おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

自作キーボードとは「実用性のあるプラモデル」? (深水英一郎氏寄稿)

 こんにちは、深水英一郎です。

 今日も注目の書籍を著者自身に紹介してもらいます。今回著書を紹介いただくのは、自作キーボード作者のゆかりさんこと、小池俊樹さんです。

 小池さんは2017年より自作キーボード作りに目覚め、自作キーボードを作るとともに自作キーボード同人誌を作ったり、国内最大規模の自作キーボードイベントを主催したりと活躍。ここ数年の自作キーボードの盛り上がりの中心にいる人物です。

 今回、工学社のI/Oという雑誌での連載をまとめた書籍「はじめてのキーボード」についてお話をききました。

  • 【著者 小池俊樹(ゆかり)さんプロフィール】
    1990年奈良県生まれ、関西学院大学社会学部卒業。
    2016年頃より自作キーボードをはじめ、そのおもしろさに目覚める。
    2017年よりキーボードの設計開発を開始。
    2017年冬、コミックマーケットにて同人誌「ねこでも作れる自作キーボード」を頒布。
    2018年8月、自作キーボードキット「Mint60」「BlocKey」を販売開始。
    2018年より国内最大規模の自作キーボードイベント「天下一キーボードわいわい会」を主催。
    「見ていてかわいい」「使っていて楽しくなる」をテーマに、自作キーボードの楽しさを広めるべく活動中。
    https://twitter.com/eucalyn_

    ▼今回紹介してもらう書籍▼
    「はじめての自作キーボード」工学社、2021年

    ——よろしくお願いします。さっそくですが、ゆかりさんにとっての自作キーボードの良さ、楽しさってどこにあるんでしょうか?

     自作キーボードの良さをひとことで言えば、「実用性のあるプラモデル」という感じです。

     キーボードですから、ほぼ毎日使います。その毎日使う道具、ガジェットの見た目、うち心地、使い勝手などを全てカスタマイズできる。そこが自作キーボードの楽しさだと思います。

    ——なるほど、普段使う道具を細かなとこまでカスタマイズして使い倒す喜びがある、ということなんですね。そんな自作キーボードに関する今回の著書ですが、これはどういった内容なのでしょう?

     キーボードって、PCを操作する上で必要不可欠なデバイスで、ありふれたハードウェアですよね。既製品のキーボードっていうのもたくさんあるんですが、それだけでは飽き足らず、自作用のパーツを国内外から取り寄せ、さらに自分で設計までしてしまう物好きな人たちがいるんですよ。

     それが私たち「キーボード愛好家」です。

     本書ではそういった愛好家たちがはまってしまう自作キーボードの魅力を紹介しつつ、電子工作の基礎から実際のキーボードの仕組みまで順を追って説明しています。

    ——本の後半では、多くの自作キーボードで使われている「ProMicro」というマイコンを使って動かしながら段階を追ってキーボードの仕組みが理解できるような解説が掲載されてました。

     そうです、本書を読み通せば電子工作の経験がない方でも自作キーボードを開発するために必要不可欠な基礎知識が身につくはずです。

    ——実際私も動かしながらやってみましたが、手を動かしながらなのでスッと理解でき、自作キーボードを作ってみたくなってしまいました。

     興味が湧いた方はぜひ自作キーボードの制作に挑戦してみてください。僕が運営しているECサイト、Lilakey(リラキー)もぜひのぞいてみてください。

    ——自作キーボードに興味を持った人がさらに一歩進むためのコミュニティってあるのでしょうか?

     日本の自作キーボードコミュニティはTwitterでの交流が盛んなので、僕含めTwitterで検索してみるといろいろな人がヒットすると思います。その他、Discordで交流を行っている人もいます。

    ——ゆかりさんが次に作ってみたいものって何でしょう?

     今開発中なのがLime40という立体キーボードです。

    ——Lime40は僕もすごく気になっているキーボードです! 手にとてもフィットしそうな立体的な形状ですよね。

     はい、より身体に優しいデバイスを目指しています。トラックボールの搭載も検討しているので自作トラックボール回路を含めて開発を行っています。
     
     将来いつか作りたいのはドローンです。

    ——今後の活動予定は?

     コロナ禍になってしまいここ2年ほど開催できていませんが、国内最大のキーボードイベント「天下一キーボードわいわい会」というのを主催していました。今後もキーボードの開発・販売だけでなく、大規模、小規模なイベントの開催や出展などを通して、国内のキーボードコミュニティを盛り上げる活動をおこなっていきたいです。
     

    ——ご活躍、楽しみにしています。

    (了)

    ききて・深水英一郎 プロフィール https://nitsuite.jp/fukamie
    メルマガプラットフォーム「まぐまぐ」を個人で発案、開発運営し「メルマガの父」と呼ばれる。Web of the Yearで日本一となり3年連続入賞。新しいマーケティング方式を確立したとしてWebクリエーション・アウォード受賞。未来検索ブラジル社元代表を務めニュースサイト「ガジェット通信」を創刊、「ネット流行語大賞」やMCN「ガジェクリ」立ち上げ。シュークリームが大好き。

    あわせて読みたい関連記事
  • ゆかりふりかけでドリンクを?料理研究家考案「ソルティゆかり」飲んでみた
    グルメ, 作ってみた

    ゆかりふりかけでドリンクを?料理研究家考案「ソルティゆかり」飲んでみた

  • 音声入力が当たり前の世界
    インターネット, 雑学・コラム

    えっ!まだキーボードで入力してるの? 2倍速入力も狙える「音声入力」に乗り換えよ…

  • 「三島のゆかり使用 塩焼そば」「三島のひろし使用 だし醤油味焼そば」
    商品・物販, 経済

    「ゆかり」と「ひろし」が塩焼そばに!エースコックより7月10日発売

  • 佐藤の会
    社会, 経済

    全国の佐藤さん必見!「佐藤の会」発足から3年 現在の活動について佐藤が聞く

  • 「ひろゆきに裁判で勝った人」が考える「金融庁が広報動画にひろゆきを起用」したことの危険性
    インターネット, 社会・物議

    「ひろゆきに裁判で勝った人」が考える「金融庁が広報動画にひろゆきを起用」したこと…

  • プレゼンリモコンに電子書籍のページめくりという新しい役目を与えよう(深水英一郎氏寄稿)
    ライフ, 雑学

    プレゼンリモコンに電子書籍のページめくりという新しい役目を与えよう(深水英一郎氏…

  • 泣き顔はどれ?
    社会, 雑学

    「泣き顔」「眠い顔」「よだれ」の絵文字を見分けられますか?(深水英一郎氏寄稿)

  • NFT解説マンガのセリフ、どこが間違ってる? 深水英一郎
    インターネット, サービス・テクノロジー

    NFT解説マンガのセリフ、どこが間違ってるかわかる?(深水英一郎氏寄稿)

  • 図解 組織開発入門 組織づくりの基礎をイチから学びたい人のための「理論と実践」100のツボ 坪谷邦生:著
    社会, 経済

    組織開発の全体像を捉える本——書いた人にきいてみる(深水英一郎氏寄稿)

  • 「ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律」著者:堀元見、ききて:深水英一郎
    社会, 経済

    堀元見1万字インタビュー「ビジネス書って同じことばっか書いてない?」(深水英一郎…

  • 深水英一郎(ふかみえいいちろう)現代歌人・エッセイスト

    記事一覧

    短歌や詩を書いています。『短歌の日』呼びかけ人 、短歌投稿企画『ついうた』主催 | 笹舟にちょうどよい笹にみとれて川に転落したことがあります | 基本いつでものんきです | シュークリームが好き | 日本でのCGM・フリーミアムモデルの先駆けとなるメルマガプラットフォーム「まぐまぐ」を個人で開発したため「メルマガの父」と呼ばれる。まぐまぐは Web of the Year 年間総合大賞を受賞、日本一のWebサイトとなりました | Twitter https://twitter.com/fukamie

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 音声入力が当たり前の世界
    インターネット, 雑学・コラム

    えっ!まだキーボードで入力してるの? 2倍速入力も狙える「音声入力」に乗り換えよ…

  • 短歌の日
    イベント・キャンペーン, 経済

    短歌バトルにクイズも?ネット短歌企画者があつまる「短歌の日」スタート 5月7日ま…

  • 「ひろゆきに裁判で勝った人」が考える「金融庁が広報動画にひろゆきを起用」したことの危険性
    インターネット, 社会・物議

    「ひろゆきに裁判で勝った人」が考える「金融庁が広報動画にひろゆきを起用」したこと…

  • プレゼンリモコンに電子書籍のページめくりという新しい役目を与えよう(深水英一郎氏寄稿)
    ライフ, 雑学

    プレゼンリモコンに電子書籍のページめくりという新しい役目を与えよう(深水英一郎氏…

  • 泣き顔はどれ?
    社会, 雑学

    「泣き顔」「眠い顔」「よだれ」の絵文字を見分けられますか?(深水英一郎氏寄稿)

  • NFT解説マンガのセリフ、どこが間違ってる? 深水英一郎
    インターネット, サービス・テクノロジー

    NFT解説マンガのセリフ、どこが間違ってるかわかる?(深水英一郎氏寄稿)

  • トピックス

    1. 熊本県天草の海にホイミスライム出現!?目撃情報にSNS騒然

      熊本県天草の海にホイミスライム出現!?目撃情報にSNS騒然

      熊本県天草の海水浴場で、「ドラゴンクエスト」に登場するモンスター「ホイミスライム」が目撃されたとして…
    2. 塩タブと似すぎ?誤食騒動に反響 漫画家の“フェイスマスク誤食”体験

      塩タブと似すぎ?誤食騒動に反響 漫画家の“フェイスマスク誤食”体験

      熱中症対策として広く利用されている塩分タブレット。しかし、見た目が似た商品と誤って口にしてしまうケー…
    3. 事故物件を見張るホラーゲーム「日本事故物件監視協会」Steamページ公開

      事故物件を見張るホラーゲーム「日本事故物件監視協会」Steamページ公開

      インディーゲームデベロッパーの「Loxarc Inc.」が手掛ける新作ホラーゲーム「日本事故物件監視…

    編集部おすすめ

    1. 男性記者が“生理痛”を疑似体験 ツムラの「#OneMoreChoice プロジェクト」で見えた“隠れ我慢”のリアル

      男性記者が“生理痛”を疑似体験 ツムラの「#OneMoreChoice プロジェクト」で見えた“隠れ我慢”のリアル

      生理やPMS(月経前症候群)などの不調を我慢せず、自分に合った「もう一つの選択肢」を持てる社会を目指すツムラの取り組み「#OneMoreCh…
    2. 子の夏休み=親は常に戦闘モード “戦士のような母”の後ろ姿が話題に

      子の夏休み=親は常に戦闘モード “戦士のような母”の後ろ姿が話題に

      子どもにとっては待ちに待った夏休み。しかし親にとっては……。我が子が夏休みに突入したある母の後ろ姿が、まるで“戦士”のようだとXで話題を集め…
    3. KADOKAWA、がおう氏の書籍絶版・配信停止を発表 未成年トラブル報道受け

      KADOKAWA、がおう氏の書籍絶版・配信停止を発表 未成年トラブル報道受け

      株式会社KADOKAWAは7月23日、イラストレーター・がおう氏に関する一連の報道を受け、同氏が関与した複数の出版物について、紙書籍の回収・…
    4. トレーディングカード「Map Design GALLERY CARD/有人離島」

      ゼンリン、日本の「有人離島トレカ」を発売 レア度は“人口”で決まる

      株式会社ゼンリンが7月18日に、日本の「有人離島」をモチーフとしたトレーディングカード「Map Design GALLERY CARD/有人…
    5. 警察庁、Phobos・8Base向け復号ツールを公開 被害データ復旧支援へ

      警察庁、Phobos・8Base向け復号ツールを公開 被害データ復旧支援へ

      警察庁が、Windows環境を狙うランサムウェア「Phobos」および「8Base」によって暗号化されたファイルを復号するツールを開発し、公…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music Google ポッドキャスト spotify・ポッドキャスト