木彫りで見事に水滴を表現した作品がTwitterに投稿され、「水滴にしか見えない……」と話題になっています。

 木彫りで水滴を再現したのは福田亨さん。福田さんは木象嵌(もくぞうがん)という、天然木材を用いて絵画や図柄を表現する伝統装飾技法を、立体的に彫刻化した立体木象嵌作家として活動しています。

 今回福田さんが投稿した写真には、木の板に水滴が落ちている様子が写っています。でも何度もいうようにこれは木彫り。分かっていることではあるのですが、水滴の膨らみ加減や光が反射している感じなど、これが木彫りとはとても思えません。

 福田さんのツイートによると、水滴の周りの部分を全体的に1.5mmほど掘り下げて、水の部分を浮き彫りにしているとのこと。そして大工鑿(のみ)と彫刻刀でおおよその平面を作っているそうなのですが、その出来ばえには感嘆しかありません。

 苦労した点を聞いてみたところ、「平面作りの削りと、水滴部分の研磨です」とのこと。彫刻刀と紙やすりで滑らかに磨いていったそうです。

 しかし、「本作は、まだ未完成」と語る福田さん。えっ!と驚いてしまいますが、実はこれから蝶々の吸水シーンを作る予定で、木彫りの水滴はその台座として使用するために作ったとのことです。なんと、ここからメインを作る予定だったのですね。

 木彫りの水滴について、最初は水の入った器のようなものを作ろうとしていたという福田さん。より水を実感できるアプローチとして今回の案が浮かび、作ってみたそうです。

 Twitterでの2万件以上のリツイートと13万件を超えるいいねの数には、「嬉しく思い、励みになる」と話してくれた福田さん。木彫りの水滴の台座に、蝶々が吸水をしているシーンが乗り、作品が完成するのが待ち遠しいですね。

<記事化協力>
福田亨さん(@TF_crafts)

(佐藤圭亮)