「うちの本棚」、今回は前回に続いて『ウルトラセブン』を取り上げます。
桑田次郎版とセットで読むことで、セブンの世界観をより堪能できるといわれる一峰大二版のコミカライズ。最終回の読みごたえは格別です。
本作は円谷プロ制作の特撮テレビ番組『ウルトラセブン』のコミカライズであり、講談社「ぼくら」に、「週刊少年マガジン」連載の桑田次郎版と平行して連載された。
桑田版と違うのは、掲載紙が月刊であったため一話完結となっている点だろう。約1年、13回の連載で、桑田版が取り上げていないエピソードをコミカライズしている。『ウルトラマン』では映像化されなかったエピソードも漫画化していた一峰大二だが、本作ではそれはなかった。
桑田次郎のシャープなセブンの印象に比べると、少し泥臭い感じはあるものの、怪獣や宇宙人、セブン自体が画面いっぱいに活躍する一峰版は、これはこれでコミカライズの役割を十二分に果たす佳作である。強いてあげれば、掲載誌が低年齢層向けの雑誌でもあったことから、勧善懲悪な雰囲気であり、映像本編が持っていた重たい空気はあまり取り上げていない印象がある。
桑田版では取り上げなかった最終話を一峰版では描いているが、有名なダンとアンヌのシーンは設定を変えて扱われ、またキリヤマ隊長がパンドンに特攻するというシーンまで描かれている。映像作品とは違うが、最終回として読みごたえのある内容だ。
本作の単行本化は最初、朝日ソノラマの「サンコミックス」で、桑田次郎版に続く5、6巻として刊行されたが、桑田版が「サン・ワイド・コミックス」で刊行された際には収録されなかった。初単行本化のあとしばらく入手の困難な時期があったが、パンローリングの「マンガショップシリーズ」で、再び桑田版とともに全3巻の1冊としてまとめられた。ちなみに「マンガショップシリーズ」はほとんどが同じ定価を設定していて、かなりページ数の多い本作は他の作品に比べてお得感がある。
初出:講談社「ぼくら」昭和42年10月号~昭和43年10月号
書 名/ウルトラセブン(下)
著者名/一峰大二
出版元/パンローリング
判 型/B6判
定 価/1890円
シリーズ名/マンガショップシリーズ
初版発行日/2004年12月25日
収録作品/ウルトラセブン初登場の巻、ゴドラ星人の巻、イカルス星人の巻、チブル星人の巻、ベル星人の巻、シャプレー星人の巻、シャドー星人の巻、恐竜戦車の巻、怪獣リッガーの巻、ザンパ星人の巻、バンダ星人の巻、サロメ星人の巻、ウルトラセブン最後の巻
(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/)