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米仏の原子力空母が揃い踏み! 紅海で共同演習実施

 近代化改修工事を終えてインド太平洋地域へと派遣された、空母シャルル・ド・ゴール(R-91)を中心とするフランス海軍の空母打撃群は2019年4月15日(現地時間)、アメリカ海軍の空母ジョン・C・ステニス(CVN-74)を中心とする空母打撃群(CSG-3)と共同演習「PASSEX」を行いました。この演習は、米仏両国における部隊相互間の連携を深める目的で行われたもの。両空母打撃群は艦隊航行訓練のほか、ラファールMとF/A-18E/Fスーパーホーネットとの異機種間戦闘訓練(DACT)も行っています。

  •  2017年2月から18か月を費やして、近代化改修を行ったフランス海軍唯一の原子力空母シャルル・ド・ゴール。改修後の習熟訓練を終え、初の派遣先としてインド太平洋地域が選ばれました。フランスから地中海を経由してスエズ運河を通過したシャルル・ド・ゴール、駆逐艦フォルバン(D-620)の空母打撃群は、デンマーク海軍のフリゲート、ニールス・ユール(F363)とともに紅海において、ジョン・C・ステニス、巡洋艦モービル・ベイ(CG-53)、駆逐艦マクフォール(DDG-74)の第3空母打撃群と合流。共同演習を行いました。




     演習では、すべての艦が一体になっての連携運動や、夜間の艦砲射撃訓練(GUNEX)、また士官の相互親善訪問などが行われています。


     シャルル・ド・ゴールを訪れたジョン・C・ステニス艦長のランディ・ペック大佐は、シャルル・ド・ゴール艦長のマルク-アントニー・ド・サン・ジェルマン大佐から本を贈られました。

     また、フランス海軍のラファールMとアメリカ海軍のF/A-18E/Fの間では、異機種間戦闘訓練が行われました。特性の違う戦闘機と対決するのは、通常の戦闘訓練とは勝手が違うため、パイロットの空戦技量向上に大きく貢献します。

     このほかにも、ラファールMがジョン・C・ステニスに、そしてF/A-18E/Fがシャルル・ド・ゴールへタッチ・アンド・ゴーの模擬着艦訓練も行っています。これは共同で任務にあたる際、どちらかの空母に不具合が発生し、飛行甲板が使えなくなっても、他の艦への着艦ができるように準備しておくのが目的です。

     空母ジョン・C・ステニスと行動を共にする第9空母航空団(CVW-9)の航空機運用責任者、デソブリー・ボーウェンス中佐は「このPASSEXは、我々NATO加盟国の結束を高める役割を担うとともに、共同作戦能力の向上を目的としています。互いの運用手法について理解を深め、ともに空で任務を行うことで、より強固な連携を図ることができるのです。ただの2隻の独立した空母ではありません。我々は一体なのです」と、今回の米仏空母打撃群の共同演習の意義について語っています。

     空母シャルル・ド・ゴールのド・サン・ジェルマン艦長は「ジョン・C・ステニス空母打撃群と行った今回のPASSEXは、我々が紅海に入って間もない時期に行われましたが、シャルル・ド・ゴールが最高レベルの任務遂行能力を取り戻していることを示してくれました。この種の演習は、アメリカとの同盟における共同運用能力を向上させる最適な方法です」と語り、第一線に復帰したシャルル・ド・ゴールが十分に任務を果たせる状態にあることを示唆しています。

     空母シャルル・ド・ゴール打撃群は、この後インド洋から南シナ海へと進出し、日本の海上自衛隊をはじめとする各国との共同訓練を重ねる予定です。

    Image:U.S.NavyMarine Nationale(フランス海軍)

    (咲村珠樹)

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