ボーイングは2020年7月31日(現地時間)、アメリカ陸軍特殊作戦航空コマンド(USASOAC)から新たな作戦用ヘリコプターMH-47GブロックIIを24機、総額2億6500万ドル(約281億7000万円)で受注したと発表しました。これはフィラデルフィアにあるボーイングの工場で生産され、1号機は2020年内に引き渡される見込みです。
アメリカ陸軍特殊作戦航空コマンド(USASOAC)は、アメリカ陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)内で空挺作戦などにおいて航空機運用を担当する部隊。2011年3月25日に発足し、第160特殊作戦航空連隊“ナイトストーカーズ”においてMH-47チヌーク、MH-60ブラックホーク、MH-6リトルバードといったヘリコプターのほか、無人偵察機MQ-1Cグレイイーグルも運用しています。
このうちMH-47は、ヘリボーン作戦でまとまった数の兵士を送り込む任務で使用されている大型の輸送ヘリコプター。夜間の任務に使用されることが多いため、通常のCH-47と比較して濃色の塗装と暗視装置が標準装備されているほか、レーダーに捕捉されないよう低高度を飛行するための地形追従航法装置、長距離の進出に対応する空中給油装置などが装備されています。
現在、陸軍特殊作戦航空コマンドでは、MH-47EとMH-47Gという2つのタイプを運用していますが、老朽化が進むMH-47Eを完全に置き換えるために発注されたのが、今回のMH-47GブロックIIです。計器が液晶ディスプレイ化されているだけでなく、特殊作戦に対応した航法パッケージは容易にアップデートできる仕様となっています。また、自衛用火器として7.62mm機銃M60D、もしくは7.62mmのガトリング機銃であるM134ミニガンが左右のドアに装備されます。
ボーイングで、H-47チヌークのプログラムマネージャを務めるアンディ・ビルタ氏は「G型は陸軍と我が国、そして防衛産業の基礎となる重要な資産です。陸軍の特殊部隊が、それを提供する私たちを信頼してくださり光栄に思っています」と、今回の発注契約に際しコメントを発表しました。
汎用性が高く、小隊規模の人員を一気に投入可能なMH-47Gは、特殊部隊にとって頼れる存在。ほかに代わる機材がないこともあり、これからも特殊部隊の運用に欠かせない存在であり続けることでしょう。
<出典・引用>
ボーイング プレスリリース
Image:U.S.Army
(咲村珠樹)