冬場は何かと感染症が流行る季節。咳やくしゃみをしながらも休めない、と出勤していく人も多くいます。何らかのウイルスに侵入される時は大体疲れている時。そういう時は「心身ともに休ませる」のが実は一番確実なのです。

 「体調悪い時は無理せず休みましょう」というひと言とともに、4コマ漫画を上げているのは、「一方その頃スナイパー女子高生は」や、人気LINEスタンプ「青なんとかさんと赤西さん」の作者で知られる、漫画家・ねんまつたろうさん。その内容とは……。

 青さんが隅で咳き込んでいるところにバーンと赤西さん「風邪でも休めないあなたに!スーパー風邪薬!」と商品紹介(?)次のコマでは、眼精疲労で疲れ目な青さんに対してなのか赤西さん、「目を酷使するあなたに!スーパー目薬!」とおすすめ。さらに、何とか杖につかまりながらフラフラと瀕死な青さんに赤西さんは「無休で働かなきゃいけないあなたに!スーパー栄養ドリンク!」と、ここでもすすめてきます。

 さすがに青さんもブチ切れな模様。最後のコマでは、「さっさと休ませろ!」と、渾身の蹴りで赤西さんの頭をぶち抜いています。

 まぁデスクワークはこの数十年でPC作業がすっかり主流になっているので、まだ眼精疲労へのケアまでは分かります。ただ、自分に厳しく人にも厳しい(または他人にだけ厳しい)人って、なかなか自分の不調や消耗具合を言いづらい雰囲気を作り出していたりしていませんか?

 「自分が受けた仕事だからこれまではやらなくちゃ」「この案件とあの案件があるから休めない」あちこちで聞こえてくるセリフですが、その仕事をこなすためには体力と気力、そして何より健康であることが一番必要です。「休めないあなたに」なんて宣伝文句を見るたびに、「休めないじゃねーよ、休むんだよ!」とどこからともなくツッコミも聞こえてきます。

 まさにその通り。例えば、インフルエンザのワクチンを打っていると、急激な悪化や、命にかかわる脳症にかかる率を下げたり症状を弱めてくれます。ただ、インフルエンザワクチンの気の毒なところは、毎回10割バッターではないところ。

 他の人命にかかわる病原体ウイルスに対してワクチンが効果を発揮しているのは、ウイルスを構成しているたんぱく質の構造が解明され、大きく変異しないうちにワクチンが開発されてある程度封じ込めができているから。現在、乳児や学童期などに対して予防接種スケジュールが組まれているのは、病原体がこの日本のどこかに残っている可能性があるということ。はしかや風疹、おたふくかぜや水ぼうそうも、直接命にかかわる恐れがあったり、妊娠中にウイルスにやられると重篤な障害が胎児に出てしまうなど、その後、後悔してもしきれない状況となりやすいから。

 なので、今スタンダードに使われている日本のワクチンは子宮頸がんワクチンも含め、公衆衛生的に効果が高いものとして採用されています。しかしインフルエンザってやつは……。

 やつらは、他のウイルスたちと違って、ウイルスの表面を覆って構成しているたんぱく質の構造が、毎年同じではないのです。ある程度種類が分かれているところまでは突き止められたので、それをベースに、何十年のデータの蓄積をもとに「今回はこの構造のウイルスが来るのでは」と予測して作っているので、どうしても10割バッターにはなれないという悲哀が……。

 ただ、根幹となっている悪さをする部分に対してはある程度の抑制が効くので、「予防接種を打ったのにインフルにかかった、ワクチン使えねー」ではなく「予防接種打っといたから、この程度で済んだ、ラッキー」なわけなんです。

 だから、もしインフルエンザにかかったとしてもタダの風邪っぽい感じしか出ない状態で出勤・登校したら……確実に部署内・学級内パンデミックに。

 忙しい時期だろうが何だろうが、体調が悪いときは自分の身を守るのがとにかく優先!命を守ることほど大事なことはないのです。だから、勇気がいるかもしれないけど、「無理かも?」って思った時は無理しない!休む!!!

 そして、上司の皆さんは誰かが休んでも仕事が回せる体制を整えておくことです。家庭においても同じ。パートナーが倒れたらかわりに家のことは全部やる。日頃から備えておけば、「無理があたりまえ」な空気はなくなるのではないでしょうか。

<記事化協力>
ねんまつたろうさん(@KITASAN1231)

(梓川みいな/正看護師)