おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

Twitter無断転載で炎上の『アホ男子かるた』―出版社が発売無期延期を発表

ahodanshikaruta0130_s Twitterの人気ハッシュタグ「#アホ男子母死亡かるた」を投稿者に無断で転載し問題となっていた、甘井猫さん著の『アホ男子かるた』を、出版社のユーメイドが2月3日の発売を無期延期にすると1月30日公式サイトを通じ発表した。

【関連:他人のツイートを無断使用し本を出版?―人気ハッシュタグの投稿めぐり騒動勃発】

アホ男子かるた


  •  「#アホ男子母死亡かるた」は、2012年10月、Twitter一般ユーザーの発案によりスタート。息子を持つ母の悲哀をかるたの五十音順で表現するという手法が受け、当時多くの人が参加、そしてテレビでも注目されるほどの話題となった。

     その人気に目をつけたユーメイド社が、当時イラスト付きでそれに投稿していた甘井猫さんに本の出版をもちかけ『アホ男子かるた』の出版が決定。
     その際、甘井さんには著作権などの問題に対し「書籍化に際し、出版社さんのサイドで、Twitter社さん等の許可などはクリアされているという事で、このお話を受けた次第です。」(参考:甘井猫さんTwitter @amaineko3/1月27日13時26分投稿)と説明していたという。

     ところが『アホ男子かるた』の出版が認知されるや、本書でツイートが採用されている人達には一切許可を得ていなかったことが判明。
    甘井さんのTwitterや、書籍PRのために設けられたTwitterハッシュタグ「#アホ男子かるた」はちょっとした炎上を見せていた。

     そうした騒動をうけ、1月30日、ユーメイドから今回の「発売無期延期」が発表されたわけだが、今回出版に至った判断基準としてお詫び文では「関係各所に問い合せた結果、ブロードキャストでのツイート利用に関するガイドラインに準拠した形での利用は問題ないとの判断に至った」と根拠が示された。

     ところが、肝心のページを確認すると、Twitter社が認識するブロードキャストとして主に「放送」に関するものが紹介されていた。

    ▼Twitter「ブロードキャストでのツイート利用に関するガイドライン

    ▼Twitterにおける「ブロードキャスト」とは

     ブロードキャストには以下を含みますが、この限りではありません。メディアが提供する(全ての形態のテレビ、ラジオ、衛星放送、インターネットプロトコル、ビデオ、専用の無線ネットワーク、インターネット販売など)全てのツイートの展示、配布、放送、複製(再生)、公共パフォーマンス、その他一般に公開されるものです。これは既存のもの、現在開発中のものを問いません。
    (引用ここまで)

     ちなみに「ブロードキャスト= broadcast」を辞書で調べると「放送」「放映」「番組」などを意味する。

     さらに、「以下の場合、すべてのケースにおいて、オリジナルのコンテンツ作成者の許可なしにTwitterのコンテンツを使用することはできません。」という項目では、「製品、またはサービスの保証」と、製品の場合にはコンテンツ作成者に許可を取って欲しいという説明もきちんと設けられている。
    (「コンテンツ」という言葉の定義について、Twitter利用規約4では「当社は、本サービスを介して投稿されるコンテンツ」とされているため、本文中では「コンテンツ=ツイート・画像」という認識でいます。)

     今回の出版判断についてユーメイド側はこのTwitterのガイドラインに準拠したとしているが、放送と出版ではかなり意味合いがことなる。

     最後に今回のお詫び文で筆者個人として指摘したいことがある。
    ユーメイド社はお詫び文の中で、投稿者への個別連絡をしなかった理由について、「事前にツイッター投稿者の皆様へ個別にご連絡をさせていただくことも検討いたしましたが、ツイッターの特性上、個別にご連絡を差し上げることが非常に困難であり、現実的ではないとの判断により」と説明しているが、例えば当媒体のようなWebニュースサイトの場合、著名人や事件性があるものは別として一般の方のツイートを記事として採用する場合必ず事前許可をとるのが通例。

     筆者も許可申請を度々することがあるが、その際同じネタを掴んだ他社(テレビ、新聞、Webニュース等)らもちゃんと許可申請している姿を目にする。

     そのため、「ツイッターの特性上個別に連絡することが困難」というのは苦しい言い訳にすぎないということ一言添えておきたい。

    あわせて読みたい関連記事
  • pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策
    インターネット, 社会・物議

    pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

  • 炎上をモチーフにした日本初の体験型展示イベント「炎上展」
    イベント・キャンペーン, 経済

    「バズりたいけど燃えたくない」 SNS世代必見「炎上展」、池袋で開催

  • 邪悪なAI搭載「絶対にバズるSNS」で理不尽な炎上を疑似体験→リアルすぎて怖くなった
    インターネット, おもしろ

    邪悪なAI搭載「絶対にバズるSNS」で理不尽な炎上を疑似体験→リアルすぎて怖くな…

  • 起業家・岡崎雄一郎さん
    インターネット, 社会・物議

    短命に終わった「レンタル怖い人」 運営者・岡崎雄一郎さんに舞台裏を聞いた

  • お笑いコンビ・アインシュタインの稲田直樹さんの公式X
    インターネット, 社会・物議

    アインシュタイン稲田の“潔白”が証明された日 暴露文化とSNS拡散が残したもの

  • まとめサイト「JAPAN NEWS NAVI」関連アカウント、Xで一斉凍結
    インターネット, 社会・物議

    まとめサイト「JAPAN NEWS NAVI」関連アカウント、Xで一斉凍結

  • X、AI会話に“キャラ性”を追加 美少女モデル「Ani」などが登場する新モード
    インターネット, サービス・テクノロジー

    X、AI会話に“キャラ性”を追加 美少女モデル「Ani」などが登場する新モード

  • 109シネマズ運営が最終報告、投稿者にも責任問う動き 「販売予定のポップコーン」動画は「廃棄品」と断定
    社会, 経済

    109シネマズ運営が最終報告、投稿者にも責任問う動き 「販売予定のポップコーン」…

  • X日本公式アカウント(@XcorpJP)
    インターネット, サービス・テクノロジー

    Xが検索結果を見直し、本文重視へ転換 ユーザー名で検索しても本文に含まれなければ…

  • イーロン・マスク氏6月27日の投稿
    商品・物販, 経済

    Xの広告改革が止まらない マスク氏が語る「ハッシュタグ排除」と「縦サイズ課金」

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

  • 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み
    エンタメ, 芸能人

    松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み…

  • 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

  • 11月17日からの平日限定で、「かっぱの挑戦 感謝祭」をスタート
    イベント・キャンペーン, 経済

    かっぱ寿司、おにぎりとかけうどんが平日限定で各82円に 「かっぱの挑戦 感謝祭」…

  • 「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる
    エンタメ, 映画

    「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる

  • ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設
    企業・サービス, 経済

    ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設

  • トピックス

    1. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…
    2. 「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      2025年11月12日午前7時に配信された「State of Play 日本」にて、「ドラゴンクエス…
    3. アカウント1の投稿

      【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ある日の調査作業の過程で、SNS「X」上において、急成長中の越境EC大手「Temu」のサポート担当を…

    編集部おすすめ

    1. 「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月18日18時、新たな投稿を…
    2. 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      俳優の松山ケンイチさんが11月17日、自身のXアカウント「松山ケンイチ(@K_Matsuyama2023)」でユーモア企画「誰も傷つけない悪…
    3. 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月17日、作品の掲載順に関す…
    4. 今年もやってきた“本番環境の事故録” Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      本番環境などでの失敗談が集結 Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      稼働中のサーバーでの作業ミスによるトラブルの顛末をつづる「本番環境などでやらかしちゃった人 Advent Calendar 2025」が12…
    5. 床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      頭をぐりぐり動かしながら、床の上を滑っていく1匹のワンちゃん。飼い主さんが「モップ機能つき生ルンバ」と呼ぶビションフリーゼ・せとくんの動画が…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト