レッドブル・エアレースに参戦する唯一の日本人パイロットであり、2017年にアジア人として初のワールドチャンピオンとなった室屋義秀選手。2018秋にホームであるふくしまスカイパーク(福島市大笹生字苧畑1-33)に「ハンガー1」という航空機展示場をオープンし、様々な活動の拠点としています。2019年4月14日、このハンガー1一般公開が行われました。
福島市郊外にある、ふくしまスカイパーク(福島飯坂地区農道離着陸場)に誕生した、室屋選手の活動拠点となる施設、それが「ハンガー1(HANGAR 1)」です。自身が代表を務める株式会社パスファインダーが管理しており、使用しているエアロバティック機の展示場として一般公開するほか、子供を対象にした航空から未来を考える体験教室「空ラボ」、またイベント会場など多目的に使用できるようになっています。
建物は2階建て。1階は航空機展示場やミュージアム、展示スペースとなっており、2階には「空ラボ」の教室としても使用される多目的サロン、そして飛行場全体を見渡せる屋外テラスなどが設けられています。タイミングがよければ、ふくしまスカイパークを利用する航空機が離着陸する様子も見ることができます。
一般公開日となった2019年4月14日は、東北をはじめ関東などから多くの室屋ファンが集まりました。開場時間の11時まで、駐車場などではファン同士の交流も行われています。
公開時間は11時~15時。ゲートを入ると、滑走路をモチーフにしたアプローチが続きます。滑走路番号はもちろん、レッドブル・エアレースで室屋選手のナンバーである「31」。ちなみに滑走路番号は、磁方位の北を0度(360度)として時計回りの角度上2桁(10度単位)を滑走路端に記し、どちらの方角へ滑走路が伸びているかを示すもの。ふくしまスカイパークの場合は「14/32」と、ほぼ南北方向に伸びています。
建物内に入ると、すぐ左手にミュージアム(展示ケース)があります。現在はレッドブル・エアレースで獲得したトロフィや室屋選手の着用するパイロットスーツとヘルメット、そして2017年に福島県民栄誉賞を受賞した際に贈られた大堀相馬焼の大皿が展示されています。
2019年は新たに、開幕戦のアブダビ大会で優勝した際のトロフィも加わりました。デザインのモチーフになっているのは、アラブの狩猟(鷹狩り)で用いられるハヤブサです。
航空機展示場では、室屋選手のパネルがお出迎え。奥には室屋選手がエアショウで使用しているエアロバティック機が展示されています。現役で使用しているエアロバティック機がこれだけ並んで展示されているのは、日本ではここだけ。
エクストラ300S(登録記号:JA11DB)は単座のエアロバティック機。レッドブルのデザインで2007年から飛んでいます。
黄色と黒のブライトリングカラーが鮮やかなエクストラ300L(登録記号:JA111E)は、複座のエアロバティック機。かつて筆者も室屋選手の操縦でエアロバティック飛行を体験した機体でもあります。
シルバーのエクストラ330SC(登録記号:JA111F)は、レクサス(LEXUS)のロゴが入った単座機。300馬力のエクストラ300よりパワフルな、315馬力のライカミングAEIO-580エンジンを装備しています。2013年から5大会連続で世界エアロバティック選手権(WAC)を制している名機です。
そして新たに加わったのが、ダークブルーのエクストラ330LX(登録記号:JA111Y)。かつてレッドブル・エアレースのチャレンジャーカップで使われていた機種なので、ファンにはおなじみですね。まだどのような塗装になるかは決まっていませんが、近日中にエアショウデビューする予定なのでお楽しみに。
展示場内には、室屋選手のグッズが購入できるスポットもあります。2019年の千葉大会は9月7日(予選)、8日(決勝)と暑い中でのレースとなるので、室屋選手のスポーツタオルを手に観戦するのもおすすめです。
航空機展示場内では安全のため、飲食が禁止されています。また、引火性の高い航空燃料もあるため、禁煙となっているのでご注意を。飲食の際はふくしまスカイパークに併設された公園や、飲食施設の「Wing Cafe」(営業時間10時~16時・定休日:月・火曜)を利用してください。
このハンガー1では、これからも1か月に1回程度、一般公開日が設けられています。次回は5月5日の11時~15時、6月16日の11時~15時に実施予定。7月以降の公開日については、株式会社パスファインダーのHANGAR 1特設ページに随時掲載予定となっています。
取材協力:株式会社パスファインダー
(取材:咲村珠樹)