おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

10年ぶりに空母も参加!アラスカでのアメリカ軍統合演習「ノーザン・エッジ2019」終了

 アメリカの太平洋空軍が主催する、2年に1度の恒例の統合演習「ノーザン・エッジ2019」が5月13日~24日(現地時間)に実施されました。この演習はアラスカ地域における最大規模の演習で、空軍・海軍・海兵隊、そして州兵などから航空機約250機、人員1万人以上が参加しています。

  •  統合演習「ノーザン・エッジ」は、インド太平洋地域における安全保障上の危機に対して、アメリカインド太平洋軍の指揮下にある各部隊が相互連携をスムーズに行うために実施されるもの。航空機はアラスカ州のイールソン空軍基地、エルメンドルフ・リチャードソン統合基地を拠点に活動したほか、2009年以来となる空母部隊の参加も実現。、空母セオドア・ルーズベルト(CVN-71)と第23駆逐隊(DESRON 23)、第11空母航空団(CVW-11)からなる第9空母打撃群(CSG-9)が演習に参加しました。

     航空部隊の演習は、地上および海上の部隊を守るため、航空優勢(旧来の制空権)を確立するための戦技を主に訓練しました。具体的には、早期警戒管制機による空域の警戒監視と統制、戦闘機が迅速に進出するための空中給油、そして戦闘機の空中戦闘に関する能力に磨きをかけます。



     空軍から参加した戦闘機は、地元アラスカのエルメンドルフ・リチャードソン統合基地に所在する第525戦闘飛行隊のF-22、沖縄県嘉手納基地の第18戦闘航空団、ネバダ州ネリス空軍基地の第57航空団に所属するF-15、フロリダ州エグリン空軍基地の第46試験航空団に所属するF-15EとF-16など。



     空中戦闘の相手方となったのは、アラスカ州イールソン空軍基地に所在するアメリカ空軍第18仮想敵飛行隊。このほか、戦闘機の訓練を請け負う民間企業ATAC(エアボーン・タクティカル・アドバンテージ・カンパニー)のホーカー・ハンターMk.58(旧スイス空軍所属機)も相手方となって訓練を行なっています。



     海兵隊からは、山口県岩国基地のVFMA-121に所属するF-35Bが参加しました。また海軍からは久々の参加空母として、空母セオドア・ルーズベルトが母港のサンディエゴから、はるばるアラスカ沖まで進出して訓練を行なっています。

     2009年以来10年ぶりに空母が参加したことについて、第9空母打撃群(CSG-9)司令官のダニエル・ドゥイヤー少将は「10年ぶりに空母がノーザン・エッジに参加することになり、アラスカ湾にやってきていることに興奮を禁じえません。アラスカは戦略的に重要な場所であり、各軍が統合して任務に取り組み、演習を実施することは、自由で開かれたインド太平洋地域を維持する、ということにアメリカが関与するということを示す一端となります」とコメントしています。

     また各軍が統合して演習を行う意義について、ドゥイヤー少将は「たとえば高校のアメフトチームで考えると、ライバル校と練習試合をすると、さらにレベルアップするでしょう。ノーザン・エッジはそれに似ています。空軍や海兵隊と共に訓練を行うことで、さらに技量が向上していくわけです」と、スポーツに例えて説明しています。

     空母セオドア・ルーズベルトがアラスカ海域で訓練するのは、これが初めての機会となりました。艦長のカルロス・サルディエロ大佐は「新しい環境で各軍と統合訓練を行い、能力を磨くことができたのは非常に大きいことです。これによって我々空母ルーズベルトは、いつどこへ派遣されようとも、統合戦力の一員として任務遂行ができます」というコメントを残しています。

     10年ぶりに空母を交えた演習となった「ノーザン・エッジ2019」。様々な懸念材料が存在するインド太平洋地域において、アメリカ軍がどのように関与していくのか、その一端を感じられる演習となったようです。

    <出典・引用>
    アメリカ海軍プレスリリース
    アメリカインド太平洋軍プレスリリース
    Image:USAF/U.S.Navy

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • メキシコ料理店「マイクス」で人気のタコサラダに入ったモントレーファヒータ
    宇宙・航空

    アメリカ軍人に人気のメキシコ料理店「マイクス」に行ってきた

  • 衛星通信アンテナを展開するアメリカ海兵隊員(画像:USMC)
    宇宙・航空

    アメリカ国防総省 極超音速兵器を探知する人工衛星網構築計画を明らかに

  • 発射される迎撃ミサイル(Image:アメリカミサイル防衛局)
    宇宙・航空

    アメリカ弾道ミサイル防衛システム「3段目を使わない」迎撃ミサイル試験に成功

  • 記者会見するブリンケン国務長官(左)ストルテンベルグNATO事務総長(中)オースティン国防長官(右)(Image:NATO)
    宇宙・航空

    アメリカ軍とNATO軍 アフガニスタンからの撤退を正式決定

  • 対中タスクフォース設立を発表するバイデン大統領(Image:ホワイトハウス)
    宇宙・航空

    バイデン大統領 国防総省内に対中国タスクフォース設置を発表

  • 空中発進式戦闘ドローン「LongShot」のコンセプトイラスト(Image:Northrop Grumman)
    宇宙・航空

    アメリカ軍 空中発進式戦闘ドローン「ロングショット」開発計画発表

  • 連邦議会で警備にあたる州兵(Image:U.S.National Guard)
    宇宙・航空

    大統領就任式警備の州兵「不適切なコメントや文章」などで12名が任務から除外

  • 宇宙・航空

    軍隊・自衛隊のチャレンジコインは連帯の証

  • 宇宙・航空

    アメリカの州兵が感謝祭恒例「幸せのおすそ分け」活動を実施

  • 宇宙・航空

    ロシアがリビアで軍事活動活発化 傘下の民間軍事会社を活用

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

  • 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み
    エンタメ, 芸能人

    松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み…

  • 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

  • 11月17日からの平日限定で、「かっぱの挑戦 感謝祭」をスタート
    イベント・キャンペーン, 経済

    かっぱ寿司、おにぎりとかけうどんが平日限定で各82円に 「かっぱの挑戦 感謝祭」…

  • 「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる
    エンタメ, 映画

    「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる

  • ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設
    企業・サービス, 経済

    ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設

  • トピックス

    1. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…
    2. 「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      2025年11月12日午前7時に配信された「State of Play 日本」にて、「ドラゴンクエス…
    3. アカウント1の投稿

      【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ある日の調査作業の過程で、SNS「X」上において、急成長中の越境EC大手「Temu」のサポート担当を…

    編集部おすすめ

    1. 「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月18日18時、新たな投稿を…
    2. 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      俳優の松山ケンイチさんが11月17日、自身のXアカウント「松山ケンイチ(@K_Matsuyama2023)」でユーモア企画「誰も傷つけない悪…
    3. 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月17日、作品の掲載順に関す…
    4. 今年もやってきた“本番環境の事故録” Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      本番環境などでの失敗談が集結 Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      稼働中のサーバーでの作業ミスによるトラブルの顛末をつづる「本番環境などでやらかしちゃった人 Advent Calendar 2025」が12…
    5. 床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      頭をぐりぐり動かしながら、床の上を滑っていく1匹のワンちゃん。飼い主さんが「モップ機能つき生ルンバ」と呼ぶビションフリーゼ・せとくんの動画が…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト