BAEシステムズは2019年7月22日(現地時間)、受注したアメリカ海軍の5インチ砲Mk45のアップグレード改修のうち、最初の5門を出荷したと発表しました。これは既存のMod2仕様を最新のMod4仕様にするもので、最大射程距離の延長が図られます。

 アメリカ海軍の主力艦載砲であるMk45。海上自衛隊でも、あたご型以降の護衛艦に主砲として採用されています。アメリカ海軍では1971年から最初期型Mod0の採用が始まりました。

 砲は自動装填式になっており、砲塔下部の回転式弾倉に600~680発装填可能。1分間に16~20発の連射性能があります。

 現在の最新型は、海上自衛隊でも使用されている62口径長のMod4。旧来の54口径長(約6.9m)より長い310インチ(約7.9m)の砲身を持ち、ステルス性を考慮した角ばった砲塔となっているのが外見上の相違点です。アメリカ海軍ではアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の31番艦、ウィンストン・S・チャーチル(DDG-81)以降と、近代化改修が行われたタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦6番艦のバンカーヒルに装備されています。


 Mod4では砲の基部も強化され、旧来よりも50%高い発射エネルギーを許容するため、延長された砲身と合わせて有効射程距離が延伸しました。コントロールシステムもデジタル化されており、タッチパネルで操作する形に変わっています。

 今回の改修は、アメリカ海軍が総額7060万ドル(約76億4000万円)で実施するもの。古い艦に装備されているMod2をMod4に換装し、砲の仕様を揃えることで、弾薬の統一をはかります。

 BAEシステムズのジョセフ・センフトル担当副社長は「Mk45は大口径艦載砲として定評ある製品であり、最新のMod4は先進的な弾頭を使用することができます。私どもは艦載砲における業界リーダーであり、ニーズに合わせた信頼性の高い製品を手ごろな価格で、現在、そして将来にわたって供給していきます」とコメントしています。

 Mk45のMod4改修分はケンタッキー州ルイビルにある事業所で製造されます。Mod2装備艦は定期検査でドック入りした際に交換が行われ、すべての対象艦で改修が完了するのは2023年末になるとのことです。

<出典・引用>
BAEシステムズ プレスリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)