アメリカ海軍は2020年6月8日(現地時間)、空母ニミッツとその空母打撃群が太平洋東部の安全保障任務のため、カリフォルニア州サンディエゴを出発したと発表しました。また同日、空母ロナルド・レーガンも自由で開かれたインド太平洋地域を維持する任務に就いたため、この地域ではセオドア・ルーズベルトと合わせ3隻の空母が展開することになります。

 太平洋東部の第3艦隊担当区域にいる空母ニミッツ(CVN-68)とその空母打撃群(CSG-11)は、これまで遠征任務を始める前の複合訓練(COMPTEX)を実施してきました。これは空母打撃群の作戦運用に関わる全ての要素をチェックし、実戦に投入できる状態になっているかを確認するもの。

 5月末にニミッツ空母打撃群の司令官に着任したジム・カーク少将は「我々CSG-11は十分な訓練を重ね、準備を整えました。将兵たちは戦術的、技術的に素晴らしい能力を優れたチームワークと強靭さで示してくれました。遠征命令を心待ちにしていました」と出航に際しコメントを発表しています。

 洋上に出てしまうと船は閉鎖空間となり、新型コロナウイルスの感染拡大は致命的なものとなります。このため、乗組員らは出航前14日間にわたって隔離され、新型コロナウイルスに感染していないことが確認されてから乗艦が許されました。

 空母ニミッツ艦長のマックス・クラーク大佐は「新型コロナウイルス禍の状況における運用法を確立すのは容易なことではありませんでした。しかし部下たちは課題を克服する上での柔軟な適応力を実証し、任務遂行のための即応性を維持し続けてきました。乗組員たちを誇りに思うとともに、どこへだろうといつでも命令を遂行できる状態です」と、新型コロナウイルスという以前とは違う脅威とも戦う状況についてコメントしています。

 日本の横須賀基地を前方展開先としている空母ロナルド・レーガンは、搭載する艦載機部隊(CVW-5)と、空母打撃群を形成する駆逐隊(DESRON15)とともに、日本の南方海上で任務復帰のための運用試験を重ねてきました。任務復帰にあたり、いつでも実戦参加できるよう約1000トンの弾薬を搭載しています。



 今後ロナルド・レーガン空母打撃群は、自由で開かれたインド太平洋地域を維持するため、臨戦態勢で西太平洋から東シナ海、南シナ海にインド洋の担当区域を哨戒することになります。すでに同様の任務で空母セオドア・ルーズベルトの空母打撃群がグアムを出発しており、2隻の空母が様々な問題を抱えるアジア地域の安全保障に関与していきます。

<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
アメリカ太平洋艦隊 ニュースリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)