アメリカ海軍は2020年4月7日(現地時間)、最新鋭空母ジェラルド・R・フォード(CVN-78)が大西洋上で実施していた、戦闘システムの試験を無事に終了したと発表しました。航空機運用試験に続き、戦力化に向けまた一歩進んだことになります。

 1960年代に就役したニミッツ級原子力空母の運用経験をもとに、各種の改良を行った新世代のジェラルド・R・フォード級1番艦として、様々な新しい装備を有するジェラルド・R・フォード。メーカーから引き渡されてから、艦のフネとしての性能を確認する試験、空母としての航空機運用能力を確認する試験と段階を踏んできました。



 今回、いよいよ戦闘艦としての能力を確かめる試験が実施されました。自衛のための兵装だけでなく、艦に迫る脅威を探知するデュアルバンド・レーダー(DBR)や敵味方識別装置(IFF)、また艦載機の発着管制を司るレーダービーコン(ATCRB)などがテストされます。



 空母ジェラルド・R・フォードの戦闘士官(CSO)、ロン・マカリスター中佐はこれらの試験について「艦の各戦闘システムが完全なユニットとして、戦闘、もしくは防衛に際して最大限能力を発揮できるか、というのが試されます。この試験を通じ、乗組員らは最終的に多くの経験を重ね、戦闘能力を最大化させていくことになります」とコメントしています。

 艦内の戦闘司令所(Combat Direction Center=CDC)では、艦に迫る敵性勢力に対し、防衛戦闘を行う手順をシミュレーションします。敵性勢力の航空機を演じるのは、海軍の“トップガン”に所属するF-21クフィル(イスラエルIAI製の戦闘機)や、民間の訓練支援会社が運用するホーカー・ハンターなど。



 今回の試験終了により、ジェラルド・R・フォードは戦闘艦としての総合戦闘能力試験(CSSQT)へ、また一歩進みました。フォードのCDC担当士官、ウィリアム・ビュエル中佐は「私たちは今回の試験をとてもスムーズにこなすことができました。これは近い将来に予定されているCSSQTに向け、とてもいいサインだと思います」と今回の試験を振り返っています。

<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)