「特撮映像館」28回目は、またまた人気怪獣の復活で、興行成績も伸びに伸びた「ゴジラVSモスラ」です。大森一樹による脚本を大河原孝夫が演出。以後ほとんどの作品は大河原孝夫が監督している。


前回『ターミネーター』的なアンドロイドを登場させたかと思えば、今回の冒頭はまるで『インディージョーンズ』である。

また新怪獣「バトラ」(バトルモスラ)が登場したり、モスラがインファント島の守り神から地球の守護者に変わっていたりはするものの(この設定は、平成ガメラとギャオスの関係に近い)、基本的なストーリー進行は、やはり『モスラ』をなぞっていて、この線からはどうしても抜けられないようである。

自社の利益ばかりを気にする大竹まことの演技など、なかなかよかったのだが、個人的にはこの作品が「VSシリーズ」低迷のキッカケになったような気がしてならない。もちろん興行的には大成功。モスラ人気を再確認させることになり、ハリウッド版ゴジラの製作・公開のために国内でゴジラが制作できない時期にはモスラで三部作が作られるキッカケにもなったと思う。

なぜ低迷のキッカケになったと思うのか、というと、ひとつには正月映画として定期的に作られることが決まってしまったことで、ストーリーがパターン化してしまったこと、またストーリー発想の出発点が、物語ではなく、ゴジラがどの都市を破壊するか、どの相手と闘うかということになっていたと感じられること、その結果、バトルありきでゴジラの存在が「昭和シリーズ」のようにかすんでしまったことなどである。

本作でも横浜が最終バトルの舞台となり、そのことが公開前から大きく扱われていたように記憶する。
「昭和ゴジラシリーズ」の失敗をゴジラのアイドル化とするならば「VSシリーズ」の失敗はマンネリだろうか。

監督/大河原孝夫、特技監督/川北紘一
キャスト/別所哲也、小林聡美、村田雄治、小高恵美、大竹まこと、ほか。
1992年/日本/102分

(文:猫目ユウ)