一般職の人にとって、毎年年末年始は長期休みが確保されています。今回の年末年始は一般的に、12月29日から1月3日の6日間、長い人だと10日以上の連休を取る人も。

 長年飲食業界に身を置いてきた私にとっては羨ましい限りです。土日に仕事が休めない職種柄、大人になってからできた友人も飲食業やサービス業がほとんどです。もちろん夫も根っからの飲食業。そんな私が飲食業界の人なら共感してくれる?……かもしれない、年末年始の「あるある」をご紹介。年末年始も頑張る飲食業の人へ、感謝の気持ちを込めて。

 年末年始の飲食業あるある、行ってみましょう!

■ 年末年始の長期休暇は「夢のまた夢」

 年末年始に限らず、お盆やゴールデンウィークなど、長期休暇に連休を取れることはまずありません。みんなが休んでいる時こそ、飲食店は忙しいのです。連休どころか、年末年始は休みなしの人もいるのではないでしょうか。

 特に、商業施設に入っている飲食店の年末年始は、年末の大バーゲンや年始の初売りなど、猫の手も借りたい忙しさ。連休が欲しいなんて、とても言える空気ではありません……。

■ 家族の集まりに参加できなくて怒られる

 これも飲食業の人なら一度は経験があるはず。家族や親戚が集まる年末年始こそ仕事が忙しい飲食業は、自分だけ集まりに参加できないことも。仕事だから仕方ないのだけれど、毎年続くとなぜか怒られる羽目に。

 本当は参加したい気持ちをぐっと堪えて、今日も仕事にでかけます。特に既婚者は辛いですよね。

■ 通勤中、自分だけ異世界にいるような孤独感に襲われる

 大きな旅行鞄を持った家族連れ、楽しそうに歩くカップル……。さらにはガラガラの電車……。

 通勤中にそんな光景を見かけると、自分だけが異世界にいるような妙な錯覚に陥ることがあります。ひとりだけが違う場所にいるような疎外感・孤独感、感じたことはないでしょうか?

 とにかく連休が羨ましい。その心が錯覚を感じさせるのかもしれません。

■ 通常営業なのに、年末年始だからといって追加される大掃除

 本来、年末年始に大掃除をするのは、会社でも家庭も、掃除に費やすための長時間が確保できるからのはず。一般職の場合は、丸1日または半日、大掃除だけの時間が確保されているのではないでしょうか?

 飲食業の場合は年末年始もオープンしていることが多いので、日頃の営業と大差はなく、掃除のための時間はそれほど確保できません。

 それなのに年末年始だからといって必ず組み込まれる大掃除。なぜ今?どこに時間が?そんな気持ちを押し殺して、せっせとお店を大掃除。

■ 忘年会、新年会のあとのトイレ掃除は地獄

 飲食業、特に居酒屋勤務の人ならピンとくるはず。忘年会や新年会は飲みすぎる人も多く、嘔吐も日常茶飯事。1日に何度も処理をすることも珍しくありません。

 自己申告してくれる人もいますが、酔っぱらっているがゆえ、そのまま何も言わずに帰ってしまう人もいます。トイレが少ない飲食店の場合は、他のお客様がトイレに入れず、急いでトイレ掃除をしなければなりません。今はノロウィルスなどの食中毒感染防止として、嘔吐物を処理する場合は専用の手袋や袋が必要だったり、消毒などの手順も多く、時間も取られます。そのため、掃除をしてすぐまた嘔吐をされると、自然とため息が漏れてしまうのです。

 年末年始でも、飲みすぎず、楽しいお酒を心がけて欲しいものです。

■ 年末年始に一緒に働く仲間は同志

 連休中の人たちを横目に出勤すると、いつもと同じ笑顔で迎えてくれる仕事仲間たち。「同志」という固い絆を感じてしまい、孤独感から一気に解放されます。「今日も1日頑張ろう!」と思える瞬間です。

 ちなみにクリスマスの出勤時も、同じ感情が湧きあがります。

■ お客様の一言がなによりのご褒美

 「ありがとう」「美味しかったよ」「ごちそうさま」そんな何気ない一言が、なにより嬉しいのが飲食業。忙しいときや辛いときに、お客様から声をかけてもらえると、泣きそうになることすらあります。お客様の笑顔のために、私たちは頑張っているのです。

■ 年末年始も頑張れ!飲食業!

 ついつい連休のある職業と比べてしまいがちですが、サービス業や医療・福祉系など、年末年始も頑張っている人はたくさんいるはず。飲食店で働く人だけでも全国で約440万人。あなたの仲間は全国に440万人以上もいるのです。

 仲間と一緒に。お客様の笑顔のために。年末年始も頑張れ!飲食業!

【一柳ひとみ:筆者プロフィール】
都心にあるシティホテルで、サービススタッフ、宴会担当や婚礼担当(ウエディングプランナー)として、10年以上勤務。現在は保育士として働きつつ、臨時で結婚式の仕事やライター業も行っている。
プライベートでは3児の子をもつ母。