おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【特撮映像館】Act.70 エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS

update:

 「特撮映像館」、今回は70年代に人気をはくしたホラーコミックが原作の『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』です。学校を主な舞台としたちょっとスプラッターなサイキックホラー。これが実写映像初作品です。

 70年代「少年チャンピオン」に連載された古賀新一のホラーコミックが原作。連載自体は好評で人気もあった作品だったが、当時はアニメ化や映画化されることはなく終わった。

  •  その後90年代になってから本作を皮切りに映画そしてテレビドラマと実写映像化された。

     女子高校生であり、強大な能力を持った魔女という設定の主人公・黒井ミサ。本作ではその能力を封じられ、ルシファーを召喚しようとしている魔術師の術中で苦しむこととなる。監督の佐藤嗣麻子はストーリー原案でもクレジットされている。

     正直、古賀の原作コミックの雰囲気を実写やアニメといった映像メディアで再現するのはけっこう難しいのではないかと思われる。黒井ミサのイメージに合う女優のキャスティングはそのいい例だろう。本作の吉野公佳はそれなりの雰囲気を醸しだしてはいるが、やはり「映画版の黒井ミサ」であり原作通りのイメージとはいえないような気がする。

     特撮・合成シーンはそれほど多くはなく、クライマックスで空に浮かび上がるルシファーの姿がもっともそれらしいシーンといえるかもしれない。もちろん細かいところでは犠牲となる高校生たちの、たとえば首が切断されるなどシーンもあったりはするのだが…。ちなみにSFXスーパーバイザーには白組の山崎貴があたっている。

     ところで、前半にはミサが転校してきたクラスの担任役である高樹澪とクラスメイトのひとりである角松かのりの濡れ場があったりする。全体から見てもここだけ成人映画ばりのシーンになっていて、ちょっと戸惑う。

     魔女が主人公の魔術ホラーといっていいのだと思うだが、魔術対決的なシーンが目立たなかった(というより「対決」はなかったというべきか)のは少し残念だ。

     それにしても菅野美穂はこの時点で完成している感がある。まだご覧になっていない方は、菅野美穂が最初から菅野美穂だったことを確認してもらえるのではないかと言う気がするが、いかがだろうか。

    監督/佐藤嗣麻子
    キャスト/吉野公佳、菅野美穂、高樹 澪、角松かのり、周摩、高橋直純、ほか。
    1995年/81分/日本

    (文:猫目ユウ)

    あわせて読みたい関連記事
  • 新特撮シリーズ【PROJECT R.E.D.】始動へ 第1弾は「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    新特撮シリーズ【PROJECT R.E.D.】始動へ 第1弾は「超宇宙刑事ギャバ…

  • 「パンパカパ〜ン」ラッキューロ誕生日ポストに例年以上の反響 シリーズ終了報道でファンの感情爆発?
    TV・ドラマ, エンタメ

    「パンパカパ〜ン」ラッキューロ誕生日ポストに例年以上の反響 シリーズ終了報道でフ…

  • サムシングフォーってそういう……偶然にもモデルガンが揃ってしまった奇跡のウェディングフォト
    インターネット, びっくり・驚き

    サムシングフォーってそういう……偶然にもモデルガンが揃ってしまった奇跡のウェディ…

  • 画像提供:架空昭和史作家 西川真周さん(@mashunishikawa)
    インターネット, おもしろ

    家のトイレが巨大ロボのコクピットに!昭和とSFが融合した「架空昭和史」の世界に夢…

  • 劇中セリフやBGMを収録!バンダイから大人向けなりきり玩具「ブンブンチェンジアックス」発売
    アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    劇中セリフやBGMを収録!バンダイから大人向けなりきり玩具「ブンブンチェンジアッ…

  • シャリバン役の渡洋史も登壇!宇宙刑事シリーズ40周年記念の上映会が開催
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    シャリバン役の渡洋史も登壇!宇宙刑事シリーズ40周年記念の上映会が開催

  • 「特捜戦隊デカレンジャー」20周年記念ファンミ開催!主要キャスト6人が勢揃い
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    「特捜戦隊デカレンジャー」20周年記念ファンミ開催!主要キャスト6人が勢揃い

  • 「獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリボルバー -MEMORIAL EDITION-」
    アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    聞いて驚けぇぇぇ!獣電戦隊キョウリュウジャー「ガブリボルバー」がメモリアル仕様に…

  • これが私たちのアオハル。朋優学院・アトラクション部の華麗なアクションに刮目せよ!
    エンタメ, サブカル

    これが私たちのアオハル 「朋優学院・アトラクション部」の華麗なアクションに刮目せ…

  • 特撮文化発展のため日夜活動する「特撮クラブ」。これで君たちもヒーローになれるぞ!
    TV・ドラマ, エンタメ

    戦闘員の貸し出しも可 ヒーローのためのオールインワン「特撮クラブ」とは?

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      「とても茨城県」というつぶやきとともに、Xに投稿された一枚の写真。そこには、一般的な工事現場のイメー…
    2. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…
    3. フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      SNS上には今日も、「○○が当たる!」といったプレゼント告知があふれています。いまや日常の景色と言っ…

    編集部おすすめ

    1. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に基づく誤通報だったことが判明。通報者自身…
    2. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    3. 100tハンマー

      伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで開催

      「シティーハンター」連載開始40周年を記念した原画展「シティーハンター大原画展~FOREVER, CITY HUNTER!!~」が、11月2…
    4. 宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      11月22日午前、X(旧Twitter)のトレンドに「宙組公演特別メニュー」が一時浮上し、ファンの間で大きな話題となりました。きっかけとなっ…
    5. ミラノで開催「IQOS Curious X Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      ミラノで開催IQOS X SELETTI「Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      フィリップ モリスが、イタリアでイベント「Sensorium Worlds」を開催。今回は、この壮大なイベントの模様とともに「IQOS To…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト