「大勢の前で発表する」

 これが一番苦手という方は多いのではないでしょうか?かくいう筆者も仕事柄、発表する機会は多いのですが毎度毎度緊張します。そんな中、とある大学生がTwitterに投稿した「プレゼンのときに気を付けていること」が、18万もの「いいね」がつくほど大きな話題となっています。

 投稿したのは筑波大学の現役学生である大渕雄生さん。現在2年生で、普段は勉強とともにアプリ開発を行っているそうです。今回なぜこれをツイートしたかというと、普段からコンテストで発表する機会が多く、その際に気づいた点を紹介してみたとのこと。

 投稿では4つの大事なポイントを挙げています。

(1)結論をタイトルに
(2)画像は絶対に入れる
(3)最後のスライドには情報を
(4)質問の内容を事前に用意しておく

 筆者は先述の通り、発表(プレゼン)する側を経験していますが、もちろんされる側も経験しています。その経験から言うと、確かに「(1)結論をタイトルに」はとても大事な気がします。長々しく話を聞いたあとに結論を持ってこられるよりも、最初から結論を見せられた方が後の話にも強く興味がもて、積極的に全ての話を聞く効果が生まれる気がします。

 大渕さんに詳しくきくと、「多くの人がタイトルという言葉を意識して表題を付けてしまいがちです。なので、このタイトルで結論を述べてしまえば、聞き手はどういった話をするのか理解しながらスライドが見られます」とのこと。やはり最初に結論を持ってくることの効果をあげています。

 この点はライター業とも重なる部分があり、(1)は文章を書く上での「起承転結」の「起」にあたるもの。インパクトあるものを持ってきて、後で丁寧に説明していき伏線を回収。その際、細かいテキスト説明だけよりも、「(2)画像は絶対に入れる」の通り、画像を効果的に入れることで視覚的な面からも伝えるアプローチを行う。「文字だけのスライドって圧迫感があって読みにくいんです。そこに画像や図があるとそれが和らいで理解もされやすいです」と大渕さん。

 そして(3)で情報をまとめることで肝心なことを改めて伝える。不足分は(4)でカバーという流れ。全てしっかり「伝えるためのストーリー」が構成されています。


 筆者が今回話を聞く中で最も印象的だったのが、(4)について。「これは特にコンテストで重宝しているやり方なんですが、事前に質問される内容を想定しながらその回答も用意しておくことで、質疑応答の質が高まりますし審査員の評価も上がります」と、大渕さんは特に重要であることを語っています。

 ちなみに(3)についてですが、ツイートしたときの説明画像に『「ご清聴ありがとうございました」はダメ!』と書いていたことから少々誤解があったようで、「これはツイートだけだと誤解されがちだったんですが、私が伝えたかったのは最後のスライドページは長く表示される傾向があるので、そこの情報量は意識して盛り込んだ方がいいということなんです。最後に“ご清聴ありがとうございました。”を入れるのは全然アリだと思います」と教えてくれました。

 つまり「ご清聴ありがとうございました」を最後のページに入れるのがダメなわけではなく、最後1ページもつかってドドンと「ご清聴ありがとうございました」とだけ書くのはもったいないよ。折角なら「最後のページが長時間表示される傾向」を利用して、伝えたいことの情報を再度書いておこう、ということなんですね。

 発表とは一種のショーのようなもの。短い時間を通じて、理解して貰うためには、ただ説明するだけでは伝わりません。その点、上記の構成はシンプルだけれどもよく考えられた「伝わりやすさ」を重視したものになっているのではないでしょうか。

<記事化協力>
大渕雄生さん(@obuchi_yuki)

(向山純平)