おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

Twitterで話題の「数日以内に大地震」―あの時どうした?ママ記者目線の3.11回想録

 ここ数日Twitterを通じて、ある一枚の画像が注目を集めています。それはテレビ画面を撮影したもので、画像には8月4日に宮城県で発生した震度5強の地震についての分析が紹介されています。

  •  画像によると、8月4日に発生した宮城県での地震の14日前にニュージーランドでM6.5の地震が発生していると紹介されており、更には2011年の東日本大震災のデータも紹介。

    <画像から引用>
    ▽2011年
    2月22日ニュージーランドでM6.3の地震
    ↓(15日)
    3月9日宮城県で震度5弱
    ↓(2日)
    3月11日東日本大震災

    ▽2013年
    先月21日ニュージーランドでM6.5の地震
    ↓(14日)
    きのう宮城県で震度5強

    ???

    ※先月=7月、きのう=8月4日

     要するに、2011年に発生した東日本大震災までの経緯と、非常に酷似した状況だと伝えているのです。ただし、この経緯でいくならばXデーは8月6日か8月7日。今のところ何の問題もなく過ごせています。

     紹介されている画像は、あくまで当時のデータに酷似しているというだけであり、実際のところ東日本大震災のようなことが発生するかは不明。ただ、震災から2年。私達の地震に対する意識は震災以前に戻りつつあります。

     たとえ今回の情報が誤りだったとしても、今一度身の回りの防災対策を見直す一つのきっかけとして、一人の母親としての目線も交え、当時起こった出来事を対策含めご紹介したいと思います。

    ■ 震災発生当時

     震災発生当時、私は2歳の子供と1歳の子供二人を抱え育児に日々奔走していました。震災はそんな日の出来事。ちなみに当時私が住んでいたのは千葉県。そして震災被害にはほとんどあいませんでした。

     ただ、震災被害にはあわなかったものの、住んでいた地域ではその影響を十分に受けることが起こっていました。

    ■ 品薄

     理由は買い占め。当時テレビ含め報道各社で大きく報じられましたが、本当にその通り。何故こんなものがなくなるのか?というものまでどんどん店頭から消えてしまったのです。

    ▽店頭から消えた商品の一部

    ・米
    ・カップ麺
    ・缶詰
    ・飲料水
    ・オムツ(紙オムツ)
    ・粉ミルク
    ・おしりふき
    ・納豆
    ・乾電池(単一、単三)※単二は結構見かけた

     報道では、米やカップ麺、飲料水ばかりが報じられましたが、実は店頭から消えたものに、オムツや粉ミルク。そしておしりふきがありました。これは小さいお子さんを持つ家庭ならば必要不可欠なアイテム。

     私は、たまたま数日前にやっていたオムツのセールである程度まとめ買いをしていたため難を逃れましたが、それでも震災発生から1か月ほどの間はどのお店をのぞいても常に品薄状態。そのため、当時ストックがなくなるのを見越して、遠方にいる親戚に頼んで4パックほど宅配便で送ってもらったほどでした。

     そうした経験から言わせてもらうと、小さいお子さんがいる家庭の場合は、たとえ無駄だったとしても常に未開封のオムツは最低2パックはあった方がいいように思われます。

     宅配便も当時混乱を極めており、頼んだ商品が届くのに通常2日~3日のところ、5日~1週間ほどかかったと記憶しています。せめてその間だけでもしのげる量は必ずストックしておくことをお勧めします。

     そして、不思議だったのがおしりふき。オムツは子供が小さければ小さいほど消費が早い、かつ必要不可欠なアイテムのため、思わず買い占めに走った人がいるのは容易に想像がつきます。ただ、対しておしりふきは最低3パックずつ販売されており、普段からオムツよりストックを抱えている家庭が多いと思われ、実際、震災当初は店頭にはオムツよりおしりふきの方が在庫に多く見られました。

     それなのに震災から数日後、あれだけあったおしりふきも店頭からある日一斉に消えたのです。何故?しかも震災発生から少し時間を置いて……。

     実は、当時テレビで“断水した地域の人”のために、手拭きや体ふき用に、おしりふきを紹介していたそうです。おしりふきはウェットティッシュよりも肌触りが良く、そしてコストパフォーマンスが良い。そのため、断水した地域の人や、今後更なる被害を懸念した人(被害のない地域の人)までが買い占めに走ったようなのです。

     こうした混乱時期の報道の影響をまざまざと思い知らされた出来事でした。

    ■ 震災発生から数日間の連絡は電話ではなくSNSの方が確実

     震災当日。私がいた場所は被害がほとんどなかったとはいえ、それでもかなりのゆれを感じました。

     そして、直後に思ったのが「家族への安否連絡」。だけど、携帯電話、そして自宅からの固定電話を使用しても全く繋がらない状況。携帯からメールを送っても返事なんかは一切なし。(震災当日のメールは6~8時間ほど遅延して届きました)そうした状況の中、連絡手段として大いに活躍したのがSNSサービスでした。

     当時私が家族との連絡手段で利用したのは、mixi。私の周囲ではTwitter、Facebook、そしてSNSではありませんが有効だったのがネットメール(Yahoo!メールやGoogleメール)だったと聞いています。

     震災直後、携帯電話などの通話回線は混雑していたようですが、そうしたネットサービスを介してならばスムーズに連絡をとることができました。

     「ネット環境が身近にあったからできた」といえばそれまでかもしれません。ただ、携帯電話からでも電話は繋がらないものの、ネットへのアクセスはできたという人も多く、また直接メッセージが残せるということで「安否連絡」には大いに役立ったようです。

     いざという時のために、災害用伝言ダイヤル(171)というものが設けられていますが、こちらは実際その時になると忘れてしまいがち。

     防災グッズの一つのつもりで、家族間でSNSアカウントを知らせておく、もしくは家族間専用のアカウントを準備し連絡手段を取り決めてというのもいいかもしれませんね。

    ■ 「そなえよ つねに」

     これはボーイスカウトのモットーで「それに対する準備さえできていれば心配することはない」という言葉です。

     震災から2年。私達はあの時のことを忘れつつあるように思います。今回Twitter上で流された情報は実際にはないことかもしれません。

     ただ、それを「ないない」と笑って過ごすのではなく、そして必要以上に恐れるのでもなく、こうした情報を見聞きする度、それぞれの防災に対する意識を見直すきっかけとして利用していくと、いざという時慌てずに過ごすことができるのではないかと思います。

    (栗田まり子)

    あわせて読みたい関連記事
  • ヨーグルトの空き容器で特大タワーを制作 父と2人の息子が作った圧巻の光景に「もはや芸術」
    インターネット, おもしろ

    ヨーグルトの空き容器で特大タワーを制作 父と2人の息子が作った圧巻の光景に「もは…

  • ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう
    インターネット, おもしろ

    ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

  • ベビーカーに乗ってほしい娘にベビーカーのおもちゃを与えた結果……まさかの逆効果に
    インターネット, おもしろ

    ベビーカーに乗ってほしい娘にベビーカーのおもちゃを与えた結果……まさかの逆効果に…

  • 「マツモトキヨシに寄っていい?」母が発した何気ない一言に4歳息子が恐怖
    インターネット, おもしろ

    「マツモトキヨシに寄っていい?」母が発した何気ない一言に4歳息子が恐怖

  • これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は
    インターネット, おもしろ

    これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

  • 「二手に分かれよう!」 公園で出会った友だちとの“一緒に遊ぼう”に大人は困惑
    インターネット, おもしろ

    「二手に分かれよう!」 公園で出会った友だちとの“一緒に遊ぼう”に大人は困惑

  • 幼稚園イベントに行けなかった3歳娘のために……母が用意した「おうちぶどう狩り」にほっこり
    インターネット, おもしろ

    幼稚園イベントに行けなかった3歳娘のために……母が用意した「おうちぶどう狩り」に…

  • 危険なテレビ裏に突撃する我が子 近寄らせないために「化け物」を仕掛けた結果
    インターネット, おもしろ

    危険なテレビ裏に突撃する我が子 近寄らせないために「化け物」を仕掛けた結果

  • コストコのクマさん
    インターネット, おもしろ

    「クマさんが見てるよ」言っても聞かない我が子への“愛ある最終手段”

  • まさに育児あるある 探し物が見つかったのはまさかの「おもちゃの中」
    インターネット, おもしろ

    まさに育児あるある 探し物が見つかったのはまさかの「おもちゃの中」

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 北海道産のチーズを2種類使った秋冬限定フレーバー「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」
    商品・物販, 経済

    北海道産チーズのW使い!「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」がこの秋登場

  • クリスプ のりしおバター味
    商品・物販, 経済

    カルビー、「クリスプ のりしおバター味」発売 レアな“ホシ型クリスプ”も登場

  • 特別災害対策本部車(国土交通省)
    社会, 経済

    消防車も自衛隊車もNERVも! 防災車両がずらり「ぼうさいモーターショー2025…

  • ウィキペディアのページビュー
    インターネット, サービス・テクノロジー

    AI時代でウィキペディア苦境 人間の閲覧数8%減、財団が警鐘

  • ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロティカ解禁」方針
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロテ…

  • ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年
    ゲーム, ニュース・話題

    ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年

  • トピックス

    1. 目指せ去勢マスター!「繁殖」テーマのローグライクゲーム爆誕

      目指せ去勢マスター!「繁殖」テーマのローグライクゲーム爆誕

      海外の映画やゲームが日本向けにローカライズされる際、タイトルも和訳されることもしばしばですが、「あま…
    2. 実家の一室をレトロゲームショップ風に改造 本物の什器も揃えた昭和男児の夢空間

      実家の一室をレトロゲームショップ風に改造 本物の什器も揃えた昭和男児の夢空間

      一歩足を踏み入れると、そこはまるで平成初期のゲームショップ。ショーケースにはファミコンソフトがずらり…
    3. ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

      ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

      「はたらくくるま」が好きな人に刺さること間違いなしな「工事現場ケーキ」がXで話題です。説明がなければ…

    編集部おすすめ

    1. 職員室を自由に物色! 体験型展示「あの職員室」が11月15日より開催

      職員室を自由に物色! 体験型展示「あの職員室」が11月15日より開催

      株式会社チョコレイト(CHOCOLATE Inc.)は、あの頃入りたくても入れなかった職員室を体験できる展示企画「あの職員室」を、11月15…
    2. カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      2025年10月23日22時より配信されたNintendo公式番組「カービィのエアライダー Direct 2」にて、ゲームクリエイター・桜井…
    3. 「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      ANYCOLOR株式会社は10月22日、所属ライバーである甲斐田晴さんをめぐる極めて悪質な誹謗中傷・荒らし行為への対応結果を、加害者側の意識…
    4. 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開40周年 タイムサーキット型時計が登場

      「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開40周年 タイムサーキット型時計が登場

      株式会社Gakken(学研ホールディングスグループ)は、同作の映画公開40周年を記念して、劇中の「タイムサーキット」を再現した時計「バック・…
    5. 電気通信大学が注意喚起 京王線の車内広告に何者かが不審なQRコード“貼り付け”か

      電気通信大学が注意喚起 京王線の車内広告に何者かが不審なQRコード“貼り付け”か

      電気通信大学が10月21日朝、公式Xアカウントに声明を掲載。「京王線車内の本学の広告にQRコードは記載しておりません」と述べ、車内広告にQR…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト