ボーイングは2020年7月1日(アメリカ中部時間)、同社が普段航空機部品の輸送に使用している巨大輸送機ドリームリフター(B747-400LCF)が、ユタ州の学校に通う児童生徒、教員向けのマスク50万枚を空輸したと発表しました。新型コロナウイルス感染拡大に関連した、ボーイングによる個人用防護具(PPE)の空輸は、今回で12回目となります。

 ボーイングでは、新型コロナウイルス感染拡大を受け、保有する航空機を使ってアメリカ各地にマスクやフェイスシールド、防護衣といった個人用防護具の空輸をボランティアで実施しています。今回ユタ州に空輸されたマスク50万枚の内訳は、アパレル会社のH.M.Coleから寄贈された25万枚(うち10万枚は子どもサイズ)、そしてユタ州ソルトレイクシティに本社を置くアウトドアブランドのコトパクシ(Cotopaxi)がジャケットの縫製工場を改装して生産したマスク25万枚。

 マスクを取りまとめ、各地に配送する陸送部分は物流会社のフレックスポート(Flexport)とUPSが担当。海外からの調達分を含む空輸には、ボーイングのほか貨物航空会社アトラス・エアが参加しています。

 マスクを寄贈されたユタ州のハーバート知事は「秋にも学校が再開され、児童生徒が通うようになるので、マスクの用意は非常に重要なことでした。州が推進する『全てのユタ市民にマスクを』をサポートし、児童生徒がマスクを入手でき、市民の感染リスクを減らすために尽力してくれたボーイングと、サポート企業の皆さんに心から感謝します」とのコメントを発表しました。

 ユタ州の地元企業として、今回のプロジェクトに参加したコトパクシの創業者であるデイヴィス・スミスCEOは「公益企業として、私たちは企業には持てる影響力とリソースを活用し、世界に良い影響を与える義務があると信じています。ユタ州、そしてボーイングと協力し、この新型コロナウイルスと戦う地元コミュニティを支援できることを誇りに思います。マスクは新型コロナウイルスの感染拡大を弱める重要なツールの1つだと思いますし、それを手に入れたお子さんや先生方が安全に教室へ戻れることを心から楽しみにしています」とのコメントを発表しました。

 12回目の空輸ボランティアを終え、ボーイングのカルフーンCEOは「ボーイングは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、我々の持つリソースを投入し続けます。今回、12回目の空輸で貴重な労働者の皆さんだけではなく、ユタ州の先生方や児童生徒の皆さんに、安全に教室へ戻るために必要なマスクをお届けすることができました」とのコメントを発表しています。

 ボーイングでは現在までに、医療機関向けに3Dプリンタを使用して生産したフェイスシールド3万9000枚を含む400万セット以上の個人防護具を輸送しているといいます。新型コロナウイルス感染の終息が見えない中、今後も必要な資材の輸送をボーイングは続けるとしています。

<出典・引用>
ボーイング ニュースリリース
Image:Boeing

(咲村珠樹)