皆さんは、「古墳」と聞くと何を連想しますか?
「前方後円墳」
「昔の豪族のお墓」
「歴史の授業」
「近所の緑地(?)」
……色々出てくるかと思いますが、世の中には歴史的な興味から古墳の奥深さにはまった「古墳マニア」という人達が一定数存在します。
そんな古墳マニア達を以前よりざわつかせている「古墳クッション」が特にこのところネットを通じて広く注目を集めていました。そこで今回は「古墳クッション」の生みの親に、気になるあれこれを聞いてみました。
■古墳クッションが生まれるまで
古墳クッションの製作元は、「宇宙椅子cosmic re-chair」。代表である福徳さんが一つ一つ丁寧に縫製して作り上げています。
元々福徳さんはサラリーマンでしたが50歳を目前に早期退職され、椅子の張替えのお店「宇宙椅子」を開業しました。古い椅子のリフォームを手がけているうちに古墳の世界に興味を持ち、2012年の8月、椅子の張替え技術で最初に作ったのが「古墳椅子」だったそうです。但しこの椅子は一つ3万と高級家具の部類に入ってしまうほどで、なかなか売り上げは伸びなかったとの事。
その後「古墳フェス come*come はにコット」に参加する機会を得たときに椅子の張替え技術を生かした作品をと作り上げたのが最初の「古墳クッション」だったとか。
初めのうちはほとんど売り上げはなかったそうですが、ステッチで段築を表現するなどの工夫を加え、2013年2月に現在の形で販売をスタート、徐々に新聞、雑誌、テレビ等取り上げられる事が増え、一時は注文から半年待ちになったこともあったそうです。
また、ほぼ同時期に古墳シンガーの「まりこふん」さんという異色のシンガーが会長を務める「古墳にコーフン協会」がスタート。まりこふんさんは、様々なメディアに登場するたびに「古墳クッション」を持参し、宣伝に一役買いました。
商品的には、2014年10月の京都・長岡京市の恵解山古墳公園のオープニングをキッカケに、実際の測量図面に基づき出来るだけ忠実に元の古墳を再現する「リアル古墳クッションシリーズ」をスタート。卑弥呼の墓ではないかと噂される奈良・桜井市の箸墓古墳をはじめ、現在では14弾まで「築造」なさっています。
■古墳クッションのこだわり
さて、話を戻すとクッションに使用している材料(生地やクッション材)は、すべてソファなどに使用されている業務用のもの。
福徳さんによると「生地は一般のものではなく、業務用の椅子張り専用の生地ですので、摩擦や摩耗に強く厚みもあり、多少の事では破れたりすることはありません。縫製も二重にしています。ツイッターで噂されていた新幹線のシートを使用しているというのは間違いですが、バスや電車等に使用している生地に近いクオリティはあると思います。」とのことでかなり丈夫なつくりになっているそうです。また、中身のクッション材も工夫されており、初めて触った方はその硬さ、しっかりとした感じに驚かれるそうです。
生地の裁断・縫製、クッション材のカットや接着などすべての工程を福徳さんがたった一人で行っているため、「築造」できる数には限りがあるそうですが、2013年にスタートして以来、約3000基以上の古墳を築造しています。今後は「古墳といえば多くの人が知っている世界文化遺産を目指している『仁徳天皇陵(大仙古墳)』モデルの古墳クッションを築造したい」と意欲的に語られていました。
古墳クッションには様々な形・サイズがありどれも一点もの。全国各地の古墳のリアルさを追求した「リアル古墳クッション」や、小さな古墳クッション「ちびこ」シリーズなどを通信販売や古墳のミュージアムショップなどで販売されています。また、古墳系な各イベントにも出店されていらっしゃる事も多いようなので、ぜひ宇宙椅子さんのサイトをチェックしてみてください。
<記事化協力・参考>
宇宙椅子
(梓川みいな)