝は地元ドイツチーム。スウェーデンが2位、オーストリアが3位という結果になりました。このグラーフェンヴェーア演習場はドイツ統一前の1907年、当時のバイエルン王国陸軍によって大砲の発射演習場として作られた、111年の長い歴史を持つ場所。ドイツチームは地元の面目躍如といったところでしょうか。また、最優秀射撃賞はアメリカチームが獲得しました。
NATO加盟国を中心にし、ロシアを中心とした「戦車バイアスロン大会」と双璧をなす戦車競技会といった感じになってきた「ストロング・ヨーロッパ・タンク・チャレンジ(SETC)」。こちらも戦車バイアスロンのように、テレビ中継がなされるようになると、もっとスポーツっぽさが出てくるようになるんでしょうね。
Image:U.S.ARMY
(咲村珠樹)