ロシアで8月23日に始まった防衛フォーラム「ARMY2020」に合わせ、各国の軍人が日頃の訓練で鍛えた戦技を競う「国際アーミーゲーム」が開催されています。その中の1つ、調理兵たちの「フィールドキッチン」では、6か国の調理兵が競技を前にそれぞれの郷土料理を披露し、集まったゲストに提供されました。
ロシアで開催されている「国際アーミーゲーム」は、各国の軍人がスポーツとして戦技を競う、ミリタリー版のオリンピックのようなもの。戦車兵による「戦車バイアスロン」が特に有名ですが、兵科の数だけ競技が存在します。
その中でも、調理兵が腕を競う「フィールドキッチン」競技は、もっとも「美味しい」平和な競技であり、出場選手たちが様々な課題のもと、料理の腕を競います。2020年大会では地元ロシアのほか、アブハジア、アルメニア、ウズベキスタン、ベトナム、ベラルーシの調理兵たちが参加し、本格的な競技に先立って各国の郷土料理などを披露しました。
当日の8月23日は、1943年に大祖国戦争(第二次世界大戦における独ソ戦)の「クルスクの戦い」で、ソ連軍(赤軍)がマンシュタイン元帥率いるドイツ軍部隊を破ってハリコフを解放し、実質的に戦闘が終結した日。会場にはそれを記念した、大きなデコレーションケーキが用意されました。
参加各国は、料理とともに民族衣装でアピール。この場面だけ見ていると、これがミリタリー競技会であることを忘れてしまいそうです。
料理も様々な趣向を凝らしたものが目立ちます。ウズベキスタンの調理兵は、壺型の窯であるタンディール(インドのタンドールに似たもの)でチキンを焼き、揚げ餃子のようなサムサが並びます。
アルメニアの調理兵はクレープ用のプレートで、ラヴァシュというパンの一種を焼きます。このほかにも肉の串焼きや、数々の料理がテーブルに並びました。
ベラルーシは名物である淡水魚の丸焼きを披露。コイがハーブとともに焼き上げられているほか、同じく名物のソーセージを使ってブタの牧場が作られました。
地元ロシアは、お祝いごとに欠かせないパイのほか、戦車をかたどったチョコも出品。また、ロシア連邦を構成するカバルダ・バルカル共和国(カフカース地方)やカムルイク共和国(カスピ海北西部)からも参加があり、民族衣装とともに郷土料理を披露していました。
郷土料理のほかにも、調理兵が作った各国料理もテーブルに並びました。ロシアで人気のある、日本の寿司(海苔巻き)も中国料理の餃子などと一緒に並び、ちゃんと箸も用意されています。
調理兵による「フィールドキッチン」競技は、ロシア軍の野外炊事器具であるPCB-04、KP-130、PP-40、KP-20を使用し、任意のレシピによる調理やパン作り、課題メニューでの調理などを行って、その出来栄えや独創性などが審査されます。また、兵士の本分である射撃競技も24日に実施され、1位がベラルーシ、2位がロシア、3位にベトナムが入っています。
<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
Image:ロシア国防省
(咲村珠樹)