今年も、東日本大震災の発生した3月11日がやってきます。観測史上日本最大規模のマグニチュード9.0を観測した、東北地方太平洋沖地震をはじめとした一連の地震は、東日本の太平洋側を中心に甚大な被害をもたらしました。福島県の地元紙、福島民報と地元ラジオ局のラジオ福島は、県民の防災意識向上を目指す取り組みとして、3月11日の20時30分から、ラジオを使った「夜の避難訓練」を実施します。

 夜間に発生する地震に備えるため、自宅で電気を消した状態でラジオの声を頼りに、寝ている状態から玄関に避難するまでの手順を訓練するプログラムです。なお、この「夜の避難訓練」で使用された音源は、放送後にYouTubeやradiko.jpで配信されます。

 防災のための警句「天災は忘れた頃に来る」にもあるように、災害、特に前触れなく発生する大地震は時を選びません。2011年、東日本大震災の被害報道があふれる3月12日未明の3時59分に発生した長野県北部地震(最大震度6強)をはじめ、2016年4月14日の21時26分、4月16日1時25分に、いずれも最大震度7を観測した地震を中心に、震度6弱~震度7の地震が相次いで発生した熊本地震、そして記憶に新しい2018年9月6日の3時8分ごろに発生した北海道胆振東部地震(最大震度7)など、夜間や未明の時間帯に発生した大地震は東日本大震災の後に限っても、数々あるのです。

 このため、昼間だけでなく、明かりのない夜間に「どのように避難するか」を考えておくのは、非常に重要なこと。福島民報とラジオ福島は、東日本大震災が発生した3月11日に「震災を振り返るのではなく、震災に備えるために」20時30分から「夜の避難訓練」というものを実施します。これは、自宅でラジオを聴きながら行う避難訓練。

 当日の20時30分から、ラジオ福島では「夜の避難訓練」という番組を放送します。夜間に発生した大地震を想定し、ラジオから流れる声を頼りに、寝ている状態から玄関に避難するまでを3つのステップで訓練することのできるプログラムです。これは一般社団法人 地域防災支援協会の協力のもとに開発されたものだといいます。


 夜間に発生した大地震のため、停電した(ラジオは電池で聞いている)という設定。暗闇の中、懐中電灯などの明かりを探し、それを頼りに着替えなどをし、玄関までたどり着くまでの訓練です。

 この訓練に際し、地域防災支援協会の三平洵代表理事から示された注意点は、次の6つです。

■訓練でケガをしないよう、ゆっくり行動するなど安全には十分注意しましょう。
■訓練開始前に、一連の行動をイメージトレーニングすることも重要です。
■覚醒には、しばらく時間がかかることが予想されますので、すぐには動かず様子を見ましょう。
■同居者がいる場合は、大きな声で、お互いに声掛けをしましょう。
■寝室は要配慮者のみならず、健常者にとっても生理的に弱い場所であることを認識し、周囲に倒れやすいものや落ちてくるものを置かない、あるいは転倒落下防止措置などをしっかり行っておきましょう。
■短時間の訓練ですが、気づいたことはメモを取るなど、これからの防災への備えに活かしましょう。


 避難訓練というと、学校や職場、地域の自治会などで昼間に行うことが多く、夜間それも家庭内で行った経験のある方は少ないと思います。普段の生活空間の中でも、暗闇になってしまうと勝手が違って思い通りに移動できないかもしれません。今回は家屋内の被害がない想定で行いますが、実際の時には家財道具が倒れて散乱していることも予想されます。しかし、事前に「そうかもしれない」と予想して動けるかどうかで、災害に見舞われた時の心の持ちようは変わってきます。ラジオ福島が聴取できない地域の皆さんも、一度経験してみるといいかもしれません。

情報提供:福島民報社

(咲村珠樹)