「夜露死苦(よろしく)」や「仏恥義理(ぶっちぎり)」などに代表される、いわゆる「ヤンキー漢字」。
特に80年代から90年代を象徴する不良たちのカルチャーとして有名ですが、あれってどのくらいの種類があるのでしょうか?編集部の公式X(Twitter)アカウントで募集してみました。
9月22日に行った投稿には、30件のリプライと、15件の引用ポストが寄せられました。ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございます。
■ 車の名前や運転に関する言葉も
届いた声を見てみると、冒頭の2つに加え「愛羅武勇(アイラブユー)」「愛死天流(あいしてる)」「走死走愛(そうしそうあい)」といった定番系がやはり多く寄せられていました。これらはさしずめ初級編といったところ。
続いては「蘇阿羅(ソアラ)」「暗雲(クラウン)」「世留死雄(セルシオ)」「貴婦人Z(フェアレディZ)」といった車種名シリーズ。音訓読みを織り交ぜたこれらを読むためには、漢字だけでなく車の知識も必要になります。
「喝斗美(かっとび)」や「罵離罵離(バリバリ)」など、ヤンキー漢字には走行に関する言葉が多いのも特徴のひとつでしょう。
■ ヤンキー漫画はまさにヤンキー漢字の宝庫
「参保悪流(サンポール)」「壱軸冠蝶(いちじくかんちょう)」「武羅帝卑異流(ブラディヒール)」「魔路苦淋(マジックリン)」「魔魔礼悶(ママレモン)」なども寄せられました。一見すると「商品名?」と勘違いしそうなシリーズは、かつて「少年KING」で連載されていた「湘南爆走族」に登場する暴走族グループ名。
昭和から平成に渡って連載されていたヤンキー漫画には、こうした事例が多数登場していました。
代表的なところで言えば、「湘南純愛組!」の「暴走天使(ミッドナイトエンジェル)」や、「カメレオン」の「松戸苦愛(まつどクラブ)」といったグループ名。そして「疾風(かぜ)伝説 特攻(ぶっこみ)の拓」の「事故る奴は…不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったんだよ……」といった名言まで。まさにヤンキー漢字の宝庫でした。
かつての不良たちも、こうした作品に憧れを抱き、知識を蓄えていったに違いありません。
令和のヤンキー漫画として名高い「東京卍リベンジャーズ」にも「愛美愛主(メビウス)」「芭流覇羅(バルハラ)」といったグループが登場するなど、独特の漢字文化は現代にも受け継がれているようです。
■ ヤンキー漢字は独特のセンスと漢字の知識量の結晶
その他にも「沙汰泥夜(サタデーナイト)」「吐露非狩古鬱(トロピカルフルーツ)」といったものまで。ヤンキー達の手にかかれば、キャラクターや果物だって漢字にアレンジ出来てしまう模様。
豊富な漢字の知識量と独特のセンスの組み合わせから生み出される、力強さとどこか哀愁を感じさせる儚さや侘しさ……そこに人々の興味を引いてやまない魅力があるのでしょう。
<出典>
おたくま経済新聞 編集部Xアカウント(@otakumatch)
(山口弘剛)